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無期懲役に於ける、平均在所年数(2004年〜2013年)

無期刑及び仮釈放制度の概要について によると。

無期刑とは,刑期が終身にわたるもの,すなわち,受刑者が死亡するまでその刑を科するというものです。
つまり,仮釈放が許されなければ,死亡するまで刑務所等の刑事施設で刑の執行を受けるものであり,仮釈放が許されたとしても,一生保護観察に付されるものであって,結局,無期刑を言い渡された者については,恩赦がなされない限り,生涯にわたり国の監督下に置かれることになります。

http://www.moj.go.jp/content/000057317.pdf

この無期懲役に関して、実際にはさも簡単に出られる実態があるかのようなデマを、時々聞くことがある。
実際に、刑事事件の実務に通じていれば、あり得ない、と思うのですが、普通の人は刑事事件の実務などの情報に通ずる事は稀であるのであろうし、せっかく法務省のサイトに正確な情報の記載もされているので、記事を書いてみたいと思う。
実態としては、冒頭に示した通り、無期懲役とは有期の場合と異なり、満期になる事が無い*1懲役刑であり、基本的に終生国の監督下に置かれる状態となります。
基本的には刑務所に在所し、作業を行って受刑する事になります。

(懲役)
第十二条  懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2  懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html

ただし、終身刑ではないので、刑務所を出所できる機会はあります。

(仮釈放)
第二十八条  懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/M40/M40HO045.html

条件は二つあります。「無期刑については十年を経過した後」「改悛の状があるとき」です。具体的に、どういった状態が「改悛の状があるとき」となるかは、刑務所での運用を確認する必要があると思いますが、ともあれ、そういった場合に、審査を行い、仮釈放がされる事がある、という訳ですね。
実際に、仮釈放がどんな実態になっているかも、法務省の資料 無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について 平成26年10月 に記載があります。下記に「表1−1無期刑受刑者の推移(平成16年〜平成25年)」から抜粋して載せておきます。

- 無期刑 無期刑 (1)→ 死亡した
- 仮釈放者数 新仮釈放者数(1) 平均受刑在所期間 無期刑受刑者数
平成16年 4 1 25年10月 15
平成17年 13 10 27年2月 12
平成18年 4 3 25年1月 15
平成19年 3 1 31年10月 13
平成20年 5 4 28年10月 7
平成21年 6 6 30年2月 14
平成22年 9 7 35年3月 21
平成23年 8 3 35年2月 21
平成24年 8 6 31年8月 14
平成25年 10 8 31年2月 14
合計 70 49 - 146


この表を見る限り、仮釈放は大体 25年くらいですが、近年に限っては 30年を超えています。また、ここ十年の合計を見ると、仮釈放の 70人に対して、二倍の 146人が獄中で亡くなっています。
つまりは、仮釈放されるのは全体の三分の一に過ぎないのですね...。多くが仮釈放されず、獄中で亡くなるのです。

*1:最初、「期間を定めない」と書いてありましたが、不定期刑に誤解するといけないので、表現を改めました。