「てるてるソング」 小野塚テルの一日一冊一感動『感動の仕入れ!』日記

毎日の読書、映画、グルメ、流し、人との出会いなど様々なものから感動を得ています。特に本は年間300~400冊読破します。人々を『感』させ『動』に導き、『感する人』になるようにそのエッセンスを紹介しています。

「出版翻訳家なんてなるんじゃなかった日記 こうして私は職業的な「死」を迎えた」(宮崎伸治)

いや〜!すごい、オモシロイ!!!一気読みだー!!!今年の最高傑作!は言い過ぎかも。でもベスト10入りは間違いないだろう!♪

 

「大好評!日記シリーズ番外編!!翻訳家を夢見る青年が、必死に出版翻訳家の夢を掴み取り、そして一躍 “超売れっ子” になり、しかし業界に失望し、トラウマを抱え、足を洗うまでの軌跡」そのエッセンスを紹介しよう。

 

・ひと昔もふた昔も前、私は“売れっ子”だった。自分の名前が載った翻訳書が書店に並ぶ、胸がキュンとするくらい装丁が綺麗に仕上がっている、翻訳のクオリティーを褒めたたえたファンレターが来る、講演の依頼が来る、著書の執筆依頼が来る、ベストセラーになる、新聞広告がドカンと載る、印税がガバガバ入る・・・・・・そういう数々の成功経験ができた。しかし、8年前、私はその世界から完全に足を洗った。

 

・自分にはなんの落ち度もないのに出版が中止されたことも何度かあった。1冊のすべてをまるまる訳した後になってからの出版中止だ。大袈裟かもしれないが、 それは出版翻訳家にとっては出産間近の「子ども」を堕胎されるのと同じくらい の大打撃である。それが原因で裁判沙汰に発展したこともあったが、いずれの ケースでも人間の醜い姿をこれでもかというほど見せつけられた。

 

・本書では、出版翻訳家として経験してきた「天国」と「地獄」を包み隠さず語ろうと思う。出版翻訳家(およびその志望者)はもちろん、出版翻訳家の生態を 覗いてみたいという人や、出版翻訳家には興味がなくても、努力がひょんな形で 実ったり、自分の利益だけを追求した人間が最後にもがき苦しむことになったりするかもしれない。

 

・それでは私が経験した「天国」と「地獄」を覗いていただこう。「ファンレター天国」「平積みドッカン天国」「次から次へと仕事が舞い込み天国」もあれば、「いきなり印税カット地獄」「重版印税無限カット地獄」「出版日ずるずる遅らさ れ地獄」「出版間際での出版中止地獄」「きな臭さメール地獄」もある。それはもうドラマの連続だ。どうぞご堪能あれ!

 

・カウンセラーの「宮崎さんの気持ちはよくわかりますよ」と言ってくれる人が現れた。その一言で私の心の中に蓄積していた膿が一気に飛び出たのだ。私か泣きやんだころ、カウンセラーが今後はどうしますかと聞いてきた。

「私はもう翻訳書を出すのをやめようと思います。せっかく最後の最後まで訳したのに、なんの理由もなく勝手に出版を中止され、その挙句に地獄に落ちるだの と言われるのだったら、やらないほうがマシです。彼らが考えているのは金だけです。金儲けになりそうにないと判断したら10カ月も仕事をさせていても平気で出版を中止するのです。翻訳家の気持ちなど何も考えていません。そんな金儲けにしか興味のない人たちと一緒に働くことにはもはやなんの興味もありません。私がこれからやるべきことは、私のように陰で泣いている翻訳家を少しでも減らすよう働きかけをすることです。いつかやります。いつかは。どういう形にするかはわかりません。でもやります」私が出版翻訳家としての「職業的な死」を迎えた瞬間であった。

 

・21歳で夢の夢の、そのまた夢の職業だと憧れ始め、13年もの厳しい修行の末にやっとなれた出版翻訳家だったが、それが幕を閉じた。こうなったのも問題が山積みする出版業界の現状も一因ではあるが、欲望に惑 わされ「関わってはならない」人や出版社に関わってしまった私にも原因があった。愚かだったことは自認しているが、私は私なりにベストを尽くしてきたので あるから未練などない。「出版翻訳家」としての私は燃え尽きたのだ。

 

・「1冊目には名前は出ません」「裁判所という禁断の手」「二足目のわらじ=とっておきの秘策」「宮崎さんって、なんでもない人じゃないですか(渡部昇一=大島淳一)」「『7つの習慣』〜翻訳の神が降りてきて」「92日間:ミッション・インポッシブル」「生殺し地獄(印刷機が壊れてしまいました)」など。

 

いや〜スゴイ!!壮絶とは、天国と地獄とは、このことだっ!!!業界は違うとはいえ、思い当たる節もある人も多いだろうなあ。ワタシもそうだけど。(笑)今年のベスト10入り、間違いなし。超オススメです。(^^)

 

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