2009年08月13日
郵政の私物化を狙う西川、宮内を糾弾する(1)
(衆議院比例区東海ブロック・国民新党公認候補)
西川善文(日本郵政社長)、
宮内義彦(オリックス会長)
を糾弾する!
中央大学大学院客員教授 稲村公望
(『月刊日本』09年3月号より)
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「かんぽの宿」払い下げ事件は、明治の開拓史官有物払い下げ事件よりも、本質は明治4年の尾去沢(おさりざわ)銅山事件に近いと稲村公望氏は指摘する。
尾去沢銅山事件とは、大蔵大輔の職にあった長州藩出身の井上馨が職権を濫用して尾去沢銅山(現・秋田県鹿角市)を差し押さえ、私物化した事件である。
郵政民営化をめぐる疑惑の構造を稲村氏が糾弾する。
小泉は国富を売り渡した
——まず、かつて郵政官僚であった立場から、一連の郵政民営化の動きをどう見られているかお伺いしたい。
【稲村】 私の見立てでは、ことの根源は80年代から始まった日米構造協議にある。協議というものの、日本からアメリカに要望することはほとんどなく、アメリカから要求を突きつけられる一方で、しかもその内容はほとんど明らかにされていない。しかし、その
後の日本の政策を見れば、その内容はおおよそ推測がつく。
簡単に言えば、日本人の高い貯蓄率を投資・マネー経済へと向かわせること、もっと言うとアメリカへ還流させることが狙いだった。郵政民営化の雛形として、農林中金がある。これは農民が積み立てた金をやはり市場に吐き出させられたのだが、サブプライムローンで大きく焦げ付いた。
昨年の9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻したが、この一週間ほど前には、モルガン・スタンレーの幹部が郵貯のカネも大いに投資にまわすべきだと演説していたことが思い出される。
もしあの時、言うなりのまま郵貯のカネを市場に吐き出してしまっていたら、目も当てられない大損失を被っていたことだろう。
21世紀に入って小泉首相が就任したが、彼は日本の国富をアメリカヘ売り渡す総仕上げの役目を帯びていた。第153回国会における所信表明演説(平成13年9月27日)を聞いて、私は戦慄した。その中で、小泉首相はダーウィンの名前を持ち出して改革を正当化しようとしたのだ。
「進化論を唱えたダーウィンは、『この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ』という考えを示したと言われています。
私たちは、今、戦後長く続いた経済発展の中では経験したことのないデフレなど、新しい形の経済現象に直面しています。日本経済の再生は、世界に対する我が国の責務でもあります。現在の厳しい状況を、新たなる成長のチャンスと捉え、『改革なくして成長なし』の精神で、新しい未来を切り開いていこうではありませんか。」(官邸ウェブサイトより)
ダーウィンの進化論から、ハーバート・スペンサーが社会進化論を唱えるのだが、これはナチスの理念に取り込まれたものだ。変化に対応できないものは滅び去れ、に等しいことを小泉首相が言っていることに注意すべきだ。そして事実、彼は日本の構造をアメリカの言うままに「改革」し、その改革からはじき出された者は滅びればよいという弱者切り捨て政策を断行してきたのだ。
郵政資産を買弁企業に売り渡すな
——郵政民営化による郵政資産売却について伺いたい。
【稲村】 郵政資産は大きく分けて、不動産と郵貯というキャッシュの資産の二つからなっている。
もともと、民営化がスタートした昨年10月時点で、郵政の持つ不動産の簿価は2兆7,236億円あった。土地が1兆4,076億円、建物などが1兆3,160億円だ。三菱地所、JR東海、JR東日本に次ぐ資産規模で、NTTや私鉄よりも土地資産ははるかに大きい。
まず、20年ほど前から内需拡大を口実に、日光や伊勢志摩にリゾート施設を作らされた。ところが数百億かけて作られたそうした施設が現在、たった4億円ほどで売却されている。(表参照)
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Posted by 稲村公望ファン at 21:31│Comments(0)
│郵政民営化の虚妄