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2009年08月13日
郵政の私物化を狙う西川、宮内を糾弾する(2)
(衆議院比例区東海ブロック・国民新党公認候補)
西川善文(日本郵政社長)、
宮内義彦(オリックス会長)
を糾弾する!
中央大学大学院客員教授 稲村公望
(『月刊日本』09年3月号より)
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ここに、示されているリストは、現在、話題になっているかんぽの宿70軒と9つの社宅のオリックス不動産への売却とは別である。それ以前の、日本郵政公社の生田正冶総裁(当時)時代に売却されたものだ。かんぽの術を1万円で売却したことが問題になっているが、これは西川善文・現日本郵政社長以前に既になされていたのだ。
それでも、郵貯や簡保が作った施設は、今風にいえば環境にも配慮した高品質の施設だった。ところが公社化されると、減価償却による見かけの赤字が増えた。これもコアの事業から補填すれば一挙に黒字になるほどのものだったのだが、「赤字垂れ流し」と喧伝され、きちんと経営していた施設も、二束三文で叩き売られることになったのだ。
しかもその譲渡先として浮上したのが、ご存知のオリックスだ。そして、不動産のみならず、郵政の持つキャッシュまでも処分しようという動きがある。一連の動きの中には、日本トラスティ・サービス信託銀行の名前が出ている。
——日本トラスティサービス信託銀行をめぐる問題とは何か。
【稲村】 これについては、自見庄三郎氏(参議院議員・国民新党)が2月2日、参議院本会議で質間されているので、少々長くなるが、煩を厭わず引用しておきたい。
自見庄三郎議員
郵政国営化を党是として、国民新党は、譲渡のことが表面化した直後の1月7日、一括譲渡を反対することを嶋山総務大臣に出しました。
小泉政権が独行した故なき郵政民営化で、私たちが最も心配していた、あるいは、反対していた、国民の富を安易に処分し、国民の寓が一部の人たちの利益や海外に流出することが表面化したというのが私たちの受け止め方であります。
生命保険事業は、官民を問わず、国民が健康で寿命が長くなれば、利益が大きくなるものであります。これを死差益と申します。そのために、生命保険会社は、健康管理や保健施設を造って、国民の健康を守ろうとする。施設そのものの採算は必ずしも考慮しない。
民営化で郵政公社を分割する際、簡保の宿の主管が簡保生命保険会社でなく、親会社の日本郵政会社になった時から、譲渡は筋書きだったことが疑われます。さらに、私ども国民新党で独自に調査した結果、オリックスと日本郵政の奇妙な事実関係が判明いたしました。ここにご報告し、麻生総理大臣および、鳩山総務大臣の御所見をお伺いしたい。
まず、下がり続ける宮内義彦会長のオリックスの株を大量に買っている人、または会社、またはファンドがあります。その人は、または会社、またはファンドは、オリックスの株は必ず上がることを見越して買っているのではないか。オリックスがかんぽの宿を安く買い、それを運用か売却することによって巨額の利益を上げ、オリックスの業績が回復し向上しオリックスの株が上がることを事前に知りえた人、または会社、またはファンドがあったのではないかという疑問であります。
日本トラスティサービス信託銀行株式会社という会社を介した一連の疑わしい流れがあります。この会社は、りそな銀行、住友信託銀行、中央三井トラスト・ホールディングスが、3分の1ずつ株式を持つ、資本金510億円の信託銀行であります。
昨年から、オリックスの株式を大量に買い増しし、2008年の9月には、それまでの外資会社を逆転して筆頭株主になりました。オリックス株は、3万8,000円台から下落を続け、現在は4,100円台、約9分の1まで落ち込んでおります。
こんなオリックス株を日本トラスティはなぜ大量に買い込んだのか。実は、日本トラスティサービス信託銀行は、2007年9月、日本郵政公社の130兆円にも上る債権の管理業務を引き受けております。
これは、現在の日本郵政会社社長の西川善文氏が総裁だった日本郵政公社の外部団体の簡保郵貯管理機構が国債の形で持っていた国家保証の付いている旧勘定の130兆円です。委託は、西川氏の意によるものでした。
みなさん、郵貯簡保の旧勘定130兆円を預かっている会社が、宮内会長のオリックス会社の筆頭株主なんですよ。私もこれを知ってびっくりしました。日本トラスティは信託銀行であります。お客さんの指示でオリックス株を買ったと思われます。トラスティに指示して買い集め、筆頭及び、第三位の株主になれたのは、なにびとか、この動きを委員会はウォッチしているか、証券取引等監視委員会を所管している中川財務金融大臣にお尋ねを致します。(下線稲村)
国民の財産を国民の手に取り戻せ
旧勘定とは国営時代の郵便貯金と簡易保険の資産のことだが、これは木来、民営化するならばいったん国民に返却するべき資産だ。ところがそれをせず、民営化した後も保有し続け、さらに、その資産の一部を私企業であるオリックスに注ぎ込んでいるのだ。
国民の財産を恣意的に私企業のために運用するなど、これは外国でも例を見ない、道義的に問題がある行為だ。
——それが現代の「尾去沢銅山事件」というゆえんか。
【稲村】 まだ北海道開拓史官有物払い下げ事件では、北海道をどうするのかという使命感、国家意識があった。ところが、尾去沢銅山事件は川上馨が私腹を肥やそうとした事件だ。今の郵政とオリックスの不透明な関係の裏には、国富を外国へ売り払おうという売国の意図がある。「尾去沢銅山事件」以下の亡国行為だ。何としても、ここで歯止めをかけなければならない。
亀井静香先生は、今のスキャンダルは天佑神助だとおっしゃる。確かに、郵政の損失はまだ0.3%程度で済んでいるといわれている。しかし、それにしたって、数千億円規模の損失だ。世界経済の破綻、アメリカの新政権の登場を僥倖として、国民の財産を国民の手に取り戻さなければならない。
そして、国民の資産を、混迷する世界経済を救済し、打破する契機とする気概が、今世界から求められていると心得るべきだ。
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2009年08月13日
郵政の私物化を狙う西川、宮内を糾弾する(1)
(衆議院比例区東海ブロック・国民新党公認候補)
西川善文(日本郵政社長)、
宮内義彦(オリックス会長)
を糾弾する!
中央大学大学院客員教授 稲村公望
(『月刊日本』09年3月号より)
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「かんぽの宿」払い下げ事件は、明治の開拓史官有物払い下げ事件よりも、本質は明治4年の尾去沢(おさりざわ)銅山事件に近いと稲村公望氏は指摘する。
尾去沢銅山事件とは、大蔵大輔の職にあった長州藩出身の井上馨が職権を濫用して尾去沢銅山(現・秋田県鹿角市)を差し押さえ、私物化した事件である。
郵政民営化をめぐる疑惑の構造を稲村氏が糾弾する。
小泉は国富を売り渡した
——まず、かつて郵政官僚であった立場から、一連の郵政民営化の動きをどう見られているかお伺いしたい。
【稲村】 私の見立てでは、ことの根源は80年代から始まった日米構造協議にある。協議というものの、日本からアメリカに要望することはほとんどなく、アメリカから要求を突きつけられる一方で、しかもその内容はほとんど明らかにされていない。しかし、その
後の日本の政策を見れば、その内容はおおよそ推測がつく。
簡単に言えば、日本人の高い貯蓄率を投資・マネー経済へと向かわせること、もっと言うとアメリカへ還流させることが狙いだった。郵政民営化の雛形として、農林中金がある。これは農民が積み立てた金をやはり市場に吐き出させられたのだが、サブプライムローンで大きく焦げ付いた。
昨年の9月15日にリーマン・ブラザーズが破綻したが、この一週間ほど前には、モルガン・スタンレーの幹部が郵貯のカネも大いに投資にまわすべきだと演説していたことが思い出される。
もしあの時、言うなりのまま郵貯のカネを市場に吐き出してしまっていたら、目も当てられない大損失を被っていたことだろう。
21世紀に入って小泉首相が就任したが、彼は日本の国富をアメリカヘ売り渡す総仕上げの役目を帯びていた。第153回国会における所信表明演説(平成13年9月27日)を聞いて、私は戦慄した。その中で、小泉首相はダーウィンの名前を持ち出して改革を正当化しようとしたのだ。
「進化論を唱えたダーウィンは、『この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ』という考えを示したと言われています。
私たちは、今、戦後長く続いた経済発展の中では経験したことのないデフレなど、新しい形の経済現象に直面しています。日本経済の再生は、世界に対する我が国の責務でもあります。現在の厳しい状況を、新たなる成長のチャンスと捉え、『改革なくして成長なし』の精神で、新しい未来を切り開いていこうではありませんか。」(官邸ウェブサイトより)
ダーウィンの進化論から、ハーバート・スペンサーが社会進化論を唱えるのだが、これはナチスの理念に取り込まれたものだ。変化に対応できないものは滅び去れ、に等しいことを小泉首相が言っていることに注意すべきだ。そして事実、彼は日本の構造をアメリカの言うままに「改革」し、その改革からはじき出された者は滅びればよいという弱者切り捨て政策を断行してきたのだ。
郵政資産を買弁企業に売り渡すな
——郵政民営化による郵政資産売却について伺いたい。
【稲村】 郵政資産は大きく分けて、不動産と郵貯というキャッシュの資産の二つからなっている。
もともと、民営化がスタートした昨年10月時点で、郵政の持つ不動産の簿価は2兆7,236億円あった。土地が1兆4,076億円、建物などが1兆3,160億円だ。三菱地所、JR東海、JR東日本に次ぐ資産規模で、NTTや私鉄よりも土地資産ははるかに大きい。
まず、20年ほど前から内需拡大を口実に、日光や伊勢志摩にリゾート施設を作らされた。ところが数百億かけて作られたそうした施設が現在、たった4億円ほどで売却されている。(表参照)
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2009年08月11日
わが友・稲村公望と「かんぽの宿」スキャンダル
文芸評論家の山崎行太郎氏は保守反動を自称しておられるが、大江健三郎の『沖縄ノート』の記述をめぐる名誉毀損裁判の評論では大江健三郎を擁護して話題になった。確か県内新聞にも論評を寄せられ、多くの県民の共感を集めたと思う。
その山崎氏が稲村公望さんの同郷の友人として、自身のブログで「かんぽの宿」スキャンダル問題で稲村さんを強力に応援している。これを読むと稲村さんが「かんぽの宿」問題を解決するのに最も適切なポジションにあることが改めて分かる。国会でぜひやって欲しいものだ。山崎氏のブログでも読めるが、クリックが面倒な人のために(笑)ここでも全部転載する。
その山崎氏が稲村公望さんの同郷の友人として、自身のブログで「かんぽの宿」スキャンダル問題で稲村さんを強力に応援している。これを読むと稲村さんが「かんぽの宿」問題を解決するのに最も適切なポジションにあることが改めて分かる。国会でぜひやって欲しいものだ。山崎氏のブログでも読めるが、クリックが面倒な人のために(笑)ここでも全部転載する。
2009-02-15
■わが友・稲村公望と「かんぽの宿」スキャンダル
稲村公望氏(いなむら・こうぼう)は、「元郵政官僚」だが、今週発売の「サンデー毎日」(2009.2.22号)に写真入で登場し、「かんぽの宿」スキャンダルに関して取材を受けて、「元大物郵政官僚が実名告発」というサブタイトルの下に、「『かんぽの宿』入札疑惑は、平成の『官有物払い下げ事件』です」と批判し、「郵政民営化」一派へ宣戦布告している。彼は、鹿児島県徳之島生まれだが、鹿児島ラサール高校を経て東大法学部を卒業、卒業後は郵政省に入り、国際畑を中心に郵政官僚として活躍、「日本郵政公社」発足時には人事・広報担当の「常務理事」に就任したが、いわゆる小泉純一郎元首相の主張する「郵政民営化」論に当初から徹底的に反対し続けために、郵政解散・総選挙直前に退任を余儀なくされたという経歴を持っている。退任時には、毎日新聞(2004/4/1)で、「郵政公社『反民営化』理事が退任 人事で抵抗」と報じられたことからも明らかなように、「小泉・竹中改革」のメイン・テーマであった「郵政民営化」「四分社化」、そして今、単なるスキャンダルとしてではなく、政治的疑惑事件として問題化しつつある「かんぽの宿・入札スキャンダル」を論じる場合の「中心人物」、あるいは「当事者」の一人であることは間違いない。稲村氏は、現在、中央大学大学院公共政策研究科客員教授だが、その一方で、「月刊日本」等で、「郵政民営化」批判だけでなく、「小泉・竹中改革」批判、「新自由主義」批判、「市場原理主義」批判を展開している。ところで、稲村氏が「かんぽの宿・入札スキャンダル」との類似性を指摘する明治時代の「官有物払い下げ事件」とは、どういう事件だったのだろうか。この事件の登場人物も、実は、鹿児島・薩摩藩の人脈に関係している。明治期に起きたこの「北海道開拓使官有物払い下げ事件」の中心人物は開拓使長官(北海道庁)だった黒田清隆(画家・黒田清輝の父)で、彼が、船舶、農園、炭鉱などを、実業家・五代友厚に、「当時の金額で約1400万円を投じた官有物を38万円」という異常な安値で売り払おうとして大騒ぎになり、「明治十四年の政変」をも誘発した政治的大事件だが、この事件の主役である黒田清隆、五代友厚、ともに薩摩藩士であった。いずれにしろ、明治の「北海道開拓使官有物払い下げ事件」と平成の「かんぽの宿・入札スキャンダル」は酷似している。払い下げの役所側の中心人物が、明治の事件の場合、黒田清隆であり、平成は西川善文日本郵政社長、竹中平蔵、小泉純一郎であるのに対して、「官有物」を異常に安価で落札し、手に入れようとする商人・実業家が五代友厚であり、オリックスの宮内義彦と見ていい。ちなみに、この明治の「官有物払い下げ事件」に反対し、ストップをかけたのが大隈重信であるが、大隈重信は、「官有物払い下げ」は中止に追い込んだが、この事件の余波で、当時の政界の主流派であった伊藤博文を中心とする「薩長派」によって追放されている。いわゆる、「明治十四年の政変」である。さしずめ、平成の大隈重信が鳩山邦夫ということになろうが、同じような「官有物払い下げ事件」ではあるが、それを取り巻く政界の勢力地図は、明治の「官有物払い下げ事件」と平成「官有物払い下げ事件」とでは、まったく違っている。多分、平成の「官有物払い下げ事件」で、政界から追放されるのは、小泉・竹中一派の方でであることは間違いない。
2009-02-16
■元郵政官僚・稲村公望の宣戦布告
昨日の記事の続きであるが、元郵政官僚・稲村公望氏は、「日本郵政公社」の人事広報担当常務理事だったが、いわゆる「小泉改革の本丸」と言われた「郵政民営化」に反対し、具体的に言えば、「公社社員を民営化準備室に出向させろ」という指示が来た時、人事担当理事として決裁印わおさなかったために、人事担当理事からヒラの理事に降格された上に、2005年2月には、公社の「生田正治総裁」(元「商船三井」社長・会長)に呼び出されて、「後進に道を譲ってくれ…」という言葉とともに郵政公社から追放されたのだそうであるが、今になって考えるならば、この「稲村公望追放劇」こそは郵政民営化の天王山だったと言っていいのかもしれない。さて、その稲村公望氏の分析によると、「郵政民営化の本質は、土地・建物をはじめとする国有不動産の私物化と、郵貯・簡保のカネを外国資本に移転するという2点にあった…」(「サンデー毎日」2/22号)と言うが、小泉構造改革と郵政民営化、あるいは派遣法の規制緩和等を、民間側から支援し、主導した宮内義彦氏が会長を勤める「オリックス」不動産を譲渡先とする「かんぽの宿」入札スキャンダルが発覚した今になって考えるまでもなく、稲村公望氏の行動と分析が正しかったことを証明していると言っていい。ちなみに、稲村公望氏は、郵政公社勤務の最後の一年は、今、話題沸騰中の「かんぽの宿・郵貯会館」担当だったらしいから、当然のことだが、「かんぽの宿」問題の内部事情をもっとも熟知する人物と言っていいだろう。「職を賭して郵政民営化に反対し続けてきた…」ところの、その元郵政官僚・稲村公望氏が、反撃を開始したのである。「こんなに早く民営化の綻びが出てくるとは思いませんでした。日本郵政の本・支社や現場の郵便局には同士もいるので、勇気を持って発言していきたい。」と。
山崎行太郎氏のブログより