やさしい経済シリーズ #2,
#3,
#4 では、ある一定期間の収支のバランスが重要であることを、例を参考にしながら、述べて
きました。今回は、個人の1年の収入に対して、政府に対して支払わなければいけない所
得税について、みてみます。
1年間の所得を政府に報告して、それに応じて定まる割合で、税を納めるのは、国民、あ
るいは、その国で経済活動を行う者の義務です。これは外国人も対象になりますし、また、ア
メリカ国民、あるいは、アメリカの永住権保持者は、海外での所得に関しても、アメリカ
の政府に対する納税義務があります。
基本的には、所得に対して、税額が決まります。特別な事情がある場合や、家族構成によ
っては、ある種の支出が控除されたり、所得額がある程度、調整されることもありますが、基
本は、収入に対して課税されるということで、支出はあまり考慮されません。このため、収
入のある割合は、税金のための支出として、最初から考えておかなければなりません。特
に、会社員の場合は、あらかじめ、給料から税額に相当する金額が天引きされるのが普通
です。
税額は、1/1 から 12/31 までのカレンダーの1年の所得で確定します。このため、翌年、アメリカの場合は、4/1
5、日本の場合は 3/15 までに、確定申告を行います。これは、最終的な税額を計算して、今まで支払った税金と
の差額を調整することです。日本の会社員の場合は、年末調整として、会社が12月の最
後の給与の時に、同様の調整を行って、給与を支払います。このため、その会社からの所
得がほとんどすべての場合は、確定申告はしなくてもいいことになっています。
なお、国(アメリカの場合、連邦政府)だけではなく、地方の政府(アメリカの場合は、S
tate, 日本の場合は都道府県)にも、税を支払う義務があります。これも基本的には、所得に課
税されるので、計算の重複を避けるため、国に対する所得税、あるいはその元になる調整
済みの所得額から、税額を計算するのが普通です。アメリカの場合は、連邦政府に支払う Federal Tax は、IRS に 1040 で、州政府に支払う State Tax は 540 で、翌年 4/15 までに申告、納税します。このため、ほぼ同時期に納税が完了します。しかし、日本の場
合は、前年分の所得税にたいして、地方税が計算されて、6月から1年にわたって納税し
ていくことになります。このため、タイミングが少しずれるので、注意が必要です。
納税は、国民の重要な義務であり、安易に考えるべきではありません。不合法に税を免れ
る脱税という行為は、悪質な犯罪とみなされ、重い罰が科せられます。アメリカの永住権
保持者の場合、脱税がある場合、アメリカ市民権を申請することはできません。
なお、事業をおこなったり、会社などの法人の場合も、個人の所得税と似たような税があ
りますが、かなり違う部分もあるので、別途、説明する予定です。
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