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総合評価1000pt以下だけど面白い「小説家になろう」のオススメ10作品

今回の記事は「総合評価1000pt以下縛り」というコンセプト先行なので、前回までの「最近読んで面白かったWeb小説」で紹介済みの作品が多いです。ご了承ください。一見さん歓迎。


さて、知らない方にご説明しますと、「小説家になろう」の総合評価は以下のように算出されるそうです。

(文章評価[5pt満点] + ストーリー評価[5pt満点] + お気に入り登録[2pt]) × 人数

読者1人あたりの持ち点は5+5+2=12pt、つまり84人が満点を付けた上でお気に入り登録をしたら1008pt。ちなみに今週の週間ランキング一位を確認してみたら総合評価17000pt弱でした。「総合評価1000pt」というのはそのくらいの基準だと思ってください。


とは言え、もちろん「つまらないものを敢えて紹介する」というわけではありません。いずれの作品も個人的にはベスト級のものばかりです。是非読んでみてください。


※総合評価の高い順に紹介していきます
※総合評価のptは11月3日時点のものです

『俺より強いあの娘を殴りに行く』本宮

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9692bo/
完結済 総合評価:764pt
「小説家になろう」で何を読めばいいかわからない人へ送る 超極私的オススメ作品6選 | ねとぽよで紹介されていて興味を持った作品です。
ゲームを題材とした小説と言えば、「小説家になろう」では(仮想現実的な)ゲームに閉じ込められたり転生したりする話が人気ですが、こちらの作品は「(現実世界で)ゲームをやっているプレイヤーの話」になります。いわゆるゲーセン小説ですね(いわゆらない)。
格ゲーに青春を懸けた少年少女たちの青春小説であり、eスポーツとしての白熱のスポ根小説であり、またゲーム以外では不器用な二人の可愛らしい恋愛小説でもあります。

『シュガー・シュガー・シュガー(!)』助供珠樹

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n7597bg/
連載中 総合評価:725pt
最近はめっきりとボカロ小説――ボーカロイドの楽曲を題材にした小説――が増えましたが、こちらの作品は「ボカロ曲を作って発表しているボカロユニット」を描いた青春小説です。
作曲担当の人見知り大学生・樫枝悟司を中心に、元気いっぱいのヒロイン・樫枝千佐都、イラスト担当の美少女・鷲里月子、ヘタレな先輩バンドマン・春日驚輔、この四人が集まって、曲や動画を作ったり、才能に嫉妬したり、別の女のせいで喧嘩したり、が描かれます。

『アカデメイア 〜少女はやがて辞書に載る〜』山鳥はむ

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5631bg/
連載中 総合評価:634pt
科学の発展著しい19世紀、フランスをモチーフにした架空の国「フランセーズ」を舞台に、女性ながらに王立学士院付属学校「アカデメイア」に入学した主人公とその同級生たちの、研究と実験漬けの学園生活が描かれています。
作者は研究職の方らしく、「塩酸蒸気を出さない石鹸の製造方法」だとか「動物の血液から鉄分ほか有用成分を分離する実験」だとか、科学にまつわる描写が慣れた手付きで織り込まれ、それがどこか魔法学校的なファンタジーにも見えてとても楽しいです。

『ネバーランド・ミュージカ』藤崎悠貴

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n8017bq/
完結済 総合評価:599pt
孤児院の出身で、教会で歌っていたところを認められて音楽学校へ転入することになった主人公が、苦労性のコントラバス、人見知りのピアニスト、気の強すぎるヴァイオリニスト、という個性的すぎる組み合わせのカルテットを結成する話です。
周囲を見下し孤高を貫く者、自身の才能の無さに絶望する者、自分以上の才能を見せつけられて苦しむ者、音楽への情熱を失ってしまった者と、さまざまに悩む者たちがいる中で作品が明るさを失わないのは、ひたすら前向きな主人公のおかげでしょう。……前向きというか、悩むほど賢くないという感じですが。いえ、明るく楽しく、音楽の魅力に溢れた作品です。

『新生帝國オカルト局』種子島やつき

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5378f/
完結済 総合評価:417pt
普通の女子高生だったヒロインが超能力に目覚め、性格歪みまくりの美少年アイドル、大企業の社長令嬢、政治家の息子のオタク、そして彼らをまとめるヒロインの祖父らと共に、かつて存在した「オカルト局」を復活させる。その目的は、「発明兵器」と呼ばれる超常的なアイテムを悪用する人間を捕まえ、発明兵器を回収すること。……というジュヴナイル伝奇っぽい話です。
がさつでさばさばした性格のヒロインを、最初は馬鹿にしていた捻くれもののアイドルが、やがてヒロインを意識するようになり、凄まじいツンデレっぷりを披露するあたりの微笑ましい恋模様が見どころです。

『私の名前を呼ばないで!』葛城

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n0764bs/
完結済 総合評価:287pt
日中はただの虚弱な美少女。しかし夜になれば悪を倒す無敵の超能力ヒーローに変身する。その名も「ブラッディ・ピロウ」! 翼を広げて空を飛び、視線だけで人間を吹っ飛ばし、そしてナイフで刺されたって死なない! ……でも変身を解くとその反動がやってきて死にかけるという。
この主人公の病弱描写がたいへんよろしくてですね、動悸が激しくなり、意識が朦朧として、大量の汗がパジャマを濡らし、廊下を這って助けを求めて、そのまま数日間も寝込んでしまったりして。フェティシズムですよねえ。
構成がかなりアンバランスで、物語を途中で無理やり終わらせたような感じになっています。続きがあるなら是非とも読みたいです。

『こうせん!』つじなつる

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n8942bk/
連載中 総合評価:258pt
高等専門学校――「高専」を舞台に、男ばかりのクラスで級長を務めることになったヒロインの獅子奮迅の活躍を描いた作品。ヒロインがイケメンすぎて女扱いされないので、逆ハーレムっぽい設定ながら、ぜんぜんそんな感じはしません。学級崩壊したクラスを変えていく熱血級長の青春ドラマという感じでしょうか。恋愛要素は仄かに香る程度であるものの、今後は少しずつ増えていく……らしい。
同作者の作品では、女刑事と王子のミステリ+ラブロマンス『探偵王子』とか、競馬の女性騎手を主人公にした『芝生の魔女』とか、いずれも非常に面白いんですが、とりあえずいちばん長く続いている作品ということで『こうせん!』をチョイスしてみました。

『獅子の系譜』谷下希

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n5995bg/
連載中 総合評価:241pt
歴史ある名門校に、密かに受け継がれる「獅子」と呼ばれる存在。それは正体を隠したまま学園を統べる王。主人公は入学早々に、次代の獅子、すなわち「獅子の娘」に選ばれてしまう。「獅子」とは何か? 当代の「獅子」は誰なのか? なぜ主人公が選ばれたのか? そして、「獅子」に対する生徒会の思惑は?
……という感じで、雰囲気がすごく良い作品なんですよね。ジュヴナイル文学の匂い。作品自体は一区切りしたところで中断されていて、ただいま全面改稿中らしいです。早く続きを読みたいですね。

『幽霊差配人』カワズ

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n4483bs/
完結済 総合評価:75pt
幽霊が見える公務員が、所在ない町の幽霊たちを最適な場所に「差配」していきながら、女子高生幽霊と同居したり、初恋の人の幽霊と出会ったり、地元の名士の娘とお見合いしたりする、ちょっと切ない恋愛ものです。最後は少し駆け足気味ですが、短くまとまっていて読みやすいです。
ちなみに同作者の『僕の彼女は相殺呪文の詠み手』も大変な傑作ファンタジーです。オススメです。


さて、いよいよ最後になります、総合評価が最も低い傑作は!

『アニラジ×ロデオ 〜夜中に声優ラジオなんて聴いてないでさっさと寝な!!』壷庭しばとっくん

http://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n2504bv/
完結済 総合評価:29pt
声優ラジオのネタ職人をしている二人の女子高生、零児と響季。「献結」ルームで出会った二人は互いに相手がネタ職人であることを知る。突き放す零児と、追いかける響季。二人の百合めいた関係が、声優ラジオと絡めて描かれます。作中に挿入されるラジオの書き起こしも手が込んでいて素晴らしい。
何より萌えるのが、思春期の少女たちの、過剰な自意識が描かれていることですよ。献血をモチーフにした「献結」という設定もそうですし、ラジオへのネタ投稿についても自意識を満たす「匿名のテロ行為」として描写されています。でも、やがてその自意識が、もう一人のネタ職人に向けられるとき、そこに愛が生まれるわけです。百合なんですよ。


というわけで以上です。