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アメリカ大陸に一番乗りしたのは北欧のバイキングだった可能性。1000年前に上陸した証拠が発見される

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(著) (編集)

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 さて前回、イタリアの船乗りたちはコロンブスがアメリカ大陸(新大陸)を発見する150年も前に、すでにその存在を知っていたという話をお伝えしたが、それよりももっと早く、アメリカ大陸の存在を知っていた人々がいた。

 北欧のバイキング(ヴァイキング)たちだ。彼らはイタリアの船乗りたちに新大陸の存在を教えただけでなく、1000年も前にその地に足を踏み入れていたという。。

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 新たに発見された考古学的証拠によると、彼らが新大陸に上陸したのは1021年。コロンブスが新大陸を発見したのは1492年だから、それよりも約500年ちかく先だ。

バイキングがつけた切りキズがついた木片を発見

 新たな考古学証拠から、バイキングが北米に到達していた時期が塗り替えられることになった。

 オランダのフローニンゲン大学を中心とする考古学チームによると、切りキズがつけられたその木片の年輪を確認したところ、今からきっかり1000年前、正確に西暦1021年にさかのぼるものであることが判明した。

 そして、このキズをつけた金属製の道具は、アメリカ先住民が作ったものではないこともわかったという。

 バイキングはこうした金属製の道具を作って使っていたし、木片が見つかったランス・オ・メドー付近に定住していたことも知られている。

 これは、ヨーロッパ人がアメリカ大陸に入植した時期というだけでなく、移動して世界へ広まっていった年代としても、もっとも早く正確なもので、知識や物資、遺伝情報の地球規模の伝播を理解する上で、決定的な基準点になると研究者は言う。

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放射性炭素測定年代法が用いられた木片 / image credit:Kuitems、M.、Wallace、BL、Lindsay、C。et al / Nature(CC BY 4.0)

木の年輪と太陽嵐から分析

 バイキングが、クリストファー・コロンブスよりも約500年も前に、北米大陸である、カナダ、ニューファンドランドのランス・オ・メドーに到達して定住していたことは前から知られていたが、その正確な時期を知ることはなかなかできなかった。

 しかし近年、木の年輪を数える、年輪年代学という独創的な年代測定ツールを考古学者たちが使いこなすようになった。

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顕微鏡で見たランス・オ・メドーで見つかった木片の年輪 / image credit:Petra Doeve, University of Groningen

 いつのものかわからない木片の年代を特定するのは、かなり難しいのではないかと思うかもしれないが、意外なことがヒントになった。それは太陽嵐だ。

 決定的な証拠とは、炭素の放射性同位体である「炭素14」の存在量だ。放射性炭素は、天然に存在するほかの炭素同位体に比べて、地球上には少量しか存在しない。

 これは、宇宙からの宇宙線の照射を受けて、高層大気中で形成される。宇宙線が大気中に入ってくると、もともとある窒素原子と相互に作用して核反応を起こし、放射性炭素を生成する。宇宙線は常に宇宙を飛びかっているため、地球には多少なりとも安定した放射性炭素がもたらされている。

 こうした放射性炭素の一部はたいてい、木の年輪にあらわれる。時に、その年輪に放射性炭素濃度が急激に上昇するスパイクが認められることがあるが、数年たつと薄れていく。

 宇宙線のおもな発生源は太陽活動なので、こうした大きなスパイクは通常、太陽フレアや太陽嵐が起きた証拠と解釈される。

 このような太陽嵐のスパイクは、世界中の樹木の年輪で確認されていて、放射性炭素の減衰の割合から、それが起こったのは紀元992~993年の間と推定されている。

 そして、ランス・オ・メドーで見つかった4つの木片にもそれがあらわれていることがわかった。

「木片から太陽嵐の痕跡が見つかったことから、切り疵がつけられたのは西暦1021年だと断定できました」フローニンゲン大学の考古学者マーゴット・クテムスは言う。

 ほかの研究者は、年輪年代学を活用して、太陽活動や古代の超新星の歴史をまとめている。

 今回の発見は、年輪年代学に新たな評価を加えることになった。太陽嵐もまた、考古学遺物の情況を把握するために、信頼できる正確な基準点として利用できることがはっきりしたのだ。

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photo by iStock

 考古学者は論文にこう書いている。

西暦1021年にはすでに、北欧人が北米大陸で活動していた証拠を、しっかり提供することができた。

この年代は、後期バイキングの年代記にとって確実な節目となる。さらに重要なことは、ヨーロッパ人がアメリカ大陸を認識する新たな基準点となり、人類が海を渡って別の大陸へ移動していった最古の年としてはっきりしたことだ

 この研究は『Nature』誌に発表された。

References:Breakthrough Discovery Shows Vikings Were Active in North America 1,000 Years Ago / written by konohazuku / edited by parumo

本記事は、海外の記事を基に、日本の読者向けに独自の視点で情報を再整理・編集しています。

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この記事へのコメント 34件

コメントを書く

  1. 北欧バイキングがすでにアメリカ発見していたとされる説は割と前から言われてたけど、
    科学的根拠に基づく証拠になり得そうなものが出てきたのは初めてだよね。
    ビッケの末裔のような知り合いのアイスランド人たちは結構その説支持してたので喜ばしいかも。

  2. 一番乗りしたのは最終氷期にベーリング地峡を渡ったモンゴロイドじゃないの?

    1. ※4
      東(アフリカ・欧州方面)から来た人たちの中でということでしょうね。
      西(アジア方面)からはそれこそ数千年どころじゃないくらい昔だもの。

  3. アメリカ大陸、ずっと昔から人が住んでいるんだけどな。
    発見っておかしくない?
    白人が知っただろ。

    1. >>6
      現在の知識・価値観はヨーロッパから始まってる。インディアンの文化の何かを、君は知ってる?世界の大半のひとが、アリストテレスなどは知っていても、同時期のインディアンにどういう知識層がいたかなど、誰も知らない。

      スタートはヨーロッパ、ないし、エジプト文明。

      もうちょい考えてから発言した方がいいよ。

      1. ※9
        シュレティンガーの猫みたいな話になってるね
        我々は欧米の人間じゃないんだから第三者目線で物を言っても良いのでは?

        まぁ欧米文化圏での大陸発見の歴史に関する記事だから「居た人」じゃなく「欧米から行った人」ついて論じてるのは何もおかしくはないけど

      2. ※9
        もっと考えたほうがいいのはあなただよ。ネイティブアメリカンの文化を知る本はたくさん発行されてるんだから読んでみたら?自分に知識がないからって存在しないと考えるのは愚かだよ

      3. >>9
        自論を展開するのは良いけど煽る必要ある…?
        発言しなきゃ議論すら上がらないんだし

      4. >>9
        何でそこまで白人に寄せなきゃなんないのか?

        ヨーロッパ人は「発見」したんじゃなくて「侵略」したの間違いだろう。

      5. ※9
        何を言ってるのかよく分からない。文字がなくても1万年続いた縄文時代の価値観を現代日本人は今でもしっかり受け継いでいますよ。

  4. フェニキア人が到達していたという説もあるし漂着してその地で終わった人も割といたんだろうな

  5. うーん、前の記事もだけど、あくまでヨーロッパ圏の人間が「到達」したと言った方がいいんでない?
    コメントにも散々出たけどじゃあ先住民族は何やねんて話になるし
    感謝祭の裏話もそうだけど、先住民置き去りにして話進めるケース大杉問題

  6. 結構、先住民族がいたじゃん、って馬鹿みたいな意見が多いんだな。

    現在の知見はヨーロッパから始まってるのに。
    古代ギリシャやらローマ、エジプト辺りと同時期、インディアンが何をどうしてたのか、誰が知ってると?高名な人は誰?

    少なくとも現在の知的発展は、ヨーロッパを基本として成り立ってるのだから、ヨーロッパから見たアメリカ大陸発見という言葉に間違いはない。

    別に欧米最高とも思ってないし、ネイティブ・アメリカンという言葉もバカだと思ってる側だけどね。

    1. ※10
      わかる。
       
      「ネイティブ・アメリカン」の人々も「われわれはインディアンとして何百年のアイディンティティがある」みたいに言ってネイティブアメリカンと呼ばれることを拒否してたりする人もいるよね。嘘と思う人は色々な部族のサイトを見て回るといいよ。
      勿論先住民の中にも色々な意見があるから全員がそう言ってるわけじゃないけど、インディアンという呼称がご本人たちにどう受け入れられている・拒否られている・思われているかも大事だよね、「ネイティブ・アメリカンて言っておけば政治的に正しいだろ」っていうことじゃなくて。

    2. >>10
      ヨーロッパ人が発見したというなら勿論そうだけど、
      この場合ヨーロッパ人=人類みたいなニュアンスで語る人が結構今でも多いから人種問題的にやめとけって話なんだと思う
      知見の話になるとそちらの言う通りなんだろうけど、
      これだと先住民族を人間扱いしてないだろって問題が出てくるからね…言ってる側にその気はなくても
      実際、先住民族の扱いって酷い時は本当に家畜以下だったし、デリケートな問題だと思う

    3. >>10
      これこそ馬鹿な意見。
      その理論だと日本列島に一番乗りしたのもヨーロッパ人ということになるのか?
      アメリカ大陸に初めて到達したのはアメリカ先住民。これはただの事実。意味不明な逆張りをするな。

    4. >>10
      発見したのは先住民族で間違いない
      欧米人は後から乗り込んで侵略しただけ

      欧米人がジパングを見つけて◯◯年にジパングを発見したって言ったらどんな気持ちになる?

  7. そうなるとだれかの怒りを買うことにでもなるかのような記事ですねw

  8. 半世紀前に既にヴァイキングがカナダに居住していた証拠は見つかっているんだが
    今更何を言い出してるんだろうね
    どうしても新大陸の再発見はコロンブスでなければ嫌だっていう困った白人が多いのかな

    1. ※18
      このニュースのキモは、具体的な年代を特定できたってこと
      これまでは遺物から行ってたことはわかってても、それがいつのことかは断定できなかった

  9. 考古学のこの手の調査は結論ありきのバイアスかかった状態で調べてることが多いので、話半分で聞くくらいが丁度いい。

  10.  僕がそいつに名前をつけた訳ではない。<やあ、ウージェーヌだな!>と僕は言ったまでだ。ちょうど黒ん坊どもが、<や、クリストファ・コロンブスだ! おれたちは発見された!>と叫んだように。

  11. C14法だけだとどうしても誤差があるから、こういう突発イベントの痕跡と年輪年代法の組み合わせで精度が上がるのはいいね。
    994~995以外にも以下の年代に宇宙線増加イベントがあったそうな。
    774~774・紀元前660前頃・紀元前3371~3372・紀元前5480

  12. カナダでローマ帝国のコインが見つかったという話を耳にしたけど、定説よりも昔のヨーロッパ人や他の国の船乗りがアメリカ大陸に立ち寄ってたのかな

  13. 仮にバイキングとインディアンが戦争してたらどっちが勝ったんだろ!?

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