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マルハナバチは視覚と触角を使って、それが何かを認識する認知能力がある(英研究)

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(著) (編集)

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Josef Pichler from Pixabay

 あなたが棚の少し高いところにしまっておいたハチミツを探しているとしよう。それがどんな形の瓶に入っていたのか覚えている。きっと見なくても、手で触れるだけでそれと分かるはずだ。

 こうした能力を「クロスモーダル物体認識」という。視覚と触覚を通じて形成される三次元物体の脳内表象のことで、部分的には、人間が脳に記憶されているその物体のイメージを思い浮かべられるためにできることだと考えられている。

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 どうやら、こうした心のイメージは、人間だけでなく、マルハナバチも持っているようだ。マルハナバチは複雑な認知機構を持っており、視覚と触覚を使って対象を認識できることがわかったという。

 そして、これは意識の”構成単位”であるとも考えられている。

 『Science』(2月21日付)に掲載された研究によると、マルハナバチはそれまで触れたことしかない物体を、目で見てそれと認識したり、その反対に目で見ただけの物体を触れるだけで認識したりできるのだそうだ。

暗闇の中で砂糖水入りの容器の形を覚えさせる実験

 ロンドン大学クリーン・メアリーなどの研究グループによる実験では、マルハナバチをいくつかのグループにわけて、ある形の容器には甘い砂糖水が入っていることを覚えさせた。

 容器には球と四角の2種類があり、どちらかの形状のものに砂糖水が入っている。だが、もう一方には苦いキニーネが入っている。

 そして、あるグループについては、このことを真っ暗な中で教える。このグループのマルハナバチに容器の形状は見えず、ただ触れて感じることしかできない。

 他方の明るいところで訓練したグループには、容器に触れさせなかった。そのため、容器の形状を目で見て覚えることになる。

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image by:Lars Chittka

触れたことはあっても、見るのは初めてなはずの容器の形状を認識

 この後で、それまでの環境を入れ替えてみる。つまり暗いところで訓練されたグループは、今度は容器には触れられず、目で見て甘い砂糖水を探さなければならない。明るいところで訓練されたグループはその逆だ。

 この結果、驚いたことにマルハマバチは訓練のときよりもずっと早く砂糖水にありつくことができたという。

 つまり、暗闇で訓練されたグループなら、触れたことはあっても、目で直接見るのは初めてであるはずの容器でも、すぐにお目当てのものと認識したのだ。明るいところで訓練されたグループもまた同様だ。

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image by:Lars Chittka

マルハナバチの驚くべき認知能力

 ロンドン大学クリーン・メアリーのクウィン・ソルヴィ博士が言うように、おそらく多くの人は、小さな脳しか持たないマルハナバチはただ刺激に反応しているだけで、世界を心で解釈するようなことはないと考えているのではないだろうか。だが、どうやらそうではないようだ。

 はたして、私たちはハチの知能を過小評価していたのだろうか? あるいは、クロスモーダル・オブジェクト認識を実行するために必要となる脳の複雑さを過大評価していた可能性もあるだろう。

 これまでの研究から、マルハナバチは仲間の行動を観察して学習したり、ポジティブな感情を表現したりできることが知られていた。その賢さはすでに分かっていたのだが、それでもなお今回の結果は研究者にとって驚きだったという。

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nnorozoff/iStock

小さなマルハナバチにも己を認識する意識がある

 ラーズ・チッカ教授によると、この結果は私たち人間とマルハナバチには、これまで考えられていた以上に共通したところがあることを示す科学的証拠であるという。

 なお、ここでの「意識」には注意が必要とのことだ。そもそも、意識とは単純な基準で定義することが難しい、非常にとらえどころのない現象だ。したがって、今回の結果は、マルハナバチに意識があるという完全な証明であるわけではない。

 それでも今回の研究結果やそのほかのハチの心理を扱った研究を総合して考えれば、小さなマルハナバチにも己を自覚する意識があるらしいことが指し示されていると、チッカ教授は述べている。

References:sci-news / abcなど/ written by hiroching / edited by parumo

本記事は、海外メディアの記事を参考に、日本の読者に適した形で補足を加えて再編集しています。

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この記事へのコメント 16件

コメントを書く

  1. 物事の捉え方や感じ方、空を飛ぶ方法、多くの点で人間はマルハナバチさんに及ばない。まだまだですな、人類。

  2. 寒い日に、うまく飛べなくなっちゃって巣の外でコロコロ転がってるドジっ子属性もちのクセに賢そうだね?

  3. 一寸の虫にも五分の魂というが、八百万の神を戴く日本人ならどんな物にも魂が宿っているというのは極く自然に受け入れられるし、そこから人間以外の物にも存在に対する敬意が生まれる。
    だが物質主義なのに唯一神を信じるような自己矛盾した思考形態の西欧人には虫に自我意識(魂)が有ると考えることは中々難しいとは思う。面白いのは科学がそれを証明してしまうかもしれないという事だ。

  4. 虫に限らず生きるのに必要な情報を記憶するくらいはしてそうだよね
    判明してないだけなんだ

  5. 以前、道に落ちていたミツバチを自宅の白蝶草の花のところにそっと乗せたら、モゾモゾと動き出して花の奥に顔を突っ込んでいた。掌に乗せて5mほど移動してしまったんだがあの子は蜜で回復して無事帰れたんだろうか…。

  6. モフモフしてるだけでこんなに可愛くなれるんだから
    スズメバチとか毛虫とか、ツルッとプクッとしてる奴らもう少しどうにかならんのだろうか
    庭で遭遇する時ギャってなるのがホントに辛い

    1. ※9
      かわいかったらお子ちゃんが手を出して事故になる危険が上がると思うの。人間だって、いい人だと思ったら腹黒い人のほうが傷つけられるダメージがデカいし

  7. まるはなたんはもふもふ可愛いから好き
    名前もマルとハナで可愛い

  8. マルハナバチが何故に飛行できるのかを、簡明直截に説明してくれる理系の天才いねえが???

  9. パターン認識の機構「コラム」があるって解釈でいい?
    だから視覚でも触角でも「四角」のコラムが反応すれば四角とわかるってことかな。

  10. 昔手掴みで捕まえて遊んだけど、最近見ないなぁ。研究結果には驚くけれど、それを知った時には既にいなくなってたなんて未来が来るのは悲しい。この春から花を植えようかな。

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