家電ミニレビュー

超小型な電動空気入れの実力は? 使ってわかったこと

Pump Racer UQ-BLPUMP

電動空気入れの新製品を家電 Watchに載せると、どの記事も多く読まれている。それだけ注目度が高いということで、今回はユニークの「Pump Racer UQ-BLPUMP」を使ってみた。価格は7,980円。

小型軽量ボディで保管や持ち運びしやすい

本体は約73×34×47mm(幅×奥行き×高さ)と、手にのせてギュッと包み込めるほどではないが、コンパクトなサイズ。重さも約128gと、電動ではない携帯できる自転車用の空気入れよりも若干重いくらいで、すこぶる軽い。

本体は小さくて軽い
サイクルジャージの背中のポケットにも入れておける大きさ

まずは屋内で動作を確認してみた。使う際の本体操作はシンプル。「電源」ボタンを長押しして起動させたら、「+−」ボタンで空気圧を設定。あとはタイヤのバルブにノズルをつなげたら、「電源」ボタンを1回押すと空気が送り込まれていく。なお、空気圧は2〜120PSIで設定可能だ。

操作は「+−」ボタンと「電源」の3つのボタンで行なう

空気を出してみると、音の籠もる室内では、けっこう「ひぇ〜!」っと驚くほど大きな音がして、慌ててすぐにオフにした。感覚値であるが、例えば掃除機の音と比べて音量が大きいか? と聞かれればそうでもなく、単に慣れていない音だから耳障りに感じたのではないかと思う。

その後、マンションの玄関前で使ってみたが、まぁ予想通りだが音がよく響き、室内にいた妻から「何やってんの! うるっさいよ!」とクレームがあった。こうした場所での使用は、環境によっては近所迷惑になる可能性があり、筆者宅では控えることにした。

本体底面の空気の吹き出し口。ここに対応ノズルを装着して使う
LEDライトを内蔵している

実際に自転車の空気を入れてみた

自転車には英式/米式/仏式と、主に3つのバルブ方式がある。我が家の場合は、筆者の小径自転車が仏式で、妻と子供の自転車が英式バルブ。「Pump Racer UQ-BLPUMP」は3方式に対応し、2つのノズルが付属する。

2つのノズルのうち「米式ノズル」は、紛らわしいが、米式と仏式のノズルに対応する。そのため我が家の場合は、3台のどの自転車を入れる時にも「米式ノズル」だけで空気を入れられる。

対応する3つのバルブ方式

タイヤの空気を入れる際には、直接本体にノズルを装着して使う方法と、付属の延長エアーホースを本体に着けて、その上でホースにノズルを装着して使う方法とがある。

いずれにしてもタイヤ側のバルブに、本機のノズルがカチッとはまるわけではないので、本体や延長エアーホースの取り付け角度は、注意が必要だ。

電源を入れて空気圧を設定したら、タイヤ側のバルブに本機を取り付けて、再度「電源」ボタンを押せば「ゔ〜ん」と音を立てながら空気が入っていく。タイヤの空気を完全に抜いたわけではないので、数十秒で設定した空気圧に達して、本機の動きが止まった。

もう少し大きなタイヤの空気も入れてみたいと思い、近所でマウンテンバイクに乗っている方のタイヤにも空気を入れさせてもらった。今度は入れる前に、バルブの先端を押して空気を抜いた状態からスタート。延長エアーホースを介していることもあるかもしれないが、設定した空気圧に達するまでに2分以上かかった。

マウンテンバイクに空気を入れたところ

また延長エアーホースを使う場合は、タイヤ側のバルブに装着する前に、電源ボタンを押して空気が出ている状態でノズルに取り付けた方が、その後、タイヤへスムーズに空気が送り込まれた。

結論としては、自宅に手動の空気入れがある場合には、そちらを使うだろうなということ。普段使いに適していないことはないが、やはり音が大きくてマンションだと使いにくいと思い、電動の方に明らかな優位性は感じなかったからだ。こうした小型の電動空気入れは、現状では、手動でなおかつ携帯用の空気入れの代替として考えた方が良さそうだ。

もしサイクリングなどでパンクの心配に備えるなら、携帯用空気入れの代わりに「Pump Racer UQ-BLPUMP」を持っていくのはアリだろう。パンクの処置をして、ゼロから空気を入れる場合、ポケットからサッと出して使えて、無駄な体力を消耗せず空気を入れられる同機は、便利に感じるはずだ。

自転車用タイヤの適正な空気圧

「Pump Racer UQ-BLPUMP」を使うにおいて、自転車の空気圧を、どのくらい入れるべきなのか迷ったので、ここに記しておきたい。同機の取り扱い説明書に記載されているとおり、一般的なシティサイクルや電動アシスト自転車の場合の空気圧は、44PSI前後。一方のロードバイクは100PSI前後で、マウンテンバイクは65PSI前後。

適切な空気圧

ただ、よほどの自転車好きでなければ、これらの数値を覚えていないだろう。また、シティサイクルの場合は……などと前述したが、正確には車種と空気圧は関係なく、装着タイヤごとに適切な空気圧の範囲がメーカーによって記されている。

そこで「あれ? 空気圧をいくつに設定すればいいんだろう?」と迷った時には、タイヤの側面を見ると良い。とても読み取りづらいが、空気圧の適正な範囲、最小値と最大値が示されている。

妻の電動アシスト自転車の場合は「40〜65PSI」
息子の子供用自転車の場合は「40〜65PSI」
筆者の小径自転車の場合は「35〜45PSI」
近所の方のマウンテンバイクの場合は「35〜60PSI」

ずいぶんと範囲が広いようにも思えるが、空気を入れる際には中間値を設定してもよいだろうし、走りに軽快感が欲しいとか、速く走りたいという場合には、最大値に近い数値を設定するといいだろう。

また空気圧を表す単位は、本機で採用されている「PSI」のほかに、「bar」や「kpa」がある。タイヤの適正空気圧の表記で、万が一に「PSI」以外の単位が使われていた場合には、難しいが……「10PSI=0.7bar=70kpa」で計算して割り出してほしい。

河原塚 英信