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ソユーズMS-19

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ソユーズMS-19
国際宇宙ステーションに到着するソユーズMS-19
名称ISS 65S
任務種別ISS乗員輸送
運用者ロスコスモス
COSPAR ID2021-089A
SATCAT №42969
ウェブサイトhttp://en.roscosmos.ru/
任務期間175日(計画)
1144日, 16時間, 10分(進行中)
特性
宇宙機ソユーズMSNo. 479 『アストライオス』
宇宙機種別ソユーズMS
製造者RKKエネルギア
乗員
乗員数3
乗員
任務開始
打ち上げ日2021年10月5日08:55:02UTC[1]
ロケットソユーズ 2.1a
打上げ場所バイコヌール宇宙基地31番射点
打ち上げ請負者プログレス国家研究生産ロケット宇宙センター
任務終了
着陸日2022年3月28日(計画)[2]
着陸地点カザフステップ
軌道特性
参照座標地球周回軌道
体制低軌道
傾斜角51.66°
ISSのドッキング(捕捉)
ドッキング ラスヴェット天底
ドッキング(捕捉)日 2021年10月5日12:22:31UTC
分離日 2021年12月(計画)
dock時間 1144日, 12時間, 43分(進行中)
ISS(再配置)のドッキング(捕捉)
ドッキング ポイスクPoisk天頂側(計画)
ISS(再配置)のドッキング(捕捉)
ドッキング ラスヴェット天底側(計画)
ISS(再配置)のドッキング(捕捉)
ドッキング プリチャル天底側(計画)
ドッキング(捕捉)日 2022年3月9日(計画)
分離日 2022年3月28日(計画)
dock時間 19日間(計画)

シペンコ、ペレシルドおよびシュカプレロフ

ソユーズMS-19は2021年10月5日08:55:02UTCに打ち上げられたソユーズによる宇宙飛行である[1]。ソユーズMS-19は147回目のソユーズ宇宙船による有人飛行である。ロシア人コマンダーのアントン・シュカプレロフ、ロシアの映画監督クリム・シペンコ英語版およびロシア人女優ユリア・ペレシルドが搭乗した[3]。シペンコとペレシルドはソユーズMS-18に搭乗して地球に帰還する前にISSで約12日間を過ごし、宇宙空間で映画 Vyzovロシア語: Вызов;挑戦英語版)を撮影した[4][5]。この飛行では第65次長期滞在および第66次長期滞在の3人のクルーが打ち上げられた[6][7]。アメリカ人飛行士抜きで、2000年のソユーズTM-30以来、21年ぶりにロシア人飛行士および宇宙旅行者だけの打ち上げであるとともに、打ち上げ時に一人で操縦するために、船をアップグレードする必要があった[8]

クルー

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地位 打ち上げ機乗組員 着陸機乗組員
コマンダー ロシアの旗 アントン・シュカプレロフ, ロスコスモス
第65次 / 第66次長期滞在
4回目の宇宙飛行
宇宙飛行参加者 /フライトエンジニア1 ロシアの旗 クリム・シペンコ英語版, チャネル1
映画 The Challenge英語版Vyzov、「挑戦」)の撮影[7]
1回目の宇宙飛行
ロシアの旗 ピョートル・ドゥブロフ英語版, ロスコスモス
第64次/第65次/第66次長期滞在
1回目の宇宙飛行
宇宙飛行参加者 /フライトエンジニア2 ロシアの旗 ユリア・ペレシルド, チャネル1
映画 The Challenge英語版Vyzov、「挑戦」)の撮影
1回目の宇宙飛行
アメリカ合衆国の旗 マーク・T・ヴァンデ・ヘイ, NASA
第64次/第65次/第66次長期滞在
2回目の宇宙飛行

バックアップクルー

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地位 乗組員
コマンダー ロシアの旗 オレッグ・アルテミエフ英語版, ロスコスモス
宇宙旅行参加者 ロシアの旗 アレクセイ・ドゥディン
宇宙旅行参加者 ロシアの旗 アレーナ・モルドヴィナ

[9]

リザーブクルー

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地位 乗組員
フライトエンジニア ロシアの旗 ドミトリー・ペテリン英語版, ロスコスモス
フライトエンジニア ロシアの旗 セルゲイ・コルサコフ英語版, ロスコスモス

打ち上げとドッキング

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宇宙ステーションに駐機する、シグナスNG-16宇宙補給船、クルードラゴン Crew-2、有人船ソユーズMS-18およびMS-19と再補給船プログレス78の5機の宇宙船

ソユーズMS-19は2021年10月5日08:55:02 UTCに打ち上げられ、3時間軌道2周回交差プロフィルに従い、宇宙船のコマンダーであるアントン・シュカプレロフが手動ドッキングシステムを操作して、ISSラスヴェットモジュールに12:22:31 UTCにドッキングした。

2021年12月、ソユーズMS-20の到着に備えて天底側のドッキングステーションを空けるために、ソユーズMS-19をラスヴェットモジュールからポイスクモジュールへと移動させることが計画されている。2022年2月には再びポイスクからラスヴェットに再ドッキングすることが計画されている。2022年3月にソユーズMS-19はラスヴェットからプリチャルへと3回目の再ドッキングをすることになっている。

背景および映画プロジェクト

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2021年5月14日、ロシア省庁間委員会は2021年から2023年のISSのメインおよび予備クルーの構成を認可した[10]。アントン・シュカプレロフ宇宙飛行士(コマンダー)および映画映画 The Challenge英語版 のクルー(女優のユリア・ペレシルドおよび監督のクリム・シペンコ英語版)がソユーズMS-19でISSへと向かうことになった。撮影はロスコスモスチャンネル1およびイエロー、ブラック・アンド・ホワイトロシア語版スタジオの合弁事業である[11][12]。医療委員会を通過した後で選ばれた代替案はニュー・ドラマ・シアターの女優アリョーナ・モルドヴィナと監督のアレクセイ・ドゥディン[13]およびコマンダーのオレッグ・アルテミエフである[14]。2021年5月24日から乗組員はガガーリン宇宙飛行士訓練センターで訓練を受けていた[15]。7月23日、一次クルーはソコル宇宙服を着用して、ソユーズのレプリカ内部での4時間のシミュレーションに参加し[16]、バックアップクルーも同じ訓練を完了した。コマンダーのオレッグ・アルテミエフ英語版によれば、2人のバックアップの宇宙飛行参加者の能力は目覚ましいものがあるとのことである[17]。2021年7月30日、宇宙船の打ち上げ前準備が開始された[18]。2021年8月31日、医療委員会はメインと予備の双方のクルーは宇宙飛行に向けて健康上の問題がないことを発表した[19]

撮影機材はプログレスMS-17で打ち上げられた[20]

監督と女優は2021年10月17日にコマンダーのオレッグ・ノヴィツキーとともにソユーズMS-18で地球に帰還することが計画され、予定通り実施された[21]。ソユーズMS-18でISSに到着したピョートル・ドゥブロフ飛行士とマーク・ヴァンデ・ヘイ飛行士はシュカプレロフとともにソユーズMS-19で着陸予定である[6][22]。ソユーズMS-19は2022年3月28日に着陸する予定である[23]

反応

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ロスコスモスの首脳のドミトリー・ロゴージンによれば、この映画は「ロスコスモスが、普通の2人の人を約3〜4ヶ月で飛行する準備をさせることができるかどうかを確認する実験」であり、科学および航空宇宙コミュティからは、彼らのフライトから訓練された宇宙飛行士を排除するとか、公金の悪用であるとか[24]、さらには非科学的な目的のためにステーションのリソースを使用することさえも違法であると反発されている。ロシアの検事総長、イゴール・クラスノフ英語版は、宇宙ステーションの資源の使用が違法であるかどうかの調査を開始した[25]。ロスコスモスの有人飛行部門の責任者セルゲイ・クリカレフはこのプロジェクトに反対して発言したことで地位を失ったと伝えられているが[26]、現役宇宙飛行士からの抗議で数日後に復帰した[15]

映画

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クリム・シペンコは監督、オペレーター、アートディレクター、メークアップアーティストを兼任して、ISS船内で35分から40分の映画を撮影する予定である。オレッグ・ノヴィツキーピョートル・ドゥブロフ英語版も映画に出演し[27]、ドゥブロフとマーク・T・ヴァンデ・ヘイが映画製作を援助する予定である[28]。シュカプレロフも映画のいくつかのシーンに登場することになっている[29]

ロシア側モジュールの拡張

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ナウカがドッキングした後のロシア側モジュールのコンピューター生成画像

2020年秋にロスコスモスが起草したISSフライトマニフェストでは、2021年11月24日にPrichalモジュールを打ち上げ、2日後にナウカの天底側ポートにドッキングすることになっている[30][31]。Prichalモジュールは2021年にロシア側モジュール(ROS)に追加される2番目のモジュールになる。Prichalの1つのポートにはナウカ・モジュールとのドッキングを可能とするアクティブ・ハイブリッド・ドッキング・ポートが装備されている。残りの5つのポートは、ソユーズおよびプログレス輸送機や、より重たいモジュールや、ドッキングシステムが変更された将来の宇宙船とのドッキング可能なパッシブ・ハイブリッド・ポートとなっている。これによって、ロシア軌道セグメントは2024年以降に中国の天宮宇宙ステーションないし、自国で運営するステーションとドッキングすることが可能になる[32]

船外活動はプリチャルがISSに到着した後に計画されており、アントン・シュカプレロフによる2回目の船外活動は2021年第4四半期の初めに計画されている。2022年までに6回の船外活動が続き、ナウカ・モジュールとプリチャルモジュールのロシア側モジュールへの統合が完了する[32]

脚注

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  1. ^ a b Launch Schedule”. Spaceflight Now (23 February 2021). 25 February 2021閲覧。
  2. ^ Zak, Anatoly (3 September 2020). “Planned Russian space missions in 2021: Soyuz MS-19”. RussianSpaceWeb.com. 4 September 2020閲覧。
  3. ^ Фильм «Вызов»: итоги медкомиссии”. Roscosmos (13 May 2021). 2021年8月7日閲覧。
  4. ^ Russian actress to head to ISS in 2021 to star in first feature film in space” (2 November 2020). 17 November 2020閲覧。
  5. ^ “Выбраны 20 претенденток на роль в фильме, который будут снимать на МКС”. Интерфакс. (9 March 2021). https://www.interfax.ru/russia/755118 
  6. ^ a b Срок полета двух членов экипажа «Союза МС-18» увеличат”. ТАСС (2021年3月14日). 2021年4月23日閲覧。
  7. ^ a b Roscosmos appointed ISS crews until 2023” (2021年5月19日). 2021年6月1日閲覧。 “Participants of the joint project of Roscosmos and Channel One Klim Shipenko and Yulia Peresild have been included in the ISS-66 expedition prime crew...”
  8. ^ Soyuz crewing plans for 2021 now clearer” (2021年3月16日). 2021年7月25日閲覧。
  9. ^ RIA News (20 March 2020). “Flight crew assignments”. NASASpaceFlight.com. 12 October 2020閲覧。
  10. ^ Космонавты готовятся к очередной экспедиции на МКС”. ЦПК им. Ю.А.Гагарина (2021年5月25日). 2021年5月25日閲覧。
  11. ^ Актриса и режиссер фильма «Вызов» полетят к МКС 5 октября”. ТАСС (2021年4月29日). 2021年4月30日閲覧。
  12. ^ Экспедиция МКС-65/66. План полёта”. Русский космос. p. 17 (April 2021). 2021年8月6日閲覧。
  13. ^ Фильм «Вызов»: итоги медкомиссии”. Роскосмос (2021年5月13日). 2021年5月13日閲覧。
  14. ^ Носенкова С. (April 2021). “В открытом космосе рекорды не самая хорошая вещь”. Русский космос. 2021年8月6日閲覧。
  15. ^ a b Russian Movie in Space Part 8” (2021年7月10日). 2021年7月25日閲覧。
  16. ^ У основного экипажа МКС-66 начались совместные тренировки” (2021年7月23日). 2021年7月23日閲覧。
  17. ^ The ISS-66 back-up crew were "launched" to the ISS, for the first time” (2021年7月29日). 2021年8月22日閲覧。
  18. ^ На Байконуре началась предполетная подготовка корабля «Союз МС-19»” (ロシア語) (2021年7月30日). 2021年8月7日閲覧。
  19. ^ Члены экипажей МКС-66 признаны годными к космическому полету” (ロシア語) (2021年8月31日). 2021年9月2日閲覧。
  20. ^ Equipment for shooting 1st movie in space delivered to ISS by Russian cargo spacecraft” (2021年7月2日). 2021年7月12日閲覧。
  21. ^ “国際宇宙ステーションで初の長編映画撮影を行っていたロシア映画班が無事に帰還”. Tech Crunch. (2021年10月18日). https://jp.techcrunch.com/2021/10/18/russian-film-crew-returns-from-iss/ 2021年10月18日閲覧。 
  22. ^ На МКС 10 человек”. Роскосмос (2021年4月9日). 2021年4月30日閲覧。
  23. ^ ISS: Expedition 67”. spacefacts.de (2021年6月15日). 2021年6月16日閲覧。
  24. ^ Russian actresses who will compete for trip to ISS identified” (2021年3月21日). 2021年7月25日閲覧。
  25. ^ Russia looks for actress to steal Tom Cruise space movie thunder” (2020年11月4日). 2021年7月25日閲覧。
  26. ^ СМИ: Космонавт Сергей Крикалев лишился должности в «Роскосмосе» после критики идеи съемок на МКС” (2021年6月13日). 2021年7月25日閲覧。
  27. ^ Создатели научно-просветительского проекта «Вызов» раскрыли некоторые секреты фильма” (ロシア語) (2021年7月31日). 2021年8月7日閲覧。
  28. ^ Russia to switch to year-long expeditions to orbital outpost, says Roscosmos chief” (2021年6月16日). 2021年7月12日閲覧。
  29. ^ Soyuz MS-19 | Soyuz 2.1a”. Everyday Astronaut  (2021年10月1日). 2021年10月1日閲覧。
  30. ^ Zak, Anatoly (9 February 2021). “ISS set for the Russian expansion”. RussianSpaceWeb.com. 9 February 2021閲覧。
  31. ^ Zak, Anatoly (10 October 2020). “Planned Russian space missions in 2021”. RussianSpaceWeb.com. 17 November 2020閲覧。
  32. ^ a b Zak, Anatoly (15 January 2011), Prichal Node Module, UM, RussianSpaceWeb.com, http://www.russianspaceweb.com/iss_node.html 17 November 2020閲覧。 

外部リンク

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