指先の向こう

写真を撮られるのを
いつも嫌がっていたあなた


日常で共にいられない二人が
共にいられる僅かな時間を
なにげない日常にするために
記念写真を残すことを嫌がった




流星群を見たいと
いつも願っていたあなた


日常で共にいられない二人が
逢いたくても逢えない夜に
離れていても繋がるために
流星群を見ることを願った




写真を撮られるのを
いつも嫌がっていたあなた


僕はついに一度も
あなたの最高の輝きを
ファインダーに
おさめることはできなかった




流星群を見たいと
いつも願っていたあなた


僕はついに一度も
あなたと同じ星を
離れていたとはいえ
探すことはできなかった




あなたに伸ばしたこの手を
今でも元に戻せずにいるというのに
今夜もまた流星群が夜空を横切った




伸ばした手の向こう側にある闇に
写真にはおさめられなかった
あなたの最高の笑顔を
指先で描き
それを僕だけの星座にした


2007/7/30 00:02初出