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The Nipponization of Ben Bernanke
 先般のバーナンキFRB議長の講演に対するクルーグマン教授の批判である。FRBの日銀化を揶揄する一連のシリーズが続いている。デロング教授の批判に相乗りした今回のエントリーは、バーナンキ議長の講演内容が従来よりは緩和に積極的であることは認めながらも、以下のように批判している。

「But with unemployment near 10 percent and headed up, core inflation below 1 percent by most measures and headed down, the Fed is edging toward modest action, while worrying about the risks?」
失業率が10%近くで、さらに上昇する一方、コアインフレは1%を下回る中、FEDは非伝統的政策のリスクを心配しながら、ちょっとした緩和策に漸進しているだけじゃないか。

 で、今回もまた日銀と同列視である。ちょっと違うと思うが。
「What I have always suspected is that the real risk the Fed fears is that it will do unconventional stuff but fail to move the economy, and hence lose face — which was the primary reason the Bank of Japan was so unwilling to act back when Professor Bernanke used to criticize it」
 私が思うに、FEDが恐れている本当のリスクは、非伝統的政策をやることではなく、やっても経済を動かせず、面目がつぶれることじゃないのか。これって、バーナンキ教授が批判していた頃の日銀が緩和を渋ったのといっしょだろう。
→日銀は非伝統的政策(=量的緩和)が効かずに恥をかくのを恐れたのではなく、もともとあまり効かないと思っていたので、漸進主義だった。

クルーグマン教授にはまあどちらでもいいのかもしれない。とにかくすぐやれ、ということだろう。

 個人的には、ゼロ金利下の金融政策は“演技的緩和”を除けば効力は非常に限られるので、FRBの漸進主義的な緩和政策(かつての日銀)はいいのではないか、と思う。バーナンキ議長としては、かつての日銀批判で“ヘリコプター・ベン”との異名もあるので、引き続きヘリマネーやらないことへの批判は受け続けるのだろう。

 日米中銀、いずれも緩和が漸進主義で、実効性の面では(クルーグマン教授的には)目くそ鼻くそなのだけど、外為市場はこの「くそ」の差に反応してドル安(円高)基調ということだろう。この差による」円高に耐えられない」のなら、中国を見習って堂々と為替操作国を宣言するしかない。金融政策はトリレンマに陥るので、財務省の通貨政策が日本の金融政策となる。それとG7からの脱退が必要となる。
by bank.of.japan | 2010-10-17 17:34 | FRB&others | Comments(4)
Commented by 通公認 at 2010-10-18 14:05 x
為替市場が「くそ」の差に反応しても、それって永続的じゃないでしょう。ただのランダムウォークです。トレーダーは日々の微妙な変動をネタに商売しているので、何でもかんでも動いてくれないと困るだけなのです。動いた理由をもっともらしく広報してくれるマスコミの方に感謝しつつ、適当なことを毎日つぶやいているのです。

中期的なトレンドはやっぱり資金需給で決まるんですよ。資金は理論的には無限に供給可能なわけで、もちろん事実上の限界はありますが、それはほぼインフレーションの率でキャップされているわけで、「供給サイド」である金融当局の意思決定は資金需給を動かす上ではやっぱり重要なんじゃないでしょうか?
Commented by 通公認 at 2010-10-18 14:06 x
というか、「為替操作国」という言葉の定義って、どうなってるんでしょ?
固定相場なら、自由市場は存在していても「無制限に売り買いに応じる」公的な機関が、レートを固定しちゃうわけでして。中国なんかの場合は、参入が制限された為替市場に当局のかなり直接的な指導が行われているわけでして。そういう国を為替操作国と呼ぶのはわかります。でも、円高だしデフレだから金融緩和しようよというだけで、為替操作国認定するのは、物凄く違和感があるんですよね。それって、金融政策そのものを禁止しているのと一緒ですよね。そんな国はどこにも無いでしょう。ゆえに、日本の為替介入を指して、為替操作国云々なんていう論調はすべからくジャンクに見えてしまうのであります。
Commented by Cru at 2010-10-18 23:59 x
「G7からの脱退が必要」というのは国際政治的にはだいぶんナイーブな見通しでは?
Commented by bank.of.japan at 2010-10-29 23:59
円高&デフレ圧力、だから介入するのであって、日本は為替操作国ではないと私も思います。

現実的にはG7から脱退は考えにくいですけど。
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