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「ダム論」で景気を語ろう、に不安を覚えた
 表題のような記事が経済紙(31p)にあった。オチがあるかと思って読んだが、なかった。オチがないのがいけない、というわけではもちろんない。ダム論は大分前のエントリーでも書いたことがあるが、企業収益の増大が家計に波及する「前向きの循環メカニズム」を分かりやすく言い換えたものであり、それ自体の概念は一般的だ。問題は、5年前のゼロ金利解除に先立って、日銀が展開したロジックであったこと。以降、ダム論は呪われた用語となり、日銀内では死語となった感が強い。今回復局面で日銀幹部に「ダム論」を何度かぶつけたことがあるが、嫌な顔をされたり、無視されたりした(聞いたのが私だからかもしれないが…)。
 私および私の周辺ではネガティブなダム論だが、大手メディアが普通に使い始めたことは、もしかしてダム論を分かりやすい概念として素直に受け止める向きが増えているのかもしれない、とふと思った。金融市場の参加者の平均現役年数がどれほどか分からないが、5年未満であれば、呪われたダム論の記憶が薄れる可能性はある。この場合、ダム論の記事にオチを求める私の方が時代に取り残されつつあることを意味し、ちょっと不安を覚える。みなさん、ダム論で景気を語れますか?
by bank.of.japan | 2005-07-12 14:47 | 経済 | Comments(8)
Commented by かんべえ at 2005-07-13 09:15 x
はじめまして。かんべえと申します。
ヨミウリウィークリーという雑誌の4月25日発売号「経済現論」というコラムで、「ダム論の再検証」という記事を寄稿したのですが、悲しいかな誰も何とも言ってくれませんでした。ダム論は正当だけど、企業のマインドが冷え込んでいるからどうですかねえ、という内容。
日銀の中の人も読んでないのかなあ。
Commented by bank.of.japan at 2005-07-13 11:02 x
かんべえさん、どうもです。匿名で運営しており、自己紹介できなくてすみません。本来、ダム論は分かりやすい比喩なので、景気動向を議論するうえでは便利な存在です。現状をダム論で見た場合、個人的にはかんべえさんの紹介された内容にアグリーです。なお、日銀マンは今なおダム論にはトラウマがあり、自らは口にしない感じです。「ダム論」を持ち出すと、彼らは嫌味と思うでしょうね。ダム論には罪はないのですが…。
Commented by BOJWW at 2005-07-13 12:30 x
ええっ、匿名なんですか???
Commented by bank.of.japan at 2005-07-13 14:24 x
はい(笑)。かなりの読者は多分知っているのであまり意味はないのですが、当ブログは形式上は匿名での運営です。実名の場合は社の了解が必要でしょうから。この辺は現在前向きな対応が取られる方向ではありますが…。
Commented by シラケ鳥 at 2005-07-13 19:30 x
総裁記者会見。「やっと大人の対応を取るようになった」のはいいですが、ウラを返せばこれまでは子供じみてい過ぎということ。当局として軸がブレ過ぎます。もとより市場もそれを見透かし済みでしょうが。現総裁は弁は立つようですが、中央銀行総裁として本当に信頼が置けるのですか?
Commented by bank.of.japan at 2005-07-13 21:11
政策運営の正念場はこれからでしょう。解除できる情勢なのに解除できない、または景気が悪化したとき、どこまで踏ん張れるか。そういった局面で信頼感が問われると思うのですが…。
Commented by BOJWW at 2005-07-14 12:33 x
要人発言でマーケットが動く場合、発言者の信頼の有無で
1)投資家から絶大な信頼を得ている
2)投資家は「こいつは何をしでかすか分からない」とみている
の両極端に分類できるでしょう。
今年2月末の総裁講演での
「異例の緩和の下では、行き過ぎが生じていないかといった点に注意が怠れない」発言に対する市場の反応を見る限り、
2)のような。。。
Commented by bank.of.japan at 2005-07-14 14:19
ああ、あれは信頼の有無というより、講演内容策定における論理構成上の問題であったような。ただ、結果的に2)を思わせる影響が出ましたね。グリーンスパンに振らされたかな…
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