9枚9桁の新しい覚え方

この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2024の9日目の記事です。

素数大富豪 Advent Calendar 2024 - Adventar

 

こんにちは、さしみです。今日は9日目ということで9枚出しの話をします。9枚の素数は一見大きすぎて出しづらいようで、実は初手に出したり全出し後に切り札を用意して出したりと様々な使い道があります。

 

今回はその中でも全出し後のオーソ、つまり9→9→残りという組み切りに注目し、最初に出す9枚9桁の素数とその覚え方について紹介します。上級者向けの内容もありますが、覚え方自体は誰でも参考にできると思うので、ぜひ興味を持った部分から読んでいただければと思います。

 

 

9枚出しオーソとは

先ほど触れた通り、ここではオーソをある枚数で切り札の前に1回の素数出しをする戦術とします。対して、切り札の前に2回以上の素数出しをすることをラリーと呼んでいます。この呼び方は今年になってからマリンさんによって提唱されています。

 

全出し後の24枚の手札を考えます。9→9という出し方をすると残りは6枚になり、これは57のグロタンカットを残しているか、ジョーカーを温存できていれば比較的簡単に上がれる枚数です。そうでなくても、後で紹介するように、細かく組み換えができるように9枚出しを覚えていれば、知っている素数を残せるということもあるでしょう。これは1枚引いて25枚になっていても(57が欲しいですが)同様です。

 

9枚出しは消費枚数が多いだけでなく、切り札の性質が8枚出し以下と根本的に異なります。トランプ52枚の中で2桁の数として使えるのはTJQKXの18枚です(これを絵札と呼びます)。そのうち10枚以上を持っている場合相手の絵札は8枚以下となり、9枚出しでこちらは18桁の数を作れるのに相手は作れないという状況が発生するのです。

 

また、同じ絵札9枚ずつであっても、それをすべて使わないと最大の数を作れないことから、切り札の候補に大きな制約が生まれます。例えば、持っている絵札がKKKKQQJJTとなっていれば、作れる9枚18桁の数は全て3の倍数となってしまい、残り全てを持っている相手には9枚出しで勝てないことになります。

 

このように、多くの場合でKの枚数が決定的な要因となる6~8枚出しとは、全く別のカウンティングが発生します。絵札の枚数とその偏りが重要となるわけですね。

 

9枚出しオーソにおける9枚9桁

さて、この記事では切り札についてこれ以上深掘りはせず、その前に出す素数(先行札と呼ぶこともあります)の話に移ります。絵札を9枚持っていて切り札の大きさが勝っている、例えばKKKQQTTQJを出せる場合などは、残りの手札は全て数札になります。絵札を10枚持っていても、Xを温存できる場合にはできる限り上がりの札に使いたいため、先行札は全て数札になります。

 

このように、9枚出しオーソの先行札は絵札のない9枚9桁が理想のことが多くあります。もちろん、絵札を10枚持っている際にTやQなどのXでない絵札が余ることもあるのですが、その場合の素数については体系的には扱いきれていないため、軽く触れる程度に留めます(書けてない)。

 

1種抜き1種被り9枚9桁

そこで、私は、9枚9桁の中で最も揃いやすい、1種類が欠けていて1種類が2枚あるものを覚えることにしました。この形はちょうど数札が9種類ということで、抜けている札と被っている札を軸に取った二次元の表に、綺麗にまとめることができます。それを以下に示します。

 

 

あれーっ!

素数表はどこに? なんだこのへんてこな表は。

 

ということで、今回紹介するのがこの「くっつきカード法」(適当)による覚え方です。個人的には「結合最大法」みたいな漢語の方がしっくりくるんですがどうでしょう。いやでも「にばいめーかー」みたいなゆるい名前もなんだかんだで好きだな……。「くっつくやつ」とか呼んでもらえたら良い気がしますね。

 

ネーミングセンスは置いといて、表の読み方を解説します。まずはMAXと書いてあるものについてはその数札で作れる最大の奇数が素数になります。左上の1抜き2被りについては、1がなくて2が2枚なので、987654223が素数になるわけですね。

 

そして、MAX-XXと書いてあるものについては、XXの並びを固定し、1枚のカードとみなした上で作れる最大の奇数が素数になります。右上の1抜き9被りを例にとってみましょう。本来使う数札は234567899ですが、この中から”25”を取り出し1枚のカードだと思い込むことにします。すると、使う札は3,4,6,7,8,9,9,25となり、これを最大の奇数になるように並び替えると998764253という素数ができあがります。

 

例外的に、MAX-456&13となっている欄は、”456”と”13”の二組をそれぞれ1枚のカードとして扱う必要があります。987645613と987456413と微妙に位置が変わるのがトリッキーで、他のものもそうですが慣れは必要でしょう。

 

その他の記号についても説明しておきます。まずは、#で終わっているものはくっつけた並びが最後になります。その情報を使わないと最大の奇数が分からない、ということはないようにできていますが、なんとなく頭に入っていると迷いづらくなるでしょう。

 

それから、*がついているものは本来の並べ替え最大素数でないものが導かれる組です。実は、ところどころ最大にすることを諦めて似たようなキー(くっつける並びのこと)で固め、覚えやすくしています。この作業に結構時間をかけているんですよ?

 

そして、minと書いてあるものについては、察しの良い方ならもうお分かりかと思いますが、その札で作れる最小の奇数が素数になります(あえてそうなるもの全ては書いていません)。革命用などにmin-XX(結合最小法?)を大量に用意しても良かったのですが、キーに登場する数字がガラッと変わって98などになり、なんとなく覚えづらいのでやめました。いろいろ調べてみても良いとは思います。

 

さて、これでメインの内容は以上で、すぐに使い始めることができますが、覚え方と素数の復元の仕方のコツについても紹介しておきます。

 

最初に、1抜きと1被りはMAXが多いので、まとめて覚えてしまいましょう。MAXでないものもそれぞれ1種類のキー、113と25しか現れないのでかなり覚えやすいと思います。これでなんと12種類もの素数を覚えたことになります。

 

次に、残りの素数については、基本的に横、つまり抜けている札が同じものが似たようなキーを持つようにしています。2抜きは13、3抜きは41、4抜きと8抜きは12、6抜きと9抜きは53という数字やそこから派生したもので固められていますね。自分が覚えやすいと思った行から覚えていきましょう。

 

そして、重要なことですが、この表が絶対ではありません。自分でもっと覚えやすいキーがあると思ったらそれに変えたり、ある部分の素数だけ別の覚え方をしても構いません。54種類全部覚えていると何が出せるかの判断はしやすいですが、覚えない素数があってもよいのです。

 

実際、私は7被りは表の通りには覚えておらず、986-5/8/J/Q-54321と968-2/3/6/9-45123で代用しています。似たようなまとめ方だと、去年の可変系素数の記事で紹介した「六方美人素数」はこの表の一列をまとめて覚えられるので有用だと思います。963X28571みたいなやつです。と、まあそんな感じで自由に使ってください。

 

その他の9枚9桁

上の9枚9桁と並行して覚えておくと便利な素数を紹介します。まずは2種抜き2種被り。上と同様に今度は2種類の札がなく、代わりに残りの数札に2枚の被りがあるものです。より偏った場合に対応できるわけですね。抜く数字と増やす数字の組み合わせを考えるとなんと500種類以上あります。前から順に覚えていくのではなく、覚えやすいものや偶数の多いものをピックアップするのがおすすめです。

 

私がよく使うのは12抜きで、88,86,64,44被りがMAX、つまり作れる最大の奇数が素数になります。例として一つ目は988876543ですね。並びが綺麗で覚えやすい。逆に86被りに限定して探すと、12抜きに加えて13,19抜きがMAXになります。実は、四つ子素数88665412X「ババアムームーゴシクイーン」がちょうど86被り37,39,79抜きをカバーしていて、合わせると奇数2種抜きを全て出せるようになって非常に使いやすいです。

 

一つ紹介した他にも、四つ子素数はやはり使いやすいものが多くあります。1種抜き1種被りはもう覚えなくてよいので、ある程度偏った、具体的には2種類以上の札が被っている組み合わせを四つ子に担当させたいところです。nishimuraさんの素数探索に9,8,8,7,6,6,5,5,4,4,3,2,2,1,x (x=1,3,7,9 全て素数)などと打ち込んでみると何か発見があるかもしれません。

 

素数大富豪Wikiの9枚9桁四つ子素数をひたすら眺めたり、最初の3桁を固定してmy素数を探したりするのも良いでしょう。今回紹介しきれませんでしたが、my素数は9枚10桁をいくつか覚える上でもかなりの助けになると思います。あとは単に45566868Xなどの偶数ばかりの四つ子素数も意外と使用頻度が高いです。

 

おわりに

以上、9枚出しについて解説し、9枚9桁の画期的な覚え方を紹介しました。前回に引き続き実用性に振り切っている記事になりましたが、いかがだったでしょうか。これを読んで、9枚出しに挑戦してみようと思う人が一人でも増えれば幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

明日は巨大なナメクジさんによる「語呂合わせ3150」です。語呂合わせは私も好きなので、どのような工夫が見られるか楽しみにしています。

7枚出し切り札カウンティング

この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2024の7日目の記事です。

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25時に出していますがたぶんセーフ。大変お待たせしました。

 

こんにちは、さしみです。今回は、私がよく使う7枚出しの、切り札について解説します。7枚の強い素数と言えばKKKQQQJが有名ですが、実は持っている手札によって様々な素数が切り札になり得ます。それらを上手く活用し、絵札を効率的に使う術を身につけていただければと思います。

 

 

7枚出しの概要

先に、7枚出し自体がどのような場面で使われるのか解説しておきます。7枚出しは主に、全出し後に24枚以上になった手札から少ない手数で勝ち切るために使われます。例えば、24枚の手札から7→7→7と出せば残りは3枚になりますし、4782969=3^6×3^8のような合成数を併用すればラリーせずに残りを6枚以下に減らせます。

 

このように、7枚出しは全出し後の手札枚数の観点から、組み切りのしやすさと隙の少なさのバランスが取れていることが魅力です。この記事のメインテーマに繋がりますが、切り札の形とその関係も最初の数パターンが非常に分かりやすく、24枚の組み切りを始めたての人にもおすすめできます。

 

そんな7枚出しについてですが、もちろん多くの先行研究があります。私が以前書いた7枚出しの素数表と戦略をまとめた記事のほか、3TKさんの記事を紹介させていただきます。

greenplus.hatenablog.com

(こっちは同じ12/7の7枚出しでも間に合ってるのに……)

hana3101382283.hatenablog.com

hana3101382283.hatenablog.com

 

カウンティング

それでは本題に入ります。皆さんは切り札の強弱を考えたことはあるでしょうか。素数大富豪の公式ルールではKとX(ジョーカー)は合わせて6枚であるため、自分がそのうち4枚を持っていれば相手が使えるのは多くても2枚です。すると、KKKKTJのような素数は、自分が持っている時点で出せば絶対に返されないことが分かります。

 

このような考え方をここでは「カウンティング」と呼び、取り上げていきます。素数大富豪におけるカウンティングという言葉は、自他の絵札枚数の把握や、数札が重要なoverKJQJについての議論で主に使われてきました。しかし、以下のmickeyさんの記事では、n枚2n桁の切り札についても同様の呼び方がなされていて、それにならう形になります。

mickey57.hatenablog.com

 

以降では、自分に7枚出しの切り札が存在するパターンのうち、最も重要な3つについて取り上げ、それぞれの場合でどの素数が必ず通るのかを解説します。また、相手の最大火力にも注目し、カウンティングのポイントを示すことで、絶対に覚えるべき素数を読者に印象付けることも目指します。

 

①KX勝ち(KKKKQTJなど)

まずは、最も重要な、Kの枚数で勝っている場合についてです。もしKとXを合わせて4枚持っている場合、中枚までの幅広い枚数で相手より大きい素数を出すことができますが、ここではもちろん7枚出しに焦点を当てます。

 

最初に思いつくのはしばしば7枚出し最強とされるKKKKQTJ(脚注:実は誰も出しませんがKKKKKJKの方が大きいです)で、これは確かに必ず切り札となります。しかし、Kを4枚使うのは少々オーバーキルで、特にKKKXの組み合わせの場合は貴重なXを使うことになり組み切りの幅が狭まります。

 

そこで、相手がKを2枚しか使えないことを利用し、より小さい素数を切り札とできるのがカウンティングの効果です。それにより、QとTのうち片方しか持っていなくても切り札を出せたり、残す札を都合の良いものにできたりします。

 

以下に、KとXを4枚持っていれば必ず通る素数のうち、私が重要だと思ったものを示します。以降、下線が引かれているものはそれぞれの節のメインテーマとなる素数です。

 

KKKKQTJ

KKKQQQJ

KKKQQJJ

(KKKQQTK)

KKKJJJJ

KKKJTQJ

KKKTTTJ

KKQQJJJ

KKQJQTJ

 

後に大きく取り上げるKKKQQQJとKKKQQJJ、それからKKKJJJJを除いた、それぞれの素数の重要性について解説します。ここでは、KKKJTQJやKKKTTTJがKX4枚のときに通ることがもっとも重要で、これはぜひ覚えていただきたいです。

 

相手の最大火力(出せるもっとも強い素数)はKKQQJJJやKKQJQTJとなることが多く、こちらも頻出です。ただし、それらを相手に出されない条件では、より小さい素数が切り札となることもあります。

 

また、比較的上級者向けの内容になりますが、KKKQQTKは余裕があれば覚えておくべきです。理由は、絵札をKKKXQQTTと持っていた場合に、これを知らないだけでKKQQJJJやKKQJQTJを通されてしまうことがあるからです。同様のケースはいくつかありますが、この場合だけはXがあっても負けてしまいます。怖いですね。

 

②QJ勝ち(KKKQQJJなど)

次に、Kの枚数では互角だがQやJを相手より多く持っているために切り札が発生する場合についてです。この現象は7~8枚で見られるもので、特有のカウンティングを成立させています。

 

と言っても分かりづらいので、少し掘り下げてみます。まずは手札が完全に均等な場合を考えてみましょう。このとき、双方の絵札はKKXQQJJTTとなるはずです。すると、最大の素数を考える上ではXはKとしたいため、Kは3枚、QJTは各2枚が使えることになります。

 

このとき作れる最大の7枚出し素数がKKKQQJJで、その並びには全く無駄がありません。それゆえに、Kの枚数が互角のとき、Qを相手より多く持っていれば、あるいはQの枚数まで互角でもJを相手より多く持っていれば相手より大きな数を作れることが確定してしまうのが7枚14桁の面白さです。

 

以下に、KとXが3枚で、KKKQQQまたはKKKQQJJJを持っていれば必ず通る素数を示します。

 

KKKQQQJ

KKKQQJJ

KKKJJJJ

KKKJTQJ

 

実はこの条件で通せる素数は多くありません。とはいえ、上2つの素数はとても重要なので、この節で説明を尽くすことにします。

 

まずはKKKQQQJについて、これは持っているだけで切り札になることが確定する素数です。平均よりは運が良くないと全出し後にも揃いませんが、絵札が他に全くなくても合成数を使えば簡単に組み切れる可能性があり、これは7枚出しの大きな強みと言えるでしょう。

 

一方で、このようにQを3枚以上持っている条件では、同様の原理によって6枚出しのKKKQQJや8枚出しのKKKQJTQJ、KKKQTQTJも自分だけが出せることになります。状況や覚えている素数によって、効果的に使い分けられるとベストでしょう。

 

次のKKKQQJJは少々特殊で、絵札が互角のときに出せると述べた通り、自分も相手も出せるという状況があり得ます。もちろん出してしまえば絶対に返されないのですが、合成数→KKKQQJJ→3枚のような組み切りをした場合、相手に先に出されると困ることがあります。「KKKQQQまたはKKKQQJJJ」という少々複雑な条件は、QまたはJを1枚余計に持っていれば相手に出されることもないということを表すためのものだったわけです。

 

Jが3枚の条件についてはKKKQJTQJが切り札になる一方、KKKQQJは相手に出されうるので注意しましょう。

 

ちなみに、KKKQQQJJのように持っていればKKKQQQJとKKKQQJJのどちらも切り札として使えます。上手く組み切りに活用できると良いですね。

 

相手の最大火力はKKKJTQJかKKKTTTJであることが多いです。KKKQQJJJと持っている条件では相手にKKKJTQJが揃わないため、こちらが一方的に切り札にすることができます。残したい絵札によっては活用できるかもしれません。

 

③奇数絵札勝ち(KKKJJJJなど)

最後に、奇数絵札を多く持っている場合に発生する切り札について解説します。これまでの内容と異なり、絵札を強い方から比較するだけでは導けないためか、あまり知られていない話が多いです。しかし、その分奥が深く、個人的にはここが一番カウンティングらしくて面白いと思っています。

 

ここでは、奇数絵札をKXJの3種類と定義します。すると、奇数絵札は全部で10枚あることになりますが、ここではそのうちの7枚を自分が持っている場合について考えます。なお、奇数絵札8枚以上では同様の議論に加え、KX4枚の条件も満たせることになります。

 

では、奇数絵札7枚以上がなぜ強いのでしょうか。それは、相手が作れる素数の形が大きく制限されるためです。全部で10枚しかない奇数絵札は、こちらが7枚取っていれば相手は最大でも3枚しか持っていないことになります。そして、(2と5以外の)素数は(素数大富豪的)奇数で終わる必要があるため、1枚は末尾につくことになります。すると、相手はどう頑張ってもKKKで始まる素数を作ることができないのです。

 

相手にとってはより不運なことに、KK始まりでも末尾以外にJやKを使わない素数で最大のものは、KKTQQQJとかなり小さくなります。これが、下で紹介する一見驚くようなカウンティングを成立させています。

 

それでは、実際に、KKKJJJJを出せるなら絶対に通る素数と、そのときの相手の最大火力の候補を見ていきましょう。

 

KKKJJJJ

KKQQJJJ

KKJJQJJ

KKJTJTJ

 

KKTQQQJ

KKTQQTK

KKTTTQJ

 

なお、奇数絵札7枚を「KKKJJJJが出せる」と言い換えていますがこれはほとんどの場合に同じことを指し、便利な判定方法になります。例外はXがなくKKKKJJJと持っている場合ですが、ここでは掘り下げませんが、KKJJKJJが切り札になります。

 

さて、今回は逆に相手の最大火力から見ていきましょう。奇数絵札がKKXのときに出せる素数は、上からKKTQQQJ、KKTQQTK、KKTTTQJとなります。どれも、今回の相手側の立場になったときや奇数絵札を温存したいときなど、使う場面の多い素数ではあるため、余力があれば覚えておくと良いでしょう。

 

そして、奇数絵札が多い側に戻ると、それらを超える素数は全て通ります。KKKJJJJだけではありません。もしKKXJJJJと持っていてQがあればKKJJQJJ、TがあればKKJTJTJと、Xを温存しつつ切り札を出すことができるのです。必要であればKKQQJJJや、KKKJTQJといったより大きな素数ももちろん切り札になります。

 

このように、比較的小さな素数が手札の偏りによって切り札になるというのは面白いですし、Xを温存できる場合があって実用性も高いと思っています。なお、6枚出しや8枚出しでも類似のことは言えます(5枚出しでも相手はKKQKJを出せません)。興味があれば考えてみてください。

 

オバケ

ところで、ここまで合成数のことは考えていませんでした。実は、厳密には、KX4枚時のKKQJQTJや奇数絵札7枚時のKKKJJJJ以下の素数は合成数によって返される可能性があります。ここでは、7枚出しにおけるそのような合成数をoverKJQJと同じように「オバケ」と呼ぶことにします。

 

より詳しくは「相手が出す素数だけでなく手札全体から総合的に素数では返せないと判断できる素数について、それに返すことができる合成数」とでもしておきます。KX4枚からのKKQTJに対するKKQQJみたいなイメージでしょうか。

 

ではなぜそのようなオバケを紹介していなかったのでしょうか。揃わないからです。実戦で見たことはおろか、使えそうな場面に遭遇したことすらないからです。

 

ですが、ギリギリ実用性がなくはないものもいくつかあります。そのため、7枚出し切り札のカウンティングがもっと使われるようになっていけば、いずれ誰かが出してくれるかもしれない、と信じてここで紹介しておきます。

 

KKKQTTT=2×3^4×5×16211496421

KKKQQQT=2×5×19×144773×477383

KKKQQTT=2×5×131313QQT1

 

KKQKQTT=2*5*419*313394T79

KKQQKQT=2*5*179*7335872699

KKQQQKQ=2^5*3*23*5947T6939

KKQQJTQ=2^2*31*T5896871863

KKQQTJT=2*3^3*5*97*T9*4599841 â–µ

KKQQTTT=2*5*71*9467*1953593 ☆

KKQJTTT=2*5*T247*Q8146883

KKQTQKQ=2^5*347*28789*4T77 â–µ

KKQTQQK=193*4787*142Q943

KKQTQTT=2*5*27197*48281833 ☆

KKQTJQT=2*3^3*5*8543*5692861

KKQTTQJ=3^2*37*83*3671*Q9419 â–µ

KKQTTTT=2*3*5*7741*56543987 ☆

KKJQQQT=2*5*T7*45863*267581

KKJQTTT=2*5*Q79*14951*68669

 

KKQQJTJ=739*16369*T85521 â—Ž

KKQQTJJ=13*47*56687*379123

 

と思ったんですがなんかちゃんと探したら結構大量にありました。マジ?

 

探索方法としては、Pythonを使ってKK始まりの7枚14桁全てを素因数分解し、絵札と数札が適するものを出力した後で厳選しました。絵札を分解していれば、あるいは逆にしていなければ出せたものを弾いてしまっている可能性があるのと、深夜に目視で厳選、書き写したのでミスがある可能性があります。ご利用はお手持ちのアプリで検証した上でお願いします。

 

上からoverKKKJJJJ、それ以外のoverKKJTJTJ、それ以外のoverKKQJQTJとなっています。overKKKJJJJについては出せるもの全て、他は4枚被り1種または3枚被り2種以内を載せる基準としています。▵は4枚被りあり、◎は3枚以上被りなし、☆は奇数絵札2枚です。

 

ちゃんと検証していませんが、相手が手札20枚から7枚出ししてきたところにカマトトするくらいだと結構揃いそうです。9枚出しオバケとかとかだと全然無理そうなのですごいですね。

 

覚えるならロマンがありこちらからでも切り札にできるoverKKKJJJJと、KKXを持っているときにXを数札に使える☆の素数がおすすめです。私はKKKQQQTとKKKQQTTしか覚えてないけど。

 

おわりに

以上、7枚出し切り札カウンティングについての解説でした。自分の中ではかなり面白い話で、5月くらいから温めていたものなので、この機会に公開できて嬉しく思っています。なんだかんだで上級者にもしっかり役に立つ記事は久しぶりかもしれないですね。

 

それから、実はオバケを探したのは最近、8枚出しや9枚出しのオバケに合わせてでした。切り札になる素数が小さいこともあって想定より大量に見つかり、書いた私が一番驚いています。使われるのかなあ。

 

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!

 

明日(誰が何と言おうと明日)は、はちさんによる「はち杯開催報告」です。まだ一度も優勝できていませんが、はち杯はいつも楽しく参加させてもらっています。記事も楽しみですね。

待っていただいていたのかすぐ出ました↓

hachi-2718.hatenablog.com

強くなれる4枚6桁

こんにちは、さしみです。先日の素数大富豪で遊ぼう会で4枚6桁の覚え方を発表させていただいたのですが、これがかなり好評だったため記事にもまとめておこうと思いました(割とずっと書くぞと言っていたネタではあります)(とか言いながらさらに半年くらい放置してしまいました)。会に関しては主催のはなぶさんの記事もぜひご覧ください。

https://mathingnow.notion.site/1ddd28aad3cb453d84ac9976e88e0d85

 

 

はじめに

4枚6桁に関しては、皆さんはどのような印象があるでしょうか。なんか中途半端な大きさだし、覚えなくていいか、と思っている初心者、エンジョイ勢の方も多いのではないかと思います。絵札と数札が混ざっているのも、特に語呂で覚える上ではハードルを上げる要因になります。

 

しかし、4枚出しのラリーをしていると、絵札を2枚だけ使いたい場面というのは意外と多いです。カジュアルなゲームでは最初に配るカードを7枚とするルールがありますが、その中では絵札が2枚のことが最も多いです。ガチ勢を目指すのであれば、KKKQの合成数出しなどを使った組み切りで、余った絵札を上手く役立てる必要があります。

 

というわけで、その重要性は4枚4桁などには及ばないものの、4枚6桁もある程度は覚えておく必要があります。ただ、その数はもりしーさんの素数表によると上位互換になっているものだけで222個もあります。全てを覚えるのは絶望的でしょう。

 

そこで、私は、覚えやすいものだけをピックアップすれば良いのではないかと考えました。そして作ったのがこの記事で紹介する、厳選62個の素数表です。TまたはQが最低1枚含まれる組み合わせ7グループに分け、それぞれ独特の覚え方を提案します。全部は難しい、という方も、面白いと思ったものから覚えてみてください。また、ここに載っていないから詰んでいる、というわけではないことにご注意ください。

 

素数表

まずは以下に今回登場する素数を素数表の形で載せておきます。見ただけでは覚えられそうになくても大丈夫です。これから覚え方を紹介していきます。

 



解説

まず、全体としては、使う絵札2枚の種類がTT,QQ,TQ,TK,QJ,TJ,QKの順番にまとまっています。先に述べた通り、JやKのみで構成される組み合わせは重要度が低いと思われるため載せていません。また、それぞれ本来は15~29個ある中で、大きいもの、特にまとめて覚えやすいものを中心に選んでいます。

 

記事全体を通して「ある数がその場所に入る」ことをxとyの文字を使って表現しています。例えば、x=9と書かれていればxの場所に9を入れることで素数を作ることができるという意味になります。xyとあるときに98と書いてあれば、その2枚の札を入れることで素数になります。注意が必要なものについては各項目でも解説します。

 

記号の右に書いてある言葉は語呂や、私が覚えるときにイメージしていることです。もう少し圧縮しているものもありますが、基本は復習するときから出すときまでこの通りに唱えています。意味はこれから解説していきます。

 

TT

TxTy(11個)

y=1,3,7,9 x=2,269,12458,68:ツーブロック全ロバ

他TT(2個)

9TT9,2TT9:7倍回避

 

さて、表の中で一つ目の項目は、Tを2枚使う素数です。これについては、TxTyの形で素数になるものが非常に多いため、主にそれを覚えることをおすすめしています。

 

この形では、xに入る数は様々であるものの、yは下一桁であることから1,3,7,9の4通りに限定されます。そのため、各yについてxに入る数を覚えてしまえばよいわけですね。それが x=2,269,12458,68 という数字の列の正体です。例えば、最後の68はT6T9とT8T9が素数であることを表しています。

 

語呂は好きなようにつけてほしいですが、一例として私の覚え方を載せておきます。唱えて覚えやすそうであれば採用してみてください。ただしy=7のときの「全」は、3と7の倍数にならないもの全てという意味です。xが3,6,9は3の倍数、7は7の倍数になることに注意してください。余談ですが、この「7は全部」という覚え方をするために、T7T1とT1T7では小さい後者を採用しています。

 

例外として、以上の札の配置では7の倍数になってしまう(2,9)と(9,9)については、数札で絵札を挟むことで素数にすることができます。特に9TT9は強いので、余裕があれば覚えてみてください(ちなみに8TT9も素数です)。

 

QQ

QxQ7(3個)

x=3,6,9:7終わりは優秀の369

xQQy(5個)

8QQ9:8きゅうきゅうきゅう

47/43/71/31:4先1後の3と7

 

次のQ2枚も、偶数絵札ペアということで覚え方が似ています。まず、先ほどの方法で大活躍した7が、ここでも役に立ちます。同様に、Q3Q7のような形で3つの数を入れることができるというわけです。

 

ただし、こちらは絵札を挟む形の方が充実しています。8QQ9は偶数の消費が多く強いため単独で取り上げました。次の行は、4を上の桁、または1を下の桁に入れて、残った方に3と7を入れることができるという意味です。これで、なんとなく似ている4QQ7,4QQ3,7QQ1,3QQ1をまとめて覚えられるのです。

 

TQ

xQTy,xTQy(7個)

x=9,y=3,71:9は3のない

x=6,y=97,3:6は苦難の3

8QT1:8QT素数

 

偶数絵札のみのものはこれで最後です。TとQが1枚ずつの形は、最も上の桁でまとめると覚えやすいです。

 

まず、最上位が9のときは、絵札がQTの順番で下に3、逆の順番で7と1が入ります。9QT3,9TQ7,9TQ1が素数ということですね。それぞれの数字をまとめて、順番に唱えるのが上の覚え方になっています。最上位が6のものについても同様で、語呂はともかくこのまとめ方は覚えやすいのではないかと思います。また、8については1つですが8QT1を載せてみました。

 

TK

xyTK(8個)

9/6-3/2:草TK(割引可)

86/84:ハム/箸TK

51/41:mod3共通の51/41

 

ここからは奇数絵札が入ります。自由度が上がり、数札が上2桁に入るものに限定しても十分な量の素数が見つかります。ここでは、そのような2桁を覚えやすいようペアやグループにしていきます。

 

一段目は、一桁目が9または6、二桁目が3または2のとき素数になるという意味です。これを、私は93TKの9や3を2/3倍しても良い、という風に覚えています。二段目の説明は不要でしょう。三段目は、後のxyQJと共通しています。

 

QJ

xyQJ(2個)

51/41:同上、5/4-J2J

xQxJ(6個)

x=1,3,4,6,7,9:xQxJは実質全部

 

先ほど説明した通り、51と41はTKにもQJにも付きます。こちらは5J2Jなどと出すことができるのも利点です。

 

しかし、この絵札の組み合わせで最も覚えやすいのは、その次の段です。xQxJはxに同じ数が入るという意味ですが、なんとこのxには1桁の数のうち全体が3の倍数にならないもの全てを入れて素数とすることができます。例えば、9Q9Jは素数で、5Q5Jは3の倍数です。

 

TJ

xyTJ(8個):

98/94/91:クッパ登場串食い

77/74/44:なななよよよ

46/68:白ロバ登場

 

こちらのTとJの組み合わせは、覚え方が分かりやすいものが多いと思います。グループごとにまとめて覚えてしまいましょう。個人的に、98TJは4枚6桁全体の中でも98KJと99KKに次いで大きく、奇数の使い方にも無駄がないので好きです。

 

QK

xyQK(10個):

84/64:箸/虫QK

76/72:プラマイ8

37/36:皆/見るQK

61/51/21:256イーブイさん

43:熱いさしみの上位互換

 

最後はQとKの組み合わせです。実はこれが一番使う機会が多いかもしれません。QもKもA2やA3と分解することができ、5枚、6枚出しに流用することができるからです。

 

この中では、まず偶数の多い84/64がつくというのを覚えましょう。そして、84と64の真ん中が74ということを思い浮かべます。すると、そこから2ずつ増減した72と76もつくと覚えることができます。それから、61/51/21については、11213「イーブイさん」という素数があり、それに2/5/6がつくとすれば覚えやすいです。

 

「熱いさしみ」は121343のことで、その上位互換43QKも素数です。

 

おわりに

今回は、個人的な4枚6桁の素数の覚え方を紹介しました。いくつか覚えるだけでも安定感が大幅に増すと思います。今日から実戦で使っていきましょう。

 

それから、このように、ある桁数の素数から一部を抜き出す方法は、素数を覚えやすくするのに役立つと思っています。また、作れる組み合わせを全て並べるより個数が減るため、これなら覚えられるのではとモチベーションも上がりやすいです。ぜひ皆さんもこの方法でオリジナルの素数表を作ってみてください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

素数大富豪大会 金剛戦

こんにちは、さしみです。このたび素数大富豪大会「金剛戦」を開催することにしたので、その告知をするとともに、目的やコンセプトを解説したいと思います。初心者向けの大会ではありませんが、参加、観戦する上で役立てていただければと思います。

 

目的

金剛戦は、上位プレイヤーを主な対象としています。各参加者が互いの実力を詳細に把握し、さらなる実力向上に役立てられるようにしたいと思い開催を決定しました。discordレート戦の対象としているのもそれによるものです。

 

日程・参加方法

金剛戦は2024年10月から2025年3月までの半年間で行われます。あまり長いとある時点での実力を見ることが難しい一方、一度に合計100セット程度の試合を消化するのは困難であることからこのような日程になりました。早く終わる分には望ましく、年内くらいを目指せれば理想だとは思っています。

 

参加は以下のフォームからお願いします。

https://forms.gle/jzvDnq9BLUjaAUnD8

 

大会の要綱は以下になります。

https://docs.google.com/document/d/1N9hWNWnUvu2zJaYykEU7iAf0S9mqmX4dTY_mgR9ds0I/edit?usp=sharing

 

開催までの経緯

もともと、鼎聖戦のコンセプトを気に入っていた一方で、2人対戦における同様の大会がないことを不満に思っていました。また、個人的な話になりますが、普段の対戦ではどうしても実力差を把握できていない格上のプレイヤーがいて、目標設定に悩んでいました。そこで、セット数が多く実力を把握しやすい大会を開催するべく、他のプレイヤーに相談しつつ形式を固めていきました。

 

ちなみに「金剛戦」という名称は「金剛力士」から取っています。二体で一つというところから、二人対戦の最強を決める大会にふさわしいと思いました。大会のテーマとなる素数も「2」です。

 

総当たり戦

金剛戦の特徴として、まず総当たり戦であることが挙げられます。これによって配置や相性による不平等がなくなり、その上で各参加者が様々なプレイスタイルに触れられるようになります。また、各試合の勝敗をつけずに全体の勝利数で順位をつけることで、運要素をできる限り小さくしています。1位でなくても上の順位を目指すモチベーションが維持できるのも良いと思っています。

 

多いセット数

それから、鼎聖戦やはち杯ヘビー級といった大会を超えるセット数を設けることで、より正確な実力が成績に反映されます。前項とも被りますが、試合の条件が平等であることで、勝率を実力の指標として扱いやすくなっています。それを活かし、大会後に各種データを提供する予定です。

 

多いセット数は、それぞれの試合をある程度長くすることで実現しています。各試合は長い場合16セットで1時間、24セットで1時間半程度かかることを想定しています。

 

試合調整の容易さ

また、審判を設けず、突発的な試合も許可することで、参加者間で予定の合う機会を増やしています。試合時間の短縮にも繋がると思っています。ただし、これは試合進行の手間を参加者に負担していただくことになるため、その分試合外でのサポートを積極的に行いたいと考えています。

 

おわりに

ということで、私の素数大富豪大会としては初、三四郎杯を含めても2回目の開催ながら、かなり大きな計画を立ててしまいました。参加者の皆さんと一緒に良い大会にしていければと思います。よろしくお願いします。

強くなれるQの素数

こんにちは、さしみです。先日、マスプライム杯に参加した際に「Qが余ってしまうことが多いのだけどどうすればいい?」という質問を受けました。そのときには素数をいくつか挙げたのですが、Qを活用するための考え方にまでは触れられませんでした。そこで、今回は、同様の悩みが出てきたときのために、参考になる内容をまとめておきます。初心者の快適な素数大富豪ライフ、それから大会での勝率アップに貢献できればと思います。

 

この記事では、最初になぜQが余りがちなのか私なりの解釈を述べた後に、そもそもある札が余るとはどのようなことなのか、どうすればそれを防ぐことができるのか、基本的な考え方を述べていきます。それから素数表を提示し、それぞれの素数について使いどころを解説していきます。例によって前置きが長いので、目次のリンクから素数表だけでも見ていってください!

 

 

なぜQは余るのか

それでは、なぜQが余るのでしょうか。言い換えれば、素数大富豪においてQを多く含む手札を使い切るのはどうして難しいのでしょうか。まず考えられる原因は「3枚出し以下において、Qを使う札の組み合わせが最も少ない」からです。これは以下のOTTYさんの2018年の記事で検証されています。

https://otty8121013.hatenadiary.jp/entry/2018/12/10/222005

 

特筆すべきはQが2枚出しを(グロタンカットを含め)2通りしかできない唯一の札であることでしょうか。これは、3枚出しをまだいくつかしか覚えていない初心者にとっては大きな脅威となります。そして、3枚出しについても、Qを使って素数を出せる組は最下位の29個であり、3の61個と比べると半分以下しかありません。

 

それから、上の記事ではあまり大きく取り上げられていませんが「Qを2枚使う3枚出しが存在しない」ことも個人的にはとても重要だと思います。Qが余ったとされるとき、最初に持っていたQは2枚か3枚でしょう。すると、どこかでQを2枚使うことができなければ、最大3回もQを使う手を強いられることになります。4であれば3枚持っていても443や449を出せば残り1枚にできるというのに。

 

最後に、3枚出しを覚えている方は、まずどのような素数から覚えたでしょうか。KKJ、素晴らしい。82Xの四つ子素数(821,823,827,829)、最高です。しかし、Qを含む4桁の素数を3桁の素数より先に覚えたという人はかなりの少数派でしょう。絵札を1枚だけ含む中途半端な大きさの素数が注目されづらいというのも、Qが余る原因としては無視できないでしょう。大きい数は適当に出したときに素数である確率も下がりますし。

 

なぜ札は余るのか

少し寄り道しますが、そもそもなぜある札が余るのか、余らないためにはどれくらいの知識が必要なのかについても触れておきます。後で紹介する素数表の前提にもなるので、読んでいただけると理解が深まるかと思います。

 

大前提として、トランプの54枚のうち、2枚出し以上の一番下につけられる札はジョーカーを含め26枚しかありません。そうでない札、2,4,5,6,8,T,Qが「偶数」と呼ばれますが、偶数の方が多いのです。ということは、ある程度運が良くない限りは、相手に関係なく2枚出しだけで上がることはできません。どこかで偶数を奇数より多く消費する必要があるのです。これが、初心者に最低限3枚出しまでは(ある程度)覚えてほしいとされる最大の理由だと思います。

 

それから、3枚出しをメインウェポンとするにも問題はあります。一つは、12枚を3枚出しに分けるとしても「奇数」が4枚必要となることです。偶数があまりにも多い場合は、ドローやカマトトで手札を増やすか特別に4枚出し以上をする必要が生じます。そのようなときに使われる素数がいわゆる偶数消費型素数になります。

 

もう一つは、同じ札を3枚持っていたとすると、その札を1枚ずつ消費することを考えたとき、似たような素数を3回出さなくてはならないことです。これは、3枚出し特有というよりは、知識が少ない場合全般に起こるものですが。

 

例えば、12334568889という手札を持っていたとします。これを4つの素数に分けようとすると、863,853,829,61などとなります。8が3枚あるため、8を含む素数を多めに使うことが求められました。もし、ここで883のような素数を知っていれば残りは12345689となり、残りの組み合わせの自由度を上げることができますが、Qの場合はそれが難しいことは上に述べた通りです。

 

以上から、勝ち負け以前にどのような手札からでもいつかは上がれるようにするために、3枚出しをまんべんなく覚え、それに加えて札の偏りに対応できる素数をしっかり押さえておくことが必要であるという結論が得られます。

 

Qの素数表

ということで、Qが余る原因を潰せるように考えてきたのが、この素数表です。使いやすい3枚出しの大部分をカバーしているため、これと3枚3桁、切り札だけでも3枚出しにはほとんど困らないでしょう。それから、ピンポイントで必要なときに出せるよう、Qを2枚以上使う4枚出しも覚えやすいものを選んで載せています。

 

 

Qの素数表の解説

素数表を見ながら練習したり、とりあえず覚えてみたりするだけでも役に立つとは思います。覚えやすい並びを意識していますし。ここでは補足として、覚えやすさのコツや、使うと強い場面などについて解説していきます。

 

まずは2枚出しから、復習になるかもしれませんがQ7とQKで素数は全部です。意外にも合成数には便利なものが多く、特にそれぞれQ5=5^2×5、Q8=2^6×2、5Q=2^8×2などと出すことで奇数を全く使わないこともできます。

 

次に3枚4桁、10個とも重要度は高めです。語呂は「よい肉」くらいしか有名なものはありませんが、なんとかできるだけたくさん覚えたいところです。6Q1,7Q1については10倍したものを合成数出しすることでQを2枚、Tを1枚消費できてお得、しかも強いです。機会があれば狙ってみてください。

 

合成数を先に解説しておきます。8Q8については小ネタとして2^7-1=127よりQ7が素因数になる、ということがすんなり理解できると思い出しやすいです。これもQが2枚消費できるため便利ですが、4枚出し素数ほど出しやすいわけではないので無理に覚える必要はありません。

 

3枚5桁は絵札を2枚消費するため、相手に強い素数を出すかパスするかの選択を迫ることができます。QTには3以外の1桁奇数(1,7,9)をつけられて、残った3はTTにつけられると覚えると簡単です。それから、数札から始まるものは余裕があればQを含まないものも全て覚えると良いでしょう。

 

4枚出しに入ります。6桁ではまずQXQ7の形を挙げていて、このXには3の倍数が入るという覚え方ができます。同様のTXT7という並びも、Xに入る数が多くて便利です。次の4つは、1または4、3または7のペアが使えると覚えましょう。その上で、1はQQの後ろ、4はQQの前につけ、3と7はもう片方の端につけると素数になります。

 

4枚7桁はまず下に3がつくものが覚えやすいでしょう。Tも同時に消費できます。数札で始まるものは、QQKをつけられるのは4と9のみ、などと知っていると、他の数をつける間違いを減らせるのかなと思います。QQQJは4枚出しの中では5番目に強いです。

 

ところで、4枚出しは、Qが2枚以上あり、3枚出しだけで上がることが難しそうなときに検討すると良いでしょう。切り札として使うよりは、一度出して相手の出方を見るのが強そうです。相手がパスすれば3枚出しに移行しても良いですし、相手が無理にJやKを使って返してくれれば手札が有利になります。

 

最後に、5枚出し以上では、覚えたら強そうな素数の例を提示してみました。Qを3枚含む絵札だけの素数は、QQQJに加えて絵札を使うことで、より強くなるというものです。四つ子素はXに1,3,7,9を入れられるというもので、最初に覚える7枚出し以上として秘密兵器のように使うことを意図しています。

 

実戦例

上の素数の使い方をイメージできるよう、素数大富豪CPUとの実戦を解説します。相手は初心者の練習におすすめのver.3です(ver.4でも探索枚数を4枚以下にすれば同じ強さのようです)。数譜は数譜再生くんで見られる形にしています。

https://searial.web.fc2.com/tools/sosusaisei.html

 

you:A356678TJQQ

cpu:AA24689JQKX

you:D(6)66A

cpu:94K

you:QT7

cpu:2QJ

you:6QJ

cpu:D(6)%

you:853#

 

1戦目は絵札は4枚あるもののQが2枚ある上に奇数が少なく動きづらい手札です。12枚を3枚出し4つに分けるとなんとか足りるので661,QT7,6QJ,853と出すことにしました。幸いCPUが絵札を小出しにしてくれたため、6QJに返されず勝つことができました。強い人だとKKJを温存してきそうですが、それで負けたら諦めましょう。

 

you:A355679TQQX

cpu:A256899TTJJ

you:QQT3

cpu:8JTJ

you:%

cpu:T=2*5

you:X[IN]

you:57[GC]

you:5X|X=7[GC]

you:69A#

 

2戦目もQが2枚あり、今度は様子見でQQT3を出すことにしました。パスされれば57,57,691で勝つことができます。CPUは8JTJと強めの数で返してきたのでここはパス。困ったCPUはTの合成数出しをしてきて、ラッキーなことに2枚目のジョーカーを引いたので当初の予定通りに勝てました。ドローが他の札ならとりあえずジョーカーを出して9始まりの3枚出しをするくらいでしょうか。

 

コラム:上級者はどうQを使いこなすのか

ところで、初心者にとっては使うのが難しいQを、上級者はどのように役立てているのでしょうか。

 

一つは今までに説明してきたことの延長線上にある、絵札としての強さです。知識さえあれば、Qは大きな素数を作るのに他の絵札と同様に役立ちます。例えば、9QQTTJのような絵札が5枚の素数は、初手で出せば返されないことが多いです。また、手札が24枚になるような展開でも、相手が絵札を6枚消費すれば、切り札がほとんど残りません。このように、上級者は様々な枚数でQを絵札として活用しています。

 

もう一つ、QがKの次に大きいことによる強みも存在します。KKKQQQJという素数はKを3枚、Qを3枚使います。残り全てを相手が持っていたとしても、相手はジョーカーをフル活用してKを3枚、Qを1枚しか使うことができません。そのため、この素数は絶対に返すことができないのです。このように、上級者間では手札の強弱がKとXの枚数でなく、Qの枚数でも決まることがあります。

 

おわりに

この記事では、Qをどうにか使い切る方法から、上手く勝ちに繋げる方法まで解説しました。素数表の素数のチョイスには自信があるので、ぜひ練習や対戦に役立てていただければと思います。何か分からない点があればいつでもご連絡ください。

 

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました!

マスプライム杯2024参加記

こんにちは、さしみです。私がマスプライム杯2023に参加し、素数大富豪を極め始めてから1年が経ちました。1年に一度といえば、マスプライム杯ですね! ということで、今回は、昨年と全く変わった立場で参加し、それでいて昨年以上に楽しめた、素数大富豪のお祭りについて書いていきます。この記事を通して、その盛り上がりが伝われば嬉しいです。

 

 

直前対策

今回は素数大富豪というゲームについてもその参加者についても熟知していたため、しっかりと対策を立てることができました。と言っても私はこの1年間、素数を覚え、素数大富豪で遊び続けてたわけですから、それが一番の対策になってはいます。ただ、やはり初めて参加した対面の大会ということもあり、直前期は特にモチベーションが上がったように思います。

 

覚えた素数としては、知識不足による負けを減らすための6枚6桁や6枚11桁、絵札を活かすための9枚9桁や9枚18桁が中心となります。直前の2週間で100個くらいは増えたかもしれません。一方で、最近特に対策が必要な超多枚や、サボり続けている4枚5桁などには、あまり手が回りませんでした。

 

また、オンラインの最強プレイヤーmickeyさんと練習をしたことで、かなり立ち回りが鍛えられました。3日間で134ゲームを行い59-75(勝率44%)と、今までになく高い成績が出せたことで自信もつきました。mickeyさんにも「今回の参加者の中で一番素数大富豪を理解ってる」と優勝予想を頂き、誰が相手でも互角以上の戦いをして、本気で優勝を目指そう、と決意が固まりました。

 

ところで、今回は運営から解説を依頼されていました。最初に聞いたときはそんな大役が自分に務まるだろうかと思いましたが、直前にOTTYさんから配信の流れや解説のコツなどについていろいろと教えていただいたおかげで、イメージが固まりました。マスプライム杯のデータについての資料を読むほか、各プレイヤーの出しそうな素数についてメモを取るなどの準備をしました。

 

当日

前日に早寝したおかげで、朝からの大会にも余裕を持って参加できました。嘘です。10時半、開始時間ギリギリに到着しました。ごめんなさい。運営の中にはプレイヤーを兼任しながら5時台に起きた方もいたそうで、本当に頭が上がりません。

 

私は去年ベスト4に入っていたので、他のベスト4と当たらないように別枠で抽選が行われ、キグロさんと一緒にくじを引きました。配置の運は並くらいかなと思っていましたが、結果を見てから言うのであれば、もう片方の山より最近好調なプレイヤーが多く厳しかったのかもしれませんね。

 

1回戦 対コロちゃんぬさん

1回戦は素数判定員とタイムキーパーはいるものの、配信がなく、普通のテーブルで行われました。コロちゃんぬさんは去年の予選でも同卓になったプレイヤーで、2017年から大会に参加し続けています。試合の中では、2枚、3枚出しを中心に出す印象があります。

 

じゃんけんには負けてしまい1セット目は相手の先手から始まりました。3枚出しに対して手札が弱かったためカマトトしましたが、さらに3枚出しと堅実に手札を減らしてきました。この時点でKKQは揃っておらず、KKJを出すと手札が弱体化しそうだったため、相手の切り札がKKJでないことを祈って一度3桁の素数で返しました。

 

ここで相手にKKJを返されるとKKQがなくほぼ負けの場面でしたが、QTKが来たためKJJ(KTJ?)を返してジョーカーを温存しつつ親を取ることができました。相手が切り札を使ったことで手札が少なくなっていることが大きく、その後は上手く知っている5枚以上の素数を出していき、テンポよく勝ち切ることができました。

 

2セット目はこちらの先手で、大きめの8枚出しが揃っていたため相手に何も出させずに上がることができました。これで2-0の勝利、準々決勝に進みます。

 

準々決勝 対3TKさん

準々決勝からは配信が行われました。和室でカメラに囲まれての対戦ですが、本格的な雰囲気の割には落ち着いていられたと思います。むしろ大会前の期間の方が常に気が張っていた気がしますね。

 

それから、カード立てがあるのが地味に嬉しいです。ただでさえ手札を並び替えて考える必要があるゲームですから、24枚にもなると絵札の内容を覚えて脇に置いておくくらいのことをしないと戦略が立てられません。一方、常に見える形で置いておけさえするのであれば、合成数を組み替えて出したいときなどはオンラインよりも楽になります。

 

さて、対戦相手の3TKさんは素数大富豪歴5年以上でありながらこの1年で大きく実力を伸ばしているプレイヤーです。昨年末には第2期梅森(オンラインタイトル戦)を獲得するなど大会にも強いですが、不思議と私から見た相性は悪くありません。大会では8-6(セット)、非公式の記録でも勝ち越しています。今回もなんとか勝ちたいところです。

 

またしてもじゃんけんで負けてしまい1セット目は後手となりました。相手はすぐに勝てる切り札がなかったようで全出しし、安心できたのも一瞬だけ、なんとHNPされてしまいました。これでいきなり1敗、頭を抱えるしかありません。

 

気を取り直して2セット目は先手、初期手札はドローしてA3557799JQQXでした。初手で上がれそうな手札ではありますが、残念ながら99KQQTJのような素数は知りませんでした。理想的には絵札がもう1枚欲しいと思いつつ、57の後ドローして形が崩れるのが怖く、そのまま97JTQQA3と出しました。

 

意図としては、絵札が4枚である上、97で始まるため、相手は絵札が5枚なければ知っている素数を出しにくいだろうというものでした。シミュレーションによると何も出させない確率は56%ほどのようで、思ったよりは低いです。理論上反撃できる場合にしっかりと知っている素数を出せるよう、いろいろ覚えておきたくなりますね。

 

今回はちょうど7の部分が効いてパスさせることができ、1勝1敗とすることができました。

 

交代して3セット目は後手、ここでも相手の初手は全出し、今度は素数ではなく勝負が始まったという感じです。自分も全出しに失敗して24枚、しかし引き終わって見ると絵札がなんと6枚しかありません。

 

AAAXとあったので革命すれば面白いところですが相手は6枚出し。Xを温存して9QKQTJを出すもKKKTTJで返されます。その後に同じ9QKQTJを出されて面くらいましたが当然何もできずパス、そのまま上がられてしまいました。相手は絵札を11枚持っていたということで、こちらが出す数の選択は悪くなかったもののどうあがいても勝てないゲームでした。

 

というわけで、1-2で負け、準決勝進出はなりませんでした。特にミスらしいミスもなかったので敗因がじゃんけんくらいで、悔しいというか仕方ないという気持ちが大きかったです。強いて言うなら3セット目のこちらの全出しは29の倍数だったので、シンキングタイムも合わせてゴリゴリに頭を回せば避けられたかもしれないというのはあります。今後の研究に期待ですね。

 

解説

さて、解説についてもいろいろと面白いことがあったので書いておきます。私が解説を担当したのは準々決勝の2試合、準決勝の1試合、それから決勝でした。配信は常に二人が話す形式で、私はOTTYさんとペアを組み主に解説を担当しました。

 

大まかな流れとしては試合の最初や空き時間にプレイヤーの紹介を行い、試合中はその内容について説明するというものでした。手札の内容から取れる戦略、素数を出した際はその意図などについて、プレイヤーの立場で、できる限り考えられることを語れたかなと思います。

 

最初の方は緊張していましたが、OTTYさんのパスに助けられました。聞かれたことから話を広げていけばよく、全出しや四つ子素数などといった用語も初心者に分かりづらい部分は上手く補足していただけました。

 

準決勝以降の解説は慣れてきたことに加え、自分の試合がなくなったこともあってのびのびと話せたと思います。また、マリンさんと3TKさんの試合は両者ともに高度な立ち回りをしていたため、解説には特に熱が入りました。

 

さて、全く予想していなかったことに、今回の解説は非常に好評でした。強豪プレイヤーだけでなく、普段素数大富豪の大会に出ない方にも分かりやすかったという感想を頂き、この大舞台を盛り上げられたことを嬉しく思いました。mickeyさんからも立ち回りの解説がしっかりしていると言われ、素数大富豪というゲームへの自分なりの「理解」を活かせていたのなら何よりと思いました。また機会があれば同様の解説をしてみたいですね。

 

まとめ

まずは、2023年のベスト4という成績を超えられなかったことは、やはり少し残念でした。ただし、昨年はこれ以上ないくらいの運に恵まれていました。素数の女神がいるとすれば、昨年の私には「素数大富豪の世界においで」ときっかけになる成功体験を与え、一方で今年の私には「これからも頑張ってね」と目標を残しておいてくれたのだと思いました。

 

次のマスプライム杯も今から楽しみなところですが、分かりやすい実力の証明としては他にも梅森戦やPQCSなど定期的なオンラインの大会があります。ひとまずはそちらに向けて練習していきたいです。

 

それから、今回の大会でもまた多くの方と話せました。初参加の方もいれば何年も前から参加している方も。ブログを読んでいただいていることが分かったり、素数についての質問を受けたりして、今後の活動のモチベーションが上がりました。4枚6桁素数の記事とか早く書きたいですね。

 

解説についても、まずは自分が楽しみながらできたかなと思っています。同時に、多くの人に素数大富豪の勝負の面白さを伝えられるものになったのは、本当に嬉しいです。今回の経験を、また解説記事や動画を作る上で役立てていきたい、というように夢も広がりました。

 

最後に、マスプライム杯という大きな大会を中心となって進めてくださった運営の皆様、優勝予想を頂いたmickeyさん・完全数さん、ペアとなって実況を盛り上げてくれたOTTYさん、それから参加者・観戦者の皆さん、ありがとうございました! また、これからも広がり続けるであろう素数大富豪の世界のどこかでお会いしましょう。

 

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました!

一夜漬けで優勝するための素数5選

こんにちは、さしみです。今回は、素数大富豪初心者が大会に挑むなら、という設定で、絶対に覚えておくべき素数を紹介します。去年のマスプライム杯の前に出ていたら自分の役に立っただろうな、と思えるような記事にしていきます。最後の方に立ち回りについても軽く触れますが、ルールは全て理解していることを前提とするのでもし不安な点があれば以下の記事で復習しておいてください。

https://primeqk.themedia.jp/pages/4500251/rules

 

 

â‘ KKJ

まずは3枚出し最強素数、KKJです。これを覚えているだけで、どれだけ強い人が相手でも何もさせずに勝てる確率が5%くらいあります。と言ってもその活用方法はとても基本的なもの。3枚出しをして、次にKKJを出して、残りの札で上がるだけです。残りは基本5~6枚になりますが、3でさえ割れなければ適当に出しても3割くらいは素数になります。もし運よく57を持っていれば、3枚出しだけで全ての手を作れることもあります。

 

ところで、なぜこの何の変哲もない戦術でKKJが強いのか。強い人は最初の3枚出しに対し、合成数カマトトと呼ばれる、わざと手札の全てを使って間違った手を出すことで手札を24枚にする技を使ってくるからです。後に紹介するKJQJや、KKJより弱いKQKなどの素数で同じように上がろうとすると、高確率で24枚の手札からより強い切り札を出されて負けてしまうのです。

 

しかし、KKJより大きい数はKKQ=2^4×29×283とKKKしかなく、Kに加えて偏った数札を使うため、仮に相手の手札が24枚になっても3割くらいしか返されません。そのため、最も簡単・頻出かつ対策困難な戦術として、真っ先に紹介するだけの価値があります。

 

â‘¡KJQJ

次に、4枚出し最強素数のKJQJです。こちらも、4枚出しをして、KJQJを出して、残りの札で上がるという戦術が基本になります。残りが3枚出しになることがあるため、そちらに知っている素数を残して最初の4枚を勘で出す、というローリスクな行動ができるのは3枚出しに勝る点でしょう。

 

しかし、もし相手がカマトトして手札が24枚になっている場合は、そのままKJQJを出すのは危険な場合があります。KJQJを超える合成数(overKJQJ)はKKQより揃いやすいものも含め30種類以上あり、有名な10種類程度を覚えているプレイヤーにとって、KJQJは8割程度返せるものだからです。

 

もちろん、相手がoverKJQJを知らないと考えられる場合はKJQJは絶対的な切り札になりえますし、そもそも揃わないこと、返されてもどこかでミスがある可能性に賭けることもできます。ただ、ここでは相手がとても強い場合を想定して、もう一つおすすめの方針を紹介します。

 

それは、4枚出しに対して相手がカマトトしてきた時点で全出しをすることです。全出しとは、自分が持っている手札を全て使った数を出すことで、それが素数であれば一気に上がることができます。こうすることで、相手がカマトトしてきた場合でも、初めから全出しよりは高い確率で一発勝ちを狙えます。もちろん4枚出しに返された場合はKJQJを出せばよいです。

 

ちなみに、この全出しの代わりに確実に素数を出して上がれるような札を用意しておく、二刀流という技もあります。余分に覚える素数が増えますが、使いこなせれば強力なので、興味があれば以下の記事をチェックしてみてください。

https://hana3101382283.hatenablog.com/entry/2020/05/31/kaieda

 

â‘¢KTQJ

KJQJに似ている4枚出しをもう一つ紹介します。KTQJは絵札を1枚ずつ使うため、非常に揃いやすく様々な場面で役に立ちます。初心者同士の対戦であれば雑に切り札にしても良いでしょう。

 

強い人との対戦では、ほとんどKJQJと同じように使うことができます。同じ4枚出しなので、相手からはどちらを持っているのか分からないのも長所です。3枚出しの他の切り札を使う場合や、そもそも全く切り札を持たずに出す場合も同様ですが。ただしKTQJにはKJQJのほかKJTKという素数でも返せることは覚えておいても良いでしょう(KJTK自体はKKJが強く比較的重要度が低いのでうろ覚えでも大丈夫です)。

 

â‘£KKQTJ

5枚出しにも触れておきましょう。KKQTJは並びが綺麗な、5枚出しで2番目に強い素数です。流石5枚出しでKが連続しているということもあって、KKJ並みに返されづらいのが魅力です。もしラッキーなことに初手に揃っていたら、最初の5枚を勘で出してでも活用してみましょう。

 

⑤KKQKJ

KKQTJが一見強そうなのでそれより大きい素数はないような気がしてしまいます(私だけかも)が、一つだけ上があります。それがKKQKJで、Kとして使える札が6枚(ジョーカー込み)しかない中3枚使っているため明らかに強いです。どちらも多く手札を抱えているときなど、相手がKKQTJで親を取ろうとしてきたら出すと効果的です。相手が30枚くらい持つ流れになると、合成数で返されることはあります。

 

⑥KK=13×T1

素数ではないですがKKも紹介しておきましょう。おまけっぽくなっていますがとても強いです。合成数出しというとハードルが高そうですが、1313は13で割れば101と簡単に素因数分解できるので覚えられると思います。これは2枚出しで、それ以上大きい数をどうやっても作れないため、絶対に返されることがありません。

 

初手にこの5~6枚が揃っていた場合、2枚出しをしてKK、残りとすることで知識があまりなくても勝ちを確定させられます。カマトトなど関係ありません。2枚出しを2回しても良いでしょう。

 

また、もし手札が増えてしまっても、しつこく2枚出しを続けることで相手にKKを警戒させてプレッシャーをかけることができます。

 

立ち回り

何度か言及していますが、強い人はすぐに全出しやカマトトをして手札を24枚にしてくる(そうしないのは相手が先手で勝ちを確信しているときが主)ため、それを前提にして少しでも勝つ確率を上げられる戦略の一例を示します。

 

まずは、今までに紹介した切り札があればそれを使って勝ちにいくことです。手札を減らして残りが分からないという事態になっても、初めから全出しするよりは上がりやすいことが多いです。もし余裕があれば他の強い素数を覚えるのも良いですが、数札や偶数が多い素数も重要です。

 

次に、困ったら全出しをするのが強いです(諸説あります)。個人的には、手札の増えた相手に無策で何か出すより、全出しをして少しでも勝ちの可能性を掴みにいく動きをしたいところです。失敗しても手札が強くなればKKQKJなどを出すチャンスが来るかもしれないですし。

 

それから、もし手札が増えた後、相手がすぐに上がってこなければ、まずはできるだけ何か出すようにしましょう。特に相手から何か出してきた場合は、全く分からなくても何か返そうとしてみた方が手番を取れる可能性が高くなります。その上で、上手いタイミングでKKJなどを出し、再び全出しできると良さそうです。

 

こちらから攻めたいときは、KKがあればちまちまと2枚出しをしていくと上がるチャンスを狙いやすい気がします。最悪KKを出せば絶対に親を取れるので。ただし、そうすると偶数が余りがちなので、864211や82654654X(Xは1,3,7,9のどれでもよい)のような偶数を大量に使う素数を覚えられればベストです。

 

最後に、これらの戦略は強い人(これが参考になるレベルからすると超強い人)相手のものです。同じ初心者やあまりカマトトをしないプレイヤー相手では、3枚3桁の素数(881,883,887など)をしっかり覚えて、淡々と3枚出しをしていくくらいが確実に上がりを目指せて良いかもしれません。相手の実績(オンラインのゴツそうな大会でベスト4とかに入っているとかなり強いです)やプレイングを見て判断してみましょう。

 

基本に忠実な立ち回りをするなら以下の記事がとても参考になります。

https://prime-hu.hatenablog.com/entry/2020/05/25/203419

 

おわりに

長々と書きましたが、素数を覚えるのが面倒だけど戦略を練って勝ちたい! という、この記事が刺さる人は本当にこれから出てくるのでしょうか。去年の私がそうだった(で、KTQJを間違えたしKKQKJの存在を知らなかった)ので個人的には結構有益記事なんですが、自己満足になってしまうかもしれませんね。

 

だとしたら、初めて大会に出る人に言えることはただ一つです。楽しんでください! 特にマスプライム杯をはじめとする対面の大会はとても盛り上がります。