9枚9桁の新しい覚え方

この記事は、素数大富豪 Advent Calendar 2024の9日目の記事です。

素数大富豪 Advent Calendar 2024 - Adventar

 

こんにちは、さしみです。今日は9日目ということで9枚出しの話をします。9枚の素数は一見大きすぎて出しづらいようで、実は初手に出したり全出し後に切り札を用意して出したりと様々な使い道があります。

 

今回はその中でも全出し後のオーソ、つまり9→9→残りという組み切りに注目し、最初に出す9枚9桁の素数とその覚え方について紹介します。上級者向けの内容もありますが、覚え方自体は誰でも参考にできると思うので、ぜひ興味を持った部分から読んでいただければと思います。

 

 

9枚出しオーソとは

先ほど触れた通り、ここではオーソをある枚数で切り札の前に1回の素数出しをする戦術とします。対して、切り札の前に2回以上の素数出しをすることをラリーと呼んでいます。この呼び方は今年になってからマリンさんによって提唱されています。

 

全出し後の24枚の手札を考えます。9→9という出し方をすると残りは6枚になり、これは57のグロタンカットを残しているか、ジョーカーを温存できていれば比較的簡単に上がれる枚数です。そうでなくても、後で紹介するように、細かく組み換えができるように9枚出しを覚えていれば、知っている素数を残せるということもあるでしょう。これは1枚引いて25枚になっていても(57が欲しいですが)同様です。

 

9枚出しは消費枚数が多いだけでなく、切り札の性質が8枚出し以下と根本的に異なります。トランプ52枚の中で2桁の数として使えるのはTJQKXの18枚です(これを絵札と呼びます)。そのうち10枚以上を持っている場合相手の絵札は8枚以下となり、9枚出しでこちらは18桁の数を作れるのに相手は作れないという状況が発生するのです。

 

また、同じ絵札9枚ずつであっても、それをすべて使わないと最大の数を作れないことから、切り札の候補に大きな制約が生まれます。例えば、持っている絵札がKKKKQQJJTとなっていれば、作れる9枚18桁の数は全て3の倍数となってしまい、残り全てを持っている相手には9枚出しで勝てないことになります。

 

このように、多くの場合でKの枚数が決定的な要因となる6~8枚出しとは、全く別のカウンティングが発生します。絵札の枚数とその偏りが重要となるわけですね。

 

9枚出しオーソにおける9枚9桁

さて、この記事では切り札についてこれ以上深掘りはせず、その前に出す素数(先行札と呼ぶこともあります)の話に移ります。絵札を9枚持っていて切り札の大きさが勝っている、例えばKKKQQTTQJを出せる場合などは、残りの手札は全て数札になります。絵札を10枚持っていても、Xを温存できる場合にはできる限り上がりの札に使いたいため、先行札は全て数札になります。

 

このように、9枚出しオーソの先行札は絵札のない9枚9桁が理想のことが多くあります。もちろん、絵札を10枚持っている際にTやQなどのXでない絵札が余ることもあるのですが、その場合の素数については体系的には扱いきれていないため、軽く触れる程度に留めます(書けてない)。

 

1種抜き1種被り9枚9桁

そこで、私は、9枚9桁の中で最も揃いやすい、1種類が欠けていて1種類が2枚あるものを覚えることにしました。この形はちょうど数札が9種類ということで、抜けている札と被っている札を軸に取った二次元の表に、綺麗にまとめることができます。それを以下に示します。

 

 

あれーっ!

素数表はどこに? なんだこのへんてこな表は。

 

ということで、今回紹介するのがこの「くっつきカード法」(適当)による覚え方です。個人的には「結合最大法」みたいな漢語の方がしっくりくるんですがどうでしょう。いやでも「にばいめーかー」みたいなゆるい名前もなんだかんだで好きだな……。「くっつくやつ」とか呼んでもらえたら良い気がしますね。

 

ネーミングセンスは置いといて、表の読み方を解説します。まずはMAXと書いてあるものについてはその数札で作れる最大の奇数が素数になります。左上の1抜き2被りについては、1がなくて2が2枚なので、987654223が素数になるわけですね。

 

そして、MAX-XXと書いてあるものについては、XXの並びを固定し、1枚のカードとみなした上で作れる最大の奇数が素数になります。右上の1抜き9被りを例にとってみましょう。本来使う数札は234567899ですが、この中から”25”を取り出し1枚のカードだと思い込むことにします。すると、使う札は3,4,6,7,8,9,9,25となり、これを最大の奇数になるように並び替えると998764253という素数ができあがります。

 

例外的に、MAX-456&13となっている欄は、”456”と”13”の二組をそれぞれ1枚のカードとして扱う必要があります。987645613と987456413と微妙に位置が変わるのがトリッキーで、他のものもそうですが慣れは必要でしょう。

 

その他の記号についても説明しておきます。まずは、#で終わっているものはくっつけた並びが最後になります。その情報を使わないと最大の奇数が分からない、ということはないようにできていますが、なんとなく頭に入っていると迷いづらくなるでしょう。

 

それから、*がついているものは本来の並べ替え最大素数でないものが導かれる組です。実は、ところどころ最大にすることを諦めて似たようなキー(くっつける並びのこと)で固め、覚えやすくしています。この作業に結構時間をかけているんですよ?

 

そして、minと書いてあるものについては、察しの良い方ならもうお分かりかと思いますが、その札で作れる最小の奇数が素数になります(あえてそうなるもの全ては書いていません)。革命用などにmin-XX(結合最小法?)を大量に用意しても良かったのですが、キーに登場する数字がガラッと変わって98などになり、なんとなく覚えづらいのでやめました。いろいろ調べてみても良いとは思います。

 

さて、これでメインの内容は以上で、すぐに使い始めることができますが、覚え方と素数の復元の仕方のコツについても紹介しておきます。

 

最初に、1抜きと1被りはMAXが多いので、まとめて覚えてしまいましょう。MAXでないものもそれぞれ1種類のキー、113と25しか現れないのでかなり覚えやすいと思います。これでなんと12種類もの素数を覚えたことになります。

 

次に、残りの素数については、基本的に横、つまり抜けている札が同じものが似たようなキーを持つようにしています。2抜きは13、3抜きは41、4抜きと8抜きは12、6抜きと9抜きは53という数字やそこから派生したもので固められていますね。自分が覚えやすいと思った行から覚えていきましょう。

 

そして、重要なことですが、この表が絶対ではありません。自分でもっと覚えやすいキーがあると思ったらそれに変えたり、ある部分の素数だけ別の覚え方をしても構いません。54種類全部覚えていると何が出せるかの判断はしやすいですが、覚えない素数があってもよいのです。

 

実際、私は7被りは表の通りには覚えておらず、986-5/8/J/Q-54321と968-2/3/6/9-45123で代用しています。似たようなまとめ方だと、去年の可変系素数の記事で紹介した「六方美人素数」はこの表の一列をまとめて覚えられるので有用だと思います。963X28571みたいなやつです。と、まあそんな感じで自由に使ってください。

 

その他の9枚9桁

上の9枚9桁と並行して覚えておくと便利な素数を紹介します。まずは2種抜き2種被り。上と同様に今度は2種類の札がなく、代わりに残りの数札に2枚の被りがあるものです。より偏った場合に対応できるわけですね。抜く数字と増やす数字の組み合わせを考えるとなんと500種類以上あります。前から順に覚えていくのではなく、覚えやすいものや偶数の多いものをピックアップするのがおすすめです。

 

私がよく使うのは12抜きで、88,86,64,44被りがMAX、つまり作れる最大の奇数が素数になります。例として一つ目は988876543ですね。並びが綺麗で覚えやすい。逆に86被りに限定して探すと、12抜きに加えて13,19抜きがMAXになります。実は、四つ子素数88665412X「ババアムームーゴシクイーン」がちょうど86被り37,39,79抜きをカバーしていて、合わせると奇数2種抜きを全て出せるようになって非常に使いやすいです。

 

一つ紹介した他にも、四つ子素数はやはり使いやすいものが多くあります。1種抜き1種被りはもう覚えなくてよいので、ある程度偏った、具体的には2種類以上の札が被っている組み合わせを四つ子に担当させたいところです。nishimuraさんの素数探索に9,8,8,7,6,6,5,5,4,4,3,2,2,1,x (x=1,3,7,9 全て素数)などと打ち込んでみると何か発見があるかもしれません。

 

素数大富豪Wikiの9枚9桁四つ子素数をひたすら眺めたり、最初の3桁を固定してmy素数を探したりするのも良いでしょう。今回紹介しきれませんでしたが、my素数は9枚10桁をいくつか覚える上でもかなりの助けになると思います。あとは単に45566868Xなどの偶数ばかりの四つ子素数も意外と使用頻度が高いです。

 

おわりに

以上、9枚出しについて解説し、9枚9桁の画期的な覚え方を紹介しました。前回に引き続き実用性に振り切っている記事になりましたが、いかがだったでしょうか。これを読んで、9枚出しに挑戦してみようと思う人が一人でも増えれば幸いです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

明日は巨大なナメクジさんによる「語呂合わせ3150」です。語呂合わせは私も好きなので、どのような工夫が見られるか楽しみにしています。