2009'04.28 (Tue) 00:03
![]() | HURTLESS/HURTFUL (MF文庫J し 2-7) (2009/02) 清水マリコ 商品詳細を見る |
【★★】
傑作。
というかですね、僕はこのオチが好き好き大好き超愛してますよ。まさか、このオチとは。まさか、こういう真実だとは! そりゃ「秘密」で「罪」になりますし、当然「箱」に仕舞われます――そしてだからこそ、「脱獄」も執り行われるのでしょう。
筋や整合性の綺麗さ、流麗さなど通り越した「威力」を感じざるをえません(もちろん筋とかが悪いわけじゃないっす)。だからそれは、秘密なのに罪で、閉ざされてるのに脱走するのです。んー、てゆうかなんだろ。マジ好き、超好き。としか言いようがありませんね、ぶっちゃけ。質感がファンタジー”でも”あること(脱子の存在とか、精神分析で隠喩的にも解けないでしょ)が、本作にいい色を付けています。挿絵、特に冒頭の漫画的なものとかもそうですね。現実的な風景に混じる脱現実の色合いは・現実的な絵柄を描出する脱現実の形式は、これがそれでもなお”現実的な”位置に足を付けている作品だからこそ、半歩だけ「非現実」へと脱臼している――否、非現実の夢を見ている。これが非現実ならば、そもそも罪にもならないけれど、なってしまう。脱獄できてしまう。そして――
現実だからこそ、生まれる非現実と、現実だからこそ、梯子が外される非現実。そんな色合いのお話。
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