2006年 07月 29日
北の独裁者金正日の落日:孤立を深める北朝鮮,ARFでも北朝鮮ミサイル発射を批判する議長声明を発表
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マレーシアのクアラルンプールで開催された東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)外相会議は北朝鮮のミサイル発射を批判し安保理決議を受け入れるよう促す議長声明を発表して28日閉幕した.北朝鮮はこの議長声明に強く反発しARF脱退をも辞さないとの強行姿勢を示した(ARFは全会一致を運営原則としている!)※.会議にはARFを構成するASEAN10カ国と域外の16カ国・機構の外相らが参加(北朝鮮は2000年から参加している).この会議に北朝鮮を代表して参加した白南淳(ペク・ナムスン)外相は「国連決議が採択されて以降の国際情勢の変化に衝撃を受けたようだ」.会議場における白外相の「誰からも」相手にされず弁明も釈明もできない孤独な後姿はそのまま,北の独裁者金正日の軍事独裁政権が救いようのない末路を辿りつつあることの紛れもない兆候である.(馬場英治)
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※このこと(ARFは全会一致を運営原則としている)から論理的に帰結されることは,北朝鮮はすでにARFから実質的に排除されたことを意味するとして間違いあるまい.少なくとも(正規メンバーから格落ちした)「味噌ッカス」と認定されたことだけは否定しようがない.
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孤立深める北朝鮮、ARFでも仲間外れ
(朝鮮日報,2006-07-29)
28日に閉幕した第13回ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)でもっとも関心を集めた人物は北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相(77)だった。ミサイル発射問題により国際社会の制裁に直面している北朝鮮の外相の一挙一動に注目が集まった。
ASEAN地域フォーラム閣僚会議出席のためクアラルンプールのホテルに到着した北朝鮮の白南淳外相=27日夜(共同)→画像ソース
しかし白外相の姿はあまりにもみずぼらしいものだった。関心を寄せるのは取材陣だけで、参加諸国の外交官らからは無視されていた。
この白外相の姿が、北朝鮮の現在の孤立状況を象徴していたとの話が出ている。
27日午後、クアラルンプール国際空港にゴルフ場で使われる電動カートに乗った白外相が現れた。腎臓病で健康状態が悪く、歩けないという。
取材陣は白外相が国連安保理の決議案採択などについて公式に反論することを予想していたが、そうした状況さえ望めない状態だった。多くの質問が出されたものの、一言の回答もなかった。
クアラルンプールの議事堂で参加国の外相やマレーシア首相と会見した席でも白外相は疲れきった表情だった。
その後の公式協議で白外相は中国の李肇星外交部長の席に座った。白外相がたびたび話しかけようとしたが、李部長はこれを無視し、ほとんど対話にならなかったという。
翌日の28日、ARF会議場。3時間30分続いた午前の会議が終わり、参加25カ国の外相が互いに握手を交わしながら、次々に出てきた。
しかし白外相は一人だった。握手を求める外相は1人もいなかった。すぐ隣の席に座っていた中国の李部長はこの日も白外相と特に話を交わさないまま先に席を立った。李部長は休憩時間に「中朝関係が良くないようだが」という記者の質問を否定せず、「そのように言うこともできる」と答えた。
白外相は参加国の外相らと共に記念写真を撮った時も、かたい表情で正面を凝視し、挨拶を交わすことはなかった。
消息筋によると、この日の会議でほとんどの参加国が北朝鮮ミサイル発射に対する憂慮を表明した。ある消息筋は「中国とロシアが北朝鮮問題だけに関心が集中する雰囲気を変えようと試みたが、共感を得られる雰囲気ではなかった」と話した。
参加国は国連の対北朝鮮決議を支持し、北朝鮮に6カ国協議への復帰を促した。また日本以外にタイも、北朝鮮がタイ人女性を拉致したという疑惑(北朝鮮を出たチャールズ・ジェンキンスさんは2004年に発表した自伝の中で、平壌で「アノーチャ・パンジョイ」というタイ女性が住んでいるのを見たと明らかにしている)を提起した。
こうした状況で、白外相は気分を害しているようだった。会議場の向かい側に座っていた韓国の潘基文(パン・ギムン)外交部長官が白外相に近付いて「南北で一度会うのはどうか」と提案したところ、白外相は潘長官に視線を向けることもなく「そんな必要はない。南北は6・15南北共同声明に沿って進んでいけばよい」と言い、先に退場してしまった。
白外相はこの日午後7時にマレーシア外相※との会談の予定が組まれたことについて「(ARF会議が)すべて終わったあとで、何の意味があるのか」と怒りを表明した。
北朝鮮の次席代表であるチョン・ソンイル国際機構局副局長が「それでも会った方がいい」としたものの、白外相は会議場を出てしまった。また白外相はこの日の午後の会議には姿を現さず、代わりに駐マレーシア北朝鮮大使を出席させた。
ある消息筋は「白外相は、国連決議が採択されて以降の国際情勢の変化に衝撃を受けたようだ」と話した。
クアラルンプール=李河遠(イ・ハウォン)記者(朝鮮日報)
※マレーシアは今回のフォーラムのホスト国であり,事後とは言え一言ねぎらいないしお礼の挨拶があってしかるべきところである.事務方が気を利かせて段取りを付けたのを白外相は無碍に蹴ってしまったという訳だ...
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北朝鮮の白外相「事業はまだ始まっていない」
(聯合ニュース,2006/07/27 22:12)
【クアラルンプール27日聯合】北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相は27日、6カ国協議再開などの懸案について「事業はまだ始まっていない。黙って見てみよう」と述べた。同日午後、東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大外相会議に出席した外相らとそろってマレーシアのアブドラ首相を表敬訪問した席で、記者団に述べた。
米国主導で推進されている北朝鮮を除く8カ国会合については、「それなら彼らとうまくやればいい」として不参加の意思を明確にした。
マレーシア首相表敬訪問の席で、北朝鮮の白南淳外相(右端)を見遣る潘基文・外交通商部長官(左端)=27日、クアラルンプール(聯合)→画像ソース
アブドラ首相訪問の場では外交通商部の潘基文(パン・ギムン)長官とも顔を合わせた。潘長官が記者団に話したところによると、握手を交わしたものの特に話はできなかったという。潘長官は南北外相会談の可能性について、「あすぐらいに会うこともある。待ってみよう」と述べた。米朝二国間会談については、白外相が特に関心を持っていないように見えるため、可能性はさほど大きくないとしている。
また、白外相は中国の李肇星外交部長の隣に座っていたが、白外相が顔をそむけたままで対話はなかったと、外交消息筋が伝えた。
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この会議における重要なポイントは,6カ国協議を拡大した10カ国外相会談が持たれたことである.アメリカは当初北朝鮮を排除した5カ国協議を提唱したが,北朝鮮が6カ国協議に復帰する道を絶たれることを恐れる中国が異議を唱え※,打開策としてオーストラリア,カナダとアセアン議長国のマレーシアを加えた8カ国会談が模索され,最終的には中国の要請を受け入れてインドネシアとニュージーランドを加えた10カ国外相会談という穏便な形に納まった.
※ARFの場を借りてミニ6カ国協議を開くというアイディアは当初から存在したが,北朝鮮は中国の説得を頭から撥ね付けた.5カ国協議を主唱したのはアメリカであるが,日韓もこれに同調している.日本政府部内には5カ国協議という路線への慎重論もあったようだ.
現時点において北朝鮮が6カ国協議に復帰する可能性はなきに等しい.ハシゴを燃やしてしまったのは金総書記その人である.従ってこれからは5カ国協議が舞台の中心となることは不可避である.もちろん5カ国協議だけでは舞台装置に不足があるのは確かである.何が欠けているのだろう?簡単に公式化すれば,≪6カ国協議≫⇒≪5カ国協議≫+≪南北統一≫でなくてはならないことは明らかだ※.≪南北統一≫を展開すれば,≪独裁者の打倒≫+≪南北和合≫ということになるだろう.≪独裁者を打倒≫するためには,≪独裁者≡国軍・警察≫の結合部分≡を分断しなくてはならない.そのことと≪南北和合≫には密接な関係がある.なぜか?賢明な読者にはすでにこの答えはお分かりであろう.(ヒント:「同一民族の血で血を洗う復讐戦を望むものはいない」という表明が太陽政策と呼ばれるものの核心である.)
※小学生にも理解できる単純な(右辺と左辺の一致を求める)等式理論の適用である.
もう一つ重要なポイントを指摘しておこう.金日成のときはともかく,金正日の時代それも特に1990年代の大飢饉(大量餓死)の後,北朝鮮の官僚体制,特に治安警察関係は完全に賄賂だけが通用する世界になってしまった.しかも,賄賂が動くのは民間から官僚へという流れだけではない.驚くべきことに北の国では「独裁者」が配下の司令官を掌握するために賄賂を使っているのである!先軍政治のもと国内のあらゆるリソースがすべて軍に優先的に振り向けられている中で,独裁者は軍人の「忠誠心」を「外貨で買った贈り物(たとえば外車)」で買収しているのである.^^; アメリカが凍結したバンコ・デル・アジア(BDA)の口座は金正日のポケットマネーである.従って,金融制裁が効果を挙げれば挙げるほど,≪独裁者≡国軍・警察≫の結合は崩壊してゆく.つまり,「金の切れ目が縁の切れ目」になるのは間違いない.
To be continued...
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※このこと(ARFは全会一致を運営原則としている)から論理的に帰結されることは,北朝鮮はすでにARFから実質的に排除されたことを意味するとして間違いあるまい.少なくとも(正規メンバーから格落ちした)「味噌ッカス」と認定されたことだけは否定しようがない.
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孤立深める北朝鮮、ARFでも仲間外れ
(朝鮮日報,2006-07-29)
28日に閉幕した第13回ASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラム(ARF)でもっとも関心を集めた人物は北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相(77)だった。ミサイル発射問題により国際社会の制裁に直面している北朝鮮の外相の一挙一動に注目が集まった。
しかし白外相の姿はあまりにもみずぼらしいものだった。関心を寄せるのは取材陣だけで、参加諸国の外交官らからは無視されていた。
この白外相の姿が、北朝鮮の現在の孤立状況を象徴していたとの話が出ている。
27日午後、クアラルンプール国際空港にゴルフ場で使われる電動カートに乗った白外相が現れた。腎臓病で健康状態が悪く、歩けないという。
取材陣は白外相が国連安保理の決議案採択などについて公式に反論することを予想していたが、そうした状況さえ望めない状態だった。多くの質問が出されたものの、一言の回答もなかった。
クアラルンプールの議事堂で参加国の外相やマレーシア首相と会見した席でも白外相は疲れきった表情だった。
その後の公式協議で白外相は中国の李肇星外交部長の席に座った。白外相がたびたび話しかけようとしたが、李部長はこれを無視し、ほとんど対話にならなかったという。
翌日の28日、ARF会議場。3時間30分続いた午前の会議が終わり、参加25カ国の外相が互いに握手を交わしながら、次々に出てきた。
しかし白外相は一人だった。握手を求める外相は1人もいなかった。すぐ隣の席に座っていた中国の李部長はこの日も白外相と特に話を交わさないまま先に席を立った。李部長は休憩時間に「中朝関係が良くないようだが」という記者の質問を否定せず、「そのように言うこともできる」と答えた。
白外相は参加国の外相らと共に記念写真を撮った時も、かたい表情で正面を凝視し、挨拶を交わすことはなかった。
消息筋によると、この日の会議でほとんどの参加国が北朝鮮ミサイル発射に対する憂慮を表明した。ある消息筋は「中国とロシアが北朝鮮問題だけに関心が集中する雰囲気を変えようと試みたが、共感を得られる雰囲気ではなかった」と話した。
参加国は国連の対北朝鮮決議を支持し、北朝鮮に6カ国協議への復帰を促した。また日本以外にタイも、北朝鮮がタイ人女性を拉致したという疑惑(北朝鮮を出たチャールズ・ジェンキンスさんは2004年に発表した自伝の中で、平壌で「アノーチャ・パンジョイ」というタイ女性が住んでいるのを見たと明らかにしている)を提起した。
こうした状況で、白外相は気分を害しているようだった。会議場の向かい側に座っていた韓国の潘基文(パン・ギムン)外交部長官が白外相に近付いて「南北で一度会うのはどうか」と提案したところ、白外相は潘長官に視線を向けることもなく「そんな必要はない。南北は6・15南北共同声明に沿って進んでいけばよい」と言い、先に退場してしまった。
白外相はこの日午後7時にマレーシア外相※との会談の予定が組まれたことについて「(ARF会議が)すべて終わったあとで、何の意味があるのか」と怒りを表明した。
北朝鮮の次席代表であるチョン・ソンイル国際機構局副局長が「それでも会った方がいい」としたものの、白外相は会議場を出てしまった。また白外相はこの日の午後の会議には姿を現さず、代わりに駐マレーシア北朝鮮大使を出席させた。
ある消息筋は「白外相は、国連決議が採択されて以降の国際情勢の変化に衝撃を受けたようだ」と話した。
クアラルンプール=李河遠(イ・ハウォン)記者(朝鮮日報)
※マレーシアは今回のフォーラムのホスト国であり,事後とは言え一言ねぎらいないしお礼の挨拶があってしかるべきところである.事務方が気を利かせて段取りを付けたのを白外相は無碍に蹴ってしまったという訳だ...
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北朝鮮の白外相「事業はまだ始まっていない」
(聯合ニュース,2006/07/27 22:12)
【クアラルンプール27日聯合】北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相は27日、6カ国協議再開などの懸案について「事業はまだ始まっていない。黙って見てみよう」と述べた。同日午後、東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大外相会議に出席した外相らとそろってマレーシアのアブドラ首相を表敬訪問した席で、記者団に述べた。
米国主導で推進されている北朝鮮を除く8カ国会合については、「それなら彼らとうまくやればいい」として不参加の意思を明確にした。
アブドラ首相訪問の場では外交通商部の潘基文(パン・ギムン)長官とも顔を合わせた。潘長官が記者団に話したところによると、握手を交わしたものの特に話はできなかったという。潘長官は南北外相会談の可能性について、「あすぐらいに会うこともある。待ってみよう」と述べた。米朝二国間会談については、白外相が特に関心を持っていないように見えるため、可能性はさほど大きくないとしている。
また、白外相は中国の李肇星外交部長の隣に座っていたが、白外相が顔をそむけたままで対話はなかったと、外交消息筋が伝えた。
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この会議における重要なポイントは,6カ国協議を拡大した10カ国外相会談が持たれたことである.アメリカは当初北朝鮮を排除した5カ国協議を提唱したが,北朝鮮が6カ国協議に復帰する道を絶たれることを恐れる中国が異議を唱え※,打開策としてオーストラリア,カナダとアセアン議長国のマレーシアを加えた8カ国会談が模索され,最終的には中国の要請を受け入れてインドネシアとニュージーランドを加えた10カ国外相会談という穏便な形に納まった.
※ARFの場を借りてミニ6カ国協議を開くというアイディアは当初から存在したが,北朝鮮は中国の説得を頭から撥ね付けた.5カ国協議を主唱したのはアメリカであるが,日韓もこれに同調している.日本政府部内には5カ国協議という路線への慎重論もあったようだ.
現時点において北朝鮮が6カ国協議に復帰する可能性はなきに等しい.ハシゴを燃やしてしまったのは金総書記その人である.従ってこれからは5カ国協議が舞台の中心となることは不可避である.もちろん5カ国協議だけでは舞台装置に不足があるのは確かである.何が欠けているのだろう?簡単に公式化すれば,≪6カ国協議≫⇒≪5カ国協議≫+≪南北統一≫でなくてはならないことは明らかだ※.≪南北統一≫を展開すれば,≪独裁者の打倒≫+≪南北和合≫ということになるだろう.≪独裁者を打倒≫するためには,≪独裁者≡国軍・警察≫の結合部分≡を分断しなくてはならない.そのことと≪南北和合≫には密接な関係がある.なぜか?賢明な読者にはすでにこの答えはお分かりであろう.(ヒント:「同一民族の血で血を洗う復讐戦を望むものはいない」という表明が太陽政策と呼ばれるものの核心である.)
※小学生にも理解できる単純な(右辺と左辺の一致を求める)等式理論の適用である.
もう一つ重要なポイントを指摘しておこう.金日成のときはともかく,金正日の時代それも特に1990年代の大飢饉(大量餓死)の後,北朝鮮の官僚体制,特に治安警察関係は完全に賄賂だけが通用する世界になってしまった.しかも,賄賂が動くのは民間から官僚へという流れだけではない.驚くべきことに北の国では「独裁者」が配下の司令官を掌握するために賄賂を使っているのである!先軍政治のもと国内のあらゆるリソースがすべて軍に優先的に振り向けられている中で,独裁者は軍人の「忠誠心」を「外貨で買った贈り物(たとえば外車)」で買収しているのである.^^; アメリカが凍結したバンコ・デル・アジア(BDA)の口座は金正日のポケットマネーである.従って,金融制裁が効果を挙げれば挙げるほど,≪独裁者≡国軍・警察≫の結合は崩壊してゆく.つまり,「金の切れ目が縁の切れ目」になるのは間違いない.
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by exod-US
| 2006-07-29 18:40
| 金正日ミサイル乱射事件