2006年 07月 26日
金王朝崩壊へ王手詰めの一手!中国国有外為銀行(BOC)がすでに北朝鮮関連口座を凍結
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7月26日付け朝鮮日報の伝えるところによると,中国の国有外国為替銀行である中国銀行(BOC)はすでに北朝鮮関連口座の凍結を実施したとみられる.中国銀行はかつて韓国国家情報院が北朝鮮に2億ドル(約230億円)の秘密資金を送金したときに用いた銀行であり,この凍結によって影響を受ける北朝鮮資金は28億円と推定されるマカオのバンコ・デル・アジア(BDA)の場合よりもはるかにスケールの大きなものになるものと推測される.鴨緑江にかかる「中朝友誼大橋」を渡って中国から北朝鮮に向かう物資を輸送するトラック列はすでに7月7日時点で姿を消していることが確認されている.中国の経済制裁同調への動きは一度踏み出せば二度と後戻りの効かない不可逆コースであり,唯一の後ろ盾を失った金王朝の崩壊は時間の問題になったと断定できる.換言すれば,国際社会はいまや北朝鮮のミサイル乱射事件をきっかけに南北朝鮮統一への大きな一歩を踏み出したことになる.(馬場英治)
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【ミサイル発射】金融制裁で冷え込む中朝関係
(朝鮮日報,2006-07-26) 中国の4大国有商業銀行の一つ、中国銀行(BOC)が北朝鮮関連口座を凍結したことは、アメリカの金融制裁による北朝鮮制裁が一定の効果を上げていることを意味する。また、アメリカと中国が、北朝鮮のミサイル大量発射を批判した国連決議案採択だけでなく、すでに金融制裁でも協力していることを表している。北朝鮮が中国の公式の引き止めを振り払いミサイルを発射したのは、中国が北朝鮮の金融制裁に賛同したためとの分析も、説得力を帯びてきた。
◆中国の為替専門銀行
BOCは、香港証券市場に上場を進めるほど規模が大きく、中央銀行的な役割をする中国人民銀行とは別の銀行だ。かつて韓国で外国為替を専門的に取り扱っていた韓国外換銀行と似ている。
BOC がマカオ支店をはじめ、北朝鮮の口座をいくつ凍結したかは明らかになっていない。しかし、BOCの規模を考えると、40口座で2400万ドル(約28億円)の北朝鮮の資金が凍結されたマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」よりもはるかに大きいと推測されている。これに関し、今年2月、サウスチャイナ・モーニングポスト紙は「アメリカ政府は北朝鮮の米ドル紙幣やたばこ密輸にかかわる(BOCの)香港口座で267万ドル(約3億円)以上を差し押さえる予定といわれている」と報じた。同紙は「アメリカの要請でBOC香港本部の子会社“集友銀行”に開設された無職の中国人女性の3口座で、こうした資金が凍結されているといわれる」としている。また今年4月、ニューズウイークは「米政府は今年2月、北朝鮮による偽造ドル紙幣の捜査の手をBOCに伸ばし、中国は緊張した」と伝えた。
◆北朝鮮は裏切られたと思っている?
これにより北朝鮮は、中国にひどく裏切られたと感じている可能性がある。北朝鮮がミサイル発射を事前に中国に通知しなかったことや、ミサイル発射後に平壌を訪問した回良玉副首相一行を冷遇したことの背景にも、こうした問題があったかもしれないとの見方が出ている。
アメリカは中国の立場を考慮し、BOCの北朝鮮資金凍結をあえて公表しなかったとのことだ。アメリカはすでに去年のBDAだけでなく、BOCの問題点も発見したことが確認されている。米ヘリテージ財団の「中国は北朝鮮の米ドル紙幣偽装の共犯なのか」という報告書には、「アメリカはBDA問題については率直に公表したが、(外交問題を考慮して)BOCマカオ支店問題については何も言及しなかった」と書かれている。
特に、同行マカオ支店の北朝鮮口座(北朝鮮テソン銀行)を通じて、韓国国家情報院が2000年に北朝鮮に2億ドル(約230億円)を送金したことは注目される。一部ではブッシュ政権がこのような前歴がある同行を名指しすることで、不法に北朝鮮を支援した行動に対し警告サインを送ったと解釈する向きもある。
BOC が北朝鮮関連口座を凍結したことは、他国にも少なからぬ影響を与えるとみられる。アメリカは全世界の企業や金融機関に「北朝鮮を相手にするな」と警告し続けている。スイスのクレディ・スイス銀行は今年1月、北朝鮮との新規取引を中止すると発表したし、シンガポール第3位の銀行ユナイテッド・オーバーシーズ・バンク(UOB)も先日、北朝鮮との金融取引を中止した。世界的に見ると、20余りの金融機関が北朝鮮金融制裁に賛同していることが分かっている。
李河遠(イ・ハウォン)記者(朝鮮日報)
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現時点において,北朝鮮が6カ国協議に復帰する可能性は限りなくゼロに近いと言ってよい.なぜなら,その場合において北朝鮮の選択できるコースは核開発放棄→ミサイル廃棄→生物・化学兵器廃棄→国連査察(確証武装解除)→レジームチェンジのような流れにならざるを得ないと考えられるからである.従って来るべき6カ国協議(実質的には5カ国協議に移行してゆくものと考えられる)のテーマは早晩,より大きな枠組みとしての「南北朝鮮統一」に切り換えられることになるだろう.だが,(紛争の火種を温存し撒き散らすことによって)東アジアの不安定要因を維持することが一部(内国+外国)勢力の利益に適っていることは明らか(軍事的霊感商法)であるから,このロードマップ(南北朝鮮統一→朝鮮半島の非核化→拉致問題の最終的解決)が容易に実現可能な平坦な道であると見るのはあまりにも楽観的に過ぎる.
【追伸】<中国情報局NEWS>によればボイス・オブ・アメリカ(VOA,中国語)は24日『米国高官が「中国銀行が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の口座を凍結し、同国との取引を完全に停止した」と述べた』と報道した.ただし,この凍結措置は2005年11月に実施されたものであり,今回の経済制裁で中国が米国に追随して行われたものではないとされる.
この記事から読み取れることは,①中国銀行による北朝鮮口座の凍結は事実であること,②この凍結は北朝鮮のミサイル乱射の結果というよりは,むしろ原因の一部をなすと考えられること,③この措置は中国銀行の上場を控えた中国政府の政治判断によると考えられることなどである.(この状況を踏まえてタイトルを変更した) いずれにしても中国政府がキム王子のベビーシッター役を放棄するという大きな流れはすでにここで確定したと言ってよい.
(中国政府はもちろんイラクのフセイン政権に対して行ったようなアメリカを主軸とする有志連合による武力制裁→レジーム・チェンジを望んでいないし,またそのようなことを許すこともないだろう.しかし,金王朝の腐敗(犯罪化)がもはや救いようもないという認識はすでに中国政治指導部の判断として確定したと見るしかない.)――引き続き今後の推移を注視したい.
To be continued...
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【ミサイル発射】金融制裁で冷え込む中朝関係
(朝鮮日報,2006-07-26)
◆中国の為替専門銀行
BOCは、香港証券市場に上場を進めるほど規模が大きく、中央銀行的な役割をする中国人民銀行とは別の銀行だ。かつて韓国で外国為替を専門的に取り扱っていた韓国外換銀行と似ている。
BOC がマカオ支店をはじめ、北朝鮮の口座をいくつ凍結したかは明らかになっていない。しかし、BOCの規模を考えると、40口座で2400万ドル(約28億円)の北朝鮮の資金が凍結されたマカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(BDA)」よりもはるかに大きいと推測されている。これに関し、今年2月、サウスチャイナ・モーニングポスト紙は「アメリカ政府は北朝鮮の米ドル紙幣やたばこ密輸にかかわる(BOCの)香港口座で267万ドル(約3億円)以上を差し押さえる予定といわれている」と報じた。同紙は「アメリカの要請でBOC香港本部の子会社“集友銀行”に開設された無職の中国人女性の3口座で、こうした資金が凍結されているといわれる」としている。また今年4月、ニューズウイークは「米政府は今年2月、北朝鮮による偽造ドル紙幣の捜査の手をBOCに伸ばし、中国は緊張した」と伝えた。
◆北朝鮮は裏切られたと思っている?
これにより北朝鮮は、中国にひどく裏切られたと感じている可能性がある。北朝鮮がミサイル発射を事前に中国に通知しなかったことや、ミサイル発射後に平壌を訪問した回良玉副首相一行を冷遇したことの背景にも、こうした問題があったかもしれないとの見方が出ている。
アメリカは中国の立場を考慮し、BOCの北朝鮮資金凍結をあえて公表しなかったとのことだ。アメリカはすでに去年のBDAだけでなく、BOCの問題点も発見したことが確認されている。米ヘリテージ財団の「中国は北朝鮮の米ドル紙幣偽装の共犯なのか」という報告書には、「アメリカはBDA問題については率直に公表したが、(外交問題を考慮して)BOCマカオ支店問題については何も言及しなかった」と書かれている。
特に、同行マカオ支店の北朝鮮口座(北朝鮮テソン銀行)を通じて、韓国国家情報院が2000年に北朝鮮に2億ドル(約230億円)を送金したことは注目される。一部ではブッシュ政権がこのような前歴がある同行を名指しすることで、不法に北朝鮮を支援した行動に対し警告サインを送ったと解釈する向きもある。
BOC が北朝鮮関連口座を凍結したことは、他国にも少なからぬ影響を与えるとみられる。アメリカは全世界の企業や金融機関に「北朝鮮を相手にするな」と警告し続けている。スイスのクレディ・スイス銀行は今年1月、北朝鮮との新規取引を中止すると発表したし、シンガポール第3位の銀行ユナイテッド・オーバーシーズ・バンク(UOB)も先日、北朝鮮との金融取引を中止した。世界的に見ると、20余りの金融機関が北朝鮮金融制裁に賛同していることが分かっている。
李河遠(イ・ハウォン)記者(朝鮮日報)
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現時点において,北朝鮮が6カ国協議に復帰する可能性は限りなくゼロに近いと言ってよい.なぜなら,その場合において北朝鮮の選択できるコースは核開発放棄→ミサイル廃棄→生物・化学兵器廃棄→国連査察(確証武装解除)→レジームチェンジのような流れにならざるを得ないと考えられるからである.従って来るべき6カ国協議(実質的には5カ国協議に移行してゆくものと考えられる)のテーマは早晩,より大きな枠組みとしての「南北朝鮮統一」に切り換えられることになるだろう.だが,(紛争の火種を温存し撒き散らすことによって)東アジアの不安定要因を維持することが一部(内国+外国)勢力の利益に適っていることは明らか(軍事的霊感商法)であるから,このロードマップ(南北朝鮮統一→朝鮮半島の非核化→拉致問題の最終的解決)が容易に実現可能な平坦な道であると見るのはあまりにも楽観的に過ぎる.
【追伸】<中国情報局NEWS>によればボイス・オブ・アメリカ(VOA,中国語)は24日『米国高官が「中国銀行が北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の口座を凍結し、同国との取引を完全に停止した」と述べた』と報道した.ただし,この凍結措置は2005年11月に実施されたものであり,今回の経済制裁で中国が米国に追随して行われたものではないとされる.
この記事から読み取れることは,①中国銀行による北朝鮮口座の凍結は事実であること,②この凍結は北朝鮮のミサイル乱射の結果というよりは,むしろ原因の一部をなすと考えられること,③この措置は中国銀行の上場を控えた中国政府の政治判断によると考えられることなどである.(この状況を踏まえてタイトルを変更した) いずれにしても中国政府がキム王子のベビーシッター役を放棄するという大きな流れはすでにここで確定したと言ってよい.
(中国政府はもちろんイラクのフセイン政権に対して行ったようなアメリカを主軸とする有志連合による武力制裁→レジーム・チェンジを望んでいないし,またそのようなことを許すこともないだろう.しかし,金王朝の腐敗(犯罪化)がもはや救いようもないという認識はすでに中国政治指導部の判断として確定したと見るしかない.)――引き続き今後の推移を注視したい.
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by exod-US
| 2006-07-26 01:32
| 金正日ミサイル乱射事件