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イベントレポート

「8億人のつながりが価値を生む」 vs. 「質の高いつながりが価値を生む」 FacebookとGoogle、それぞれのソーシャル戦略


 米国時間11月8日~10日にかけて、NYマンハッタンの南西部にあるJavitsCenterにてad:tech New York 2011が開催されました。今回は、FacebookとGoogleの基調講演について紹介していきます。

Facebook 「8億人のつながりが価値を生む」

 11月8日朝のキーノートプレゼンテーションではFacebookの広告およびグローバル戦略担当役員のDavid Fischer氏が登壇しました。

 当初は講演タイトルが「Today's Marketing Reality?What's Old is New, What's Small is Big with David Fischer, Facebook」となっていましたが、本番では、同じくFacebookのErik Johnson氏がad:tech tokyo 2011で行った講演「Business in a Connected World」に近いタイトルである「Business is Better in a Connected World」に変更され、構成も東京と近い内容となりました。

 Fischer氏はまず、Facebookの利用者は8億人を超え、それだけなく利用時間が主要インターネットメディアに比べて非常に高い(Yahoo!の3倍以上!)というデータを提示し、世界規模でダントツに多い接触量を誇るメディアであることを示しました。

 「現在では、ソーシャルグラフを元に個々のユーザーごとに動的にカスタマイズされ、それぞれが違うユーザー体験をしてしている。それをさらに拡張したものがTimeline機能だ」(Fischer氏)とし、先日発表したTimeline機能について触れました。(参考:Introducing Timeline -- a New Kind of Profile)

 Timeline機能についてFischer氏は、「新機能のTimelineは、それぞれのユーザーがどんな背景を持ち、どんなことに感心があり、どんな生活や仕事をしているのか、つまりそのユーザーのアイデンティティを表すものだ。これは、他人からみればより深くつながるための重要な情報となる」とし、ユーザーにとってどのようなメリットがあるのか説明しました。

 マーケティングにおいてソーシャルメディアを使う理由の1つは、「信用できる知人からの情報は価値が高い」という点を利用した、情報の拡散にあります。こうした点を踏まえると、まさにTimeLineはソーシャルメディアの特徴をより強めることにつながる機能であり、さらに魅力的なマーケティングプラットフォームになり得ると宣言しているようでした。

 次に、Fischer氏は「現在、Facebookページ、Facebook広告(スポンサー広告)、スポンサー記事という3つのサービスを広告主へ提供している」と語り、この3つのサービスを上手に活用していくことが、Facebookをマーケティング目的で活用するポイントであると紹介しました。

筆者注

スポンサー記事とは、自分の友人とある企業や団体との間にFacebookを介したやり取り(例えば友達があるFacebookページに対し「いいね!」を押すなど)が発生した場合に、自分のページの右カラムに“○○さんがいいねした広告”と表示される広告の仕組み。直接リーチだけでなく、○○さんが興味を持ったという情報も込みで、他の人にリーチすることができる。

 ソーシャルの仕組みで配信された広告は、他の広告に比べ効果が高く、売上が9%向上した例などもあるようです。また、成功事例としてhuggiesというおむつメーカーが行った、Facebookと交通広告を組み合わせたキャンペーン事例も紹介されました。

huggies Facebookページ
huggies Facebookページ

 まず、露出を稼ぐ手段として赤ちゃんの写真を共有するためFacebookページを提供。さらに、共有された写真をバスのラッピング広告や地下鉄構内に掲示しました。

 赤ちゃん写真を知人に見せたい、見せられたら誰もがいいね!という”コンテンツの性格”と、それを拡散させやすいソーシャルメディアの”プラットフォーム”と、さらに街中での”リアル体験”が大きな相乗効果を生み、結果として4%以上のシェア拡大に貢献しました。

 このような、Facebookを活用したマーケティングキャンペーンを成功させるためには、次の3つのステップがあると、Fischer氏は言います。

  1. Connect(ユーザーやポテンシャルユーザーとつながる)
  2. Engage(強い結びつき)
  3. Inspire(新しいユーザー体験を提供/新しい感覚を与える)

 最後に、「ソーシャルメディアとは、まさに“人”の生き方を反映するものだ。『自分を知ってもらう』『つがなる』『共有する』などの行動はビジネスにおける成功要因とも似た点がある。今後は、もっとつながりやすく、もっとオープンになることで、さらにソーシャルな世界が普及していくことだろう」とFischer氏は語り、講演を締めくくりました。

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この記事の著者

中川 斉(ナカガワ ヒトシ)

1968年生まれ/早稲田大学卒。

コンサルティングファーム・広告会社にて、統計解析・データマイニングを軸にしたマーケティングプランニング業務に従事。専門的なデータ分析のスキルと高度なマーケティングの知識・経験の両方をバランスよく持つ稀な存在であり、近年ではマーケティングテクノロジーの開発、利用啓蒙にも一...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2011/12/21 14:12 https://markezine.jp/article/detail/14803
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