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「現代遠野物語」 第百二十話(笛吹峠の人骨)
大槌町に、遠野の宮守町から嫁いだ高齢の女性がいる。その女性から聞いた話だが、その女性は、笛吹峠にある能舟木の、俗に"呪い屋敷"と呼ばれる家に嫁いだそうである。呪い屋敷の謂れは昔、旅の女六部を殺した事により祟りにあった事から、近所で「呪い屋敷」と呼ばれていたそうである。
宮守町の女性が嫁いだのは、昭和時代の事であった。その当時の呪い屋敷の姑は、まるで西洋の童話に出てきそうな赤毛の魔法使いのお婆さんの様であったそうだ。実は、その姑の血筋は、笛吹峠の鉱山で働かされていた外国人であった。そしてその姑は、巫女でもあった。ある日、その姑が能舟木から笛吹峠へ抜ける旧道を歩いている時、とある方向を指さして「あそこは、恐ろしい。」と怯え、家に帰った事があった。その後、その姑が怯えた辺りが大雨で流れた時に、おびただしい人骨が出てきたそうである。ただ、その人骨がどういったものなのかは、わからないそうである。 処刑場跡地から、おびただしい人骨が出てくることは、よくある事である。しかし、歴史的に笛吹峠の一角に処刑場があったという話は知らない。恐らく、旅人が殺され埋められた場所の可能性があるだろう。「遠野物語5話」に笛吹峠を避ける話が載っているが、もしかしてこの人骨との関連もあるのかもしれない。
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by dostoev
| 2024-01-08 21:47
| 「現代遠野物語」120話~
「現代遠野物語」 第百十九話(処刑場跡 其二)
現在の遠野風の丘が建設される前は、鬱蒼とした森だった。そしてその前の道路では、よく頻繁に事故が起きていたので、地域では何かあるのではないかと思われていた。その森が伐採され、いつしか遠野風の丘が建設された。その基礎工事の中、おびただしい人骨が発見された。簡単に処分できないので、その現場から一番近い綾織の曹洞宗である長松寺に、その骨が持ち込まれてまとめて供養された。その当時の住職は、加藤秀山和尚。飲兵衛で、女好きの和尚だった。
ところでその発見された人骨だが、そのあたり一帯は宮の目の処刑場と呼ばれる場所であった。文献には処刑場の名前は載っているが、詳しい場所は不明であった。その事から、恐らく宮の目の処刑場で処刑された罪人が埋められた地であったと思われる。
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by dostoev
| 2024-01-08 21:14
| 「現代遠野物語」110話~
「現代遠野物語」 第百十八話(処刑場跡 其一)
遠野の南の町外れであり、上郷町の来内との間に、遠野ダムがある。現在は、遠野第二ダムが完成した為に遠野第一ダムともいうが、古くは来内ダムとも呼ばれていた。その遠野第一ダムである来内ダムの着工が昭和28年。そのダムが建設される位置から下流域一帯が、ダム建設予定地になっていた。その下流域に栃洞と呼ばれる地がある。そこから、おびただしい人骨が発見された。恐らくだが昔、ダムが建った辺りを"ケッコロガシ沢"と呼ばれた処刑場であった。処刑は夜に行われ、刀で切られ崖下に蹴落とされた事から"ケッコロガシ沢"と呼ばれるようになった。その罪人が埋葬されたのが、栃洞ではなかっただろうか。そして今の遠野第一ダムを渡った山の斜面に、処刑された罪人たちの供養碑が一基建っている。
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by dostoev
| 2024-01-08 21:06
| 「現代遠野物語」110話~
たましいの歩く街「遠野町の一日市の下角、大工町と鍵町、新町と続く所に、旅館がある。遠野町の西側一帯の地に寺院が八か寺もある。遠野の人達が死亡すると必ず、ここを通りそれぞれの檀家寺に納ることになっている。霊魂も同じようである。旅館の仏間に就寝しているお婆さんに真夜に仏達が立ち寄る、お婆さん独り言、「くやくやと」一晩語る声がすると必ず誰かが死んでいた。また昭和十九年頃のことである。遠野町の政界を二分していた一方の雄、M氏が死去したので、その旨を、常に政治的に対抗するK氏も病気で伏していたのでM氏が死亡したのを告げると、昨晩M氏の霊魂が寺に行く途中、立ち寄り、「一緒に行くべ」と言うから、私はまだ行かれないと言ったら淋しく立ち去ったと、既にM氏は死亡を知っていた。」 ところで菊善工務所一族が、そこに住んでいる時に、頻繁に幽霊を見たそうである。冒頭の「たましいの歩く街」の解説にあるように、霊魂もそれぞれの檀家の寺に集まって来ていたのだろうか。もしかして、菊善工務所一族の住んでいた地は、常福寺へ集まる霊魂の通り道だったのだろうか。
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by dostoev
| 2023-12-19 10:53
| 遠野怪奇場所
夜泣きと乳の粉医療技術の発達した最近では、あまり聞く事が無くなったが、昔は産後に死亡する母親もかなりいたらしい。そうなると、残された父親や、その祖父母が赤ん坊の面倒をみなくてはならない。そんな中、泣きわめく赤ん坊に取り敢えず乳の粉を与える人達がいたのではなかろうか。 以前某テレビ番組で、ある部屋に置かれている物を少しだけ移動して、それをそれぞれ複数の男女にそれを見つけてもらうという実験があった。そして、それを発見するのは全て女性であったと。その番組では、女性は"空間把握能力"が男性に比べて遥かに高いのは、赤ん坊の微妙な表情を読み取って判断できるからだと。だから子育ては、女性が適していると。ところが、それが江戸時代であれば、その母親が亡くなれば、その赤ん坊の死亡率がかなり高まるという事だろう。 #
by dostoev
| 2023-12-17 19:44
| 民俗学雑記
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