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琴畑と妙見(其の三)一度村の者が伊勢参宮の序に、此寺へ尋ねて行って、其地蔵様に行逢って戻りたいと言ふと、大きな足音をさせて聴かせたといふ話もある。今の地蔵端の御堂は北向きに建てゝある。それは京都の方を見ないやうにといふ為だそうなが、そのわけはよく解らない。 「遠野物語拾遺49」 #
by dostoev
| 2023-10-29 07:53
| 琴畑と妙見
琴畑と妙見(其の二)土淵村の若者達が4人、5人、琴畑川へ木流しに行った時の事である。不動ノ滝の傍らにある不動堂に泊まっていたが、夜嵐が烈しかったので、堂の戸を堅く締切っておいたのに、夜明けになってみると、その中の一人が堂の外に投げ出されたまま、前後不覚で熟睡をしていた。宵に締めた戸はそのままであったから、これは神業であろうと言い合って恐れた。六、七年前の冬の事である。 「遠野物語拾遺119」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 信仰が廃れる場合の殆どは、別当の死による管理者の不在。そしてもう一つは、国から邪宗扱いされ自然消滅した場合だ。例えば明治時代になり、三峯信仰や妙見信仰は邪宗扱いされた為に公的な神社は廃社となった場合がある。遠野にも三峯神社跡地というものが存在するが、かつては社があり、賑わった時もあったようだ。過去に昭和一桁生まれの古老から「三峯は邪教だ。」との言葉を聞いた事がある。そういう認識が明治時代、人々の意識に刻まれていたようだ。
#
by dostoev
| 2023-10-28 16:39
| 琴畑と妙見
琴畑と妙見(其の一)「十件ほどの家はすべて琴畑姓だ。落ち武者伝説をもち、加賀からおちのびてここに住みついた平家の流れと称して、明治頃までぼろぼろになった幟があった。先祖は琴の名手で、慣れない畑仕事の合い間に琴を弾き、はるか故郷の加賀の国をしのんだ。地名はこれに由来するという伝承をもっている。」 例えば、遠野から笛吹峠を越えて、今は釜石市に属する早栃の話に「遠野物語拾遺18(実を結ばない小柿)」の話があるが、これも平家の落人を意図しての話だ。また同じ釜石市の嬉石という地の語源も、平家の落人が安住の地を見つけて「嬉しい」と述べた事が、いつしか「嬉石」と変化し地名になったとの話もある。実は、遠野から沿岸域にかけての山には、平家だけでなく安倍氏や藤原氏などを含む落人伝説がいくつもある。東和町の兜跋毘沙門天像が猿ヶ石川を睨むように設置されたのは、猿ヶ石川上流に住む部族に対し睨みを効かせる為であったとされるが、逆に言えば猿ヶ石川上流より東は山が深い為なのか、蝦夷征伐の朝廷軍は来なかったともいえる。それ故に、朝廷の力の及ばなかった遠野から沿岸域へ逃げてきた一族が多かったと思える。特に遠野には鬼退治(朝廷にとっての)の話が無い事から、朝廷の力の及ばぬ代表的な地であったのかもしれない。 #
by dostoev
| 2023-10-27 21:16
| 琴畑と妙見
梨木平(其の五)確かに平は「たいらげる」という言葉から、何も無くするという意味と、反抗する者達を抑えその地の平定の意味でも使われる。ここでの「梨の木平」の「梨」は「無」で「木平」とは、「木を平げた」という意味として訳せば、確かにそうなる。岩手県全体、そして遠野も馬産地であり、その岩手県内に「梨の木平」という地名が複数あるという事からも、「梨の木平」という地名が馬産地に関係しても違和感は無い。 馬の放牧地として梨の木平の地名が成り立つとすれば、達曽部と大迫の境界にある梨木平。琴畑部落にある梨木平。上郷町来内と遠野町の境界近くにある梨木平。上郷町にある梨木平。これら遠野の梨木平に馬が放牧されていた伝承があるかどうかだろう。ちなみに、安倍貞任伝説の中に鍋倉山の話がある。鍋倉山は、馬の放牧地の管理馬である番屋であったという事らしい。その鍋倉から来内ダムの方角に梨の木平があるのは、馬の放牧地としての範疇であるのかもしれない。しかし問題は、途中に積善寺という天台宗寺院の広大な敷地内であるという事がどうなのかだろう。とにかく簡単に「梨木平」という地名を、馬の放牧地と結びつけるのに躊躇いがあるのが本心でもある。
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by dostoev
| 2023-10-15 09:21
| 遠野地名考
瀬織津比咩の祭祀其の四十八「新山神社(松坂)」社殿の脇には画像の木札が、かけられている。「大地を守護し土地から物を産み給う 更に子授・安産。子育ての神徳」とあり地母神の性質を持っていると信じられていたようだ。気になるのは、秋の縁日が九月十八日となっている事。広く、九月十八日は妙見神の縁日となっている。 #
by dostoev
| 2023-10-11 12:05
| 岩手県の瀬織津比咩
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