竹槍とは、竹を槍状にした簡易的な武器である。しかし使い手の精神力次第では超空の要塞B-29を撃墜できるとされており、これに異を唱えた記者は陸軍の怒りを買っている。
戦国時代まではは竹を適当な長さに切り、先端を斜めに切って尖らすことで簡易的な槍としたものと、柄が竹製の槍(穂先は鋼鉄製)の槍と、両方を指していた。
江戸時代に治安が安定するまで、百姓(民衆)が自前に刀剣・槍・弓を所持しそれらを使用するすることは珍しくなかったため、文献中に竹槍という言葉が出てきてもどちらを指すかはわからない。
竹が自生している地域では容易に材料を調達し製作できることから、古来から百姓一揆などの反乱に使用されていた。庶民に寄り添った武器と言える。ただし、江戸時代においては威嚇用だったという説もある。
時代は流れ、1930年代。帝國陸軍の荒木貞夫中将は「竹槍が100万本あれば列強など恐れるに足りない。」と豪語していた。また300万本あれば国土の防衛が出来るとも言っていたとか。
太平洋戦争では末期に兵器不足を補う目的で竹槍を増産した印象が強いが、実は開戦劈頭の1942年3月7日に発行された東京朝日新聞に「1941年末より千葉県で竹槍を使った訓練を行っている」との記載があり、開戦直後から竹槍が造られていた事を窺わせる。1943年2月には大日本婦人会が竹槍訓練を開始。とはいえ銃後の精神的な引き締めを行うのが目的であり、実際に竹槍で対抗する気は無かったようだ。また陸軍は竹槍を研究し、後に和製パンツァーファウストと呼ぶべき兵器を開発している。竹取物語の時代から受け継がれた竹の精神は神州不滅の具現となって、鬼畜米英に勇躍立ち向かったのである。このため竹槍は陸軍のカテゴリーでは「制式兵器」となっていた。当初は精神の引き締めに使われていた竹槍だったが、サイパン失陥後の1944年7月19日に発行された読売報知新聞に「武器なきは竹槍で突撃」と記載され、東條英機首相が出した非常時宣言によって婦女子に竹槍を持たせて本格的な戦闘訓練を行うようになった。軽く、簡単に作れる竹槍は即席の武器として打ってつけだったのだ。竹槍は引殺槍(ひっそぎやり)とも呼ばれた。1945年3月、アメリカ軍が沖縄に侵攻すると局地的ながら竹槍を使った戦闘が生起した。伊江島の守備隊が、上陸してきたアメリカ軍の部隊を夜襲。1名の黒人兵を刺し貫こうとしたが、掴まれて効果を発揮できなかったという。
竹槍は一般用と少年用の二種類が用意された。竹を切っただけの簡便な槍が多かったが、中には先端に鋭利なパイプをくくりつけたり、植物油を塗布して弱火で炙り強度を高めた改良型も存在する。本土決戦に備えて相当数が用意されたが、実際には生起しなかったため、出番を迎える事なく武器の役割を終えた。
一方、満州方面は事情が違った。1945年8月9日深夜、ソ連軍の大群が国境を越えて満州国内に侵入。度重なる南方への戦力抽出で弱体化していた関東軍では歯が立たず、軍民ともに逃げ惑う事しか出来なかった。そんな非力な彼らに与えられたのが、竹槍であった。手のひらを返した満州人に両親を殺された五歳児に竹槍を持たせ、日本兵が組み伏せる3人の犯人を殺させたという話が伝わる。
適度な長さと太さの竹を用意し、片方の先端を斜めに切って尖らせる。竹を切る際に門松のように刃先に節を含むことで強度を上げたり、先端を火であぶって固くさせたり、先端に油を塗って滑りやすくさせるとさらによい。弾力のある真竹の方が攻撃力が高いとされる。
アメリカ陸軍のサバイバルマニュアルには「1.2メートルから1.5メートルの竹を使用し、先端から8センチから10センチの部分で45度の角度で切り落とす。この際、切っ先の内側を削り刃を鋭利にすることが重要」と記されている。
また、日本陸軍の規定では大人用が1.7~2m、子供用で1.5mまでとしており、先端は20度の角度で切断するとしている。
竹は中空であるため軽量、かつ木材よりも繊維が縦方向に揃っているため丈夫である。だがその反面、ちゃんとした槍などの本格的なポールウエポンと違い角運動量をあまり増大させることができないため打撃にはそれほど向かず、刃先の形状から斬撃を繰り出すこともできない。このため刺突に特化した武器であり、主に多人数で槍衾を形成するなどの戦術がとられる。
ベトナム戦争においてはベトコンがトラップとして竹槍を用い、アメリカ兵に対し戦果を挙げた。これは死傷者の数よりも、竹槍に貫かれた死体があまりに惨たらしいものであったために士気に与えた影響が大きい。切っ先にうんこを塗り付けておくことで感染症による殺傷効果を狙う使用法も見られ、アメリカ兵を恐怖に陥れた。
また竹は上述のように繊維の方向が縦に揃っている関係上、機械の駆動部に巻き込んだ際に与える効果が木材よりも大きく、一説によると戦車の起動輪に巻き込むことで行動不能にしたり、超低空を飛行していたF-4戦闘機に投擲しジェットエンジンに吸入させ撃墜する戦果を挙げたともいわれている。
なお一度使用すると切れ味が極端に低下するため、基本的には使い捨てである。
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最終更新:2024/12/23(月) 15:00
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