愛国無罪とは (アイコクムザイとは) [単語記事]

愛国無罪とは、

「国を愛して行われる行動に罪は無い」という意味の中国語
転じて「愛国心を理由に自身の違法・不当な言動や行動を正当化すること」を意味するネットスラング

1の概要

1936年、中国において救国入獄運動と言われる反政府運動が行われた際に使用された言葉である「愛国無罪　救国入獄」というスローガンが語源とされる。文化大革命時には正反対の「革命無罪」がスローガンになっていた。このように、本来は中国国内での反政府運動において使われる言葉であった。

しかし、文化大革命以降は中国共産党に忠誠を誓わせる教育や、ガス抜きとしての反日教育が強化され、反政府運動をすり替えるための反日デモにおいてもこの言葉が使われるようになっていった。

日本でこの言葉が知られるようになったのは、小泉純一郎元首相の靖国神社参拝や、サッカーアジアカップ、日本の常任理事国入り問題等に起因する反日感情の高まりにより、2005年 4月に中国で行われた反日デモにおいて、スローガンとして掲げられていた横断幕およびシュプレヒコールをメディアが連日報じていたためである。（報道直後は2の意味を中心に認識されるようになる）。

そのデモの内容は凄まじく、日本領事館に向けてレンガやペンキ、ゴミ等を5時間にわたって投げ続けたり、（中国人が使う）日本製品や日本料理店のボイコット・破壊を（中国人が）するなど、過激なものであった。それらの犯罪行為を「“愛国”を理由に“無罪”」とするスローガンは、当時の日本人の印象に残るものとしては十分であった。日本以外でも報道され、中国の立場が悪化することを恐れた共産党が過激なデモを取り締まるようになり、その後は鎮静傾向となっていき、表立って使われることも少なくなった。

2の概要

1で述べたような中国における反日感情の高まりや、韓国における歴史問題等を巡っての反日感情の高まりを受け、日本のネット上では自由主義史観に基づく戦争責任の否定と、戦争責任を主張する中国・韓国、さらには国内のリベラル・左翼勢力を嫌悪する右派的なネットユーザーが増加していった。いわゆる「ネット右翼」の台頭である。

彼らの多くはネット上で穏当な言論活動を展開するに留まったが、一部の特に過激なユーザーは規約違反のスレ違いやマルチコピペを多用しての思想宣伝を行ったり、「行動する保守」に類する右派系市民団体に参加して外国旗の毀損やシュプレヒコールによる業務妨害・器物損壊・建造物侵入などの違法行為に及ぶようになっていった。

ネット右翼の中でもこれらの行為については「保守の恥」「広く大衆の支持を得られなくなる」として批判する声も少なくなかったが、こういった行為に及んだ当事者やその支持者の多くは「自分たちは日本を護るために真実を喧伝し、反日勢力を攻撃しただけ」などと主張し、批判には当たらないとしたり、法廷で公然と無罪を主張したりするのが通例だった。