小松左京賞とは、角川春樹事務所がかつて主催していたSF小説の公募新人賞。
第1回から終了まで選考委員は小松左京ひとりが務めた。賞金は100万円。
1999年、ミレニアム到来を前に「これからはまたSFの時代だ!」と直感した角川春樹の号令で作られた新人賞。
通常、作家名を冠した文学賞は作家の死後に作られるものだが、角川春樹は当時まだ存命だった小松左京の元を訪れ、「SFの新人賞を作る。名前は小松左京賞にしたい。選考委員は小松さんひとりで」と直談判。小松左京は「自分の名前を冠した賞なんて死んだ作家みたいじゃないか」と難色を示したが、角川春樹は「大丈夫、横溝正史賞を作ってからも横溝正史は8年生きたから」と説得した……らしい[1]。
2009年の第10回をもって休止。その後小松左京が亡くなり、再開の可能性は薄そうである。
選考委員が老齢の小松左京だけだったこともあり、良くも悪くもレトロな雰囲気のSFが受賞することが多かった。そのためなのか、受賞者より落選者の方が大活躍したのが特徴で、第1回では作者が既にデビュー済みだったため落選した北野勇作『かめくん』が徳間デュアル文庫に拾われてその年の日本SF大賞を受賞。さらに第7回では、伊藤計劃『虐殺器官』と円城塔『Self-Reference ENGINE』を両方落として受賞作なしという結果が事後的に話題を集めた。
とはいえ第1回では後に時代小説方面で活躍する平谷美樹、第3回では受賞作が映画化された機本伸司、第4回では後に『華竜の宮』で日本SF大賞を受賞する上田早夕里などが受賞しており、伊藤計劃と円城塔が世に出るきっかけを作ったことも合わせれば、21世紀の日本SFに大きな貢献を果たした賞と言えるだろう。たぶん。
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最終更新:2024/12/23(月) 15:00
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