安仁屋宗八 単語

安仁屋宗八（1944年8月17日～）とは、広島東洋カープ、阪神タイガースに所属していた元プロ野球選手である。

当時アメリカ占拠下にあった沖縄の出身者として、初めてプロ野球選手となり「元祖沖縄の星」となった選手。

概要

12人兄弟の8男として生まれ、名前も8人目ということから「宗八」となる。
小学4年生から野球を始め、当初は内野と投手のかけもちだったが、沖縄高校2年時に投手に専念し、3年生時には夏の甲子園に出場した。

高校卒業後は琉球煙草に進み、大分鉄道の補強選手として沖縄出身者としては初めて都市対抗に出場を果たし、さらに64年には広島東洋カープに入団してこれまた沖縄出身としては初めてのプロ入りを果たす。この際沖縄では「安仁屋フィーバー」が起こり、後援会がいくつも誕生している。

1年目の64年から投手コーチだった長谷川良平に可愛がられたこともあってか、中継ぎ中心ながら出場機会を得ており、翌65年には201.1イニングを投げている。
66年は7月31日の巨人戦にてこの年13連勝を記録していた堀内恒夫と投げ合い、9回2死までノーヒットに抑えながら29人目の打者となった黒江透修に安打を許してノーヒットノーランを逃した。

当時のカープはまだまだ弱く、シーズンでもBクラスが当たり前で67年までは安仁屋も負け越しが続いていたが、68年に突如として覚醒し、この年は23勝11敗、防御率2.07というエース級の成績を残し、チームのAクラス進出の大きな原動力となった。
69年・70年も連続で二桁勝利を挙げたが、70年オフに痛風を患ってしまったことで以後成績を落とし、74年にはキャンプ中にジョー・ルーツコーチと対立してしまい、オフには若生智男とのトレードで阪神タイガースに放出されている。

75年は阪神にて全試合に中継ぎとして登板し、66試合で140.2回を投げて12勝5敗7セーブ、防御率1.91という成績で最優秀防御率とカムバック賞を受賞した。
翌年以降も阪神の中継ぎとして活躍を続けたが、79年に12試合の登板に終わると、阪神から再び広島にトレードとなる。

80年、実に6年振りに広島に復帰した安仁屋だが、酒の飲み過ぎが祟って春先に十二指腸潰瘍を発症して大きく出遅れてしまい、この年はわずか2試合の登板に終わると、翌81年も1試合の登板に終わったためこの年で現役を引退した。

引退後は82年から97年まで広島にて投手コーチを務め、その後は解説者に転身。

2005年に再び広島の1軍投手コーチに復帰したが、過度な投げ込みを選手たちに課したため、この投げ込みに耐え抜いた黒田博樹を除いて広島の投手陣を崩壊させてしまい、この年広島は最下位となってしまったため、わずか1年でコーチを退任。

その後は沖縄に社会人野球チームを作り、現在はRCCカープナイターという番組に解説として出演している。

エピソード、プレースタイル

酒豪として知られ、現役時代に酒好きが災いして痛風や十二指腸潰瘍を発症したのは上述の通りだが、普段から二日酔いの状態で練習に参加することもあり、現役を引退した今でもローカル番組にてベロベロに酔っている姿を見せることもある。
1991年、脳腫瘍で入院していた津田恒実から病床で「安仁屋さん、飲みすぎんように」と心配された逸話もある。
2005年頃から顎に白ひげを蓄えるようになり、その風貌から「安仁屋サンタ」と呼ばれた。
通算119勝の内、34勝が巨人から挙げたものだが、これは「当時の沖縄では巨人戦のみがテレビ中継されていた」、「巨人戦に勝つことが出来れば、通常の勝利の2倍の評価をしてもらえた」という事情もあって本人も気合いが入っていた。

2016年にはテレビの企画にて自身と同じカープOBの横山竜士がホームランを打つまで打撃投手として投げ続け、実に330球ものボールを投げた。この時安仁屋宗八71歳である。なんだこのおじいさん！

選手としてはサイドスロー気味のフォームからシュートとスライダーを投げ分け、内角を果敢に攻める強気の投球が持ち味。

安仁屋算

安仁屋算とは、安仁屋宗八がシーズン開幕前にカープ投手の勝ち星予想をした所、合計100勝前後となってしまうあまりにもポジティブな勝ち星勘定である。

きっかけは2011年、RCCにてシーズン開幕前の広島の投手たちの勝ち星予想を安仁屋がしたところ

という合計で101勝と、とんでもない予想をしたことから始まった。
ちなみに日本記録は1955年に鶴岡一人率いる南海ホークスが記録した99勝。
実際は右の通りで、日本記録を超えるどころか予想選手以外の勝ち星を合わせても60勝とその約半分程度にとどまり、さらにまったく期待していなかったブライアン・バリントンがチーム最多勝利を挙げる等突っ込みどころ満載の結果となってしまった。

2012年

前年の結果を見て懲りたと思いきや、この年も安仁屋は大胆な予想を見せる。

一見すると勝ち星全体の予想数は減っているが、よく見ると一人一人のハードルが上がっているのがわかる。
この年も予想の半分程度の勝ち星に終わり、予想以上の勝ち星を残したのは大竹寛のみだった。

2013年

これといった情報無し。

2014年

投手陣の全体的な予想は無し。
ただ、ルーキーの大瀬良大地と九里亜蓮、そしてFAの補填で移籍してきた一岡竜司の3人について「大瀬良、九里、一岡の3人で25勝」という予想をした。
結果は・・・

尤も、一岡に関しては全て登板が中継ぎでのものなので、勝利数を稼げたらそれはそれでスゴイことに。
大瀬良は新人王を獲得したものの、勝利数は10勝止まり、九里は行き過ぎた安仁屋の期待に応えたとは言えない結果となっている。

2015年

「広信安佐南区経友会　合同講演会」にてRCCアナウンサーの一柳信行氏と共に講演し、黒田博樹＋前田健太＝30勝でリーグ優勝という予想をした。 ちなみに、開幕3塁手の予想は新井貴浩。

結果は黒田11勝＋前田15勝で30勝には届かず、広島も4位に終わっている。また開幕三塁手は梵英心だったが、新井は一塁で復活を果たしている。

高橋建の安仁屋算

1月5日のRCCに元広島の高橋建が出演した際、2015年の先発ローテーションの勝利数を予想したのだが、本人曰く「安仁屋さんに近いかもしれない。」という予想は以下の通り。

先発ローテーションの6人で77勝。安仁屋さんに近いというか、充分安仁屋算ですよ建さん。
黒田博樹の復帰もあり、大きな期待がうかがえる。

結果は予想を超えたのはクリス・ジョンソンのみで、大瀬良・野村・九里といった若手選手は期待を大きく裏切る結果となった（大瀬良に関しては中継ぎに転向していたので致し方ない面が強い）

2016年

新人及び若手選手への大きすぎる期待は相変わらずだが、何故か黒田博樹のみ少なめな予想である。流石に御年40を越える選手にはきついかもしれないという気遣いだろうか。それにしても6人の合計で70勝と全体的に見れば控えめに見えてしまう。

結果はジョンソンがピタリ、黒田と野村は予想を上回った。その反面、福井、岡田、横山はそれぞれ10勝以上を予想されながらも3人合わせて11勝に留まった。

ちなみにテレビでは「カープファンが笑顔になる 先発ローテ・安仁屋算」とあったので、安仁屋算という言葉は公式となった様子。なお安仁屋算では52勝だが、チームはこの年合計で89勝を挙げ、1991年以来となる優勝を達成している。

2017年

もはや毎年恒例の安仁屋算だが、先発陣での予想は昨年同様に合計で70勝。特に福井には復活してほしいと大きな期待をかけているらしい。ちなみに全体での予想では「毎年除夜の鐘で108勝、控えめにして99勝」とのこと。控えめどころか99勝って日本記録なんですが！

通算成績

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関連項目

• プロ野球選手一覧
• 広島東洋カープ
• 阪神タイガース
• 長谷川良平