ダゴン 単語

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ダゴン

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ダゴン(Dagon)とは、

  1. 古代中近東において信仰されていた神。ユダヤ教キリスト教では悪魔とされる。
  2. H.P.ラヴクラフト小説およびクトゥルフ神話に登場する邪神。デイゴン。

1.の概要

旧約聖書』においては、古代パレスチナにおいてペリシテ人が信奉していた。ガザおよびアシュドッドに大きな神殿があったと伝えられる。

サムエル記』には、イスラエルとの戦争の末に勝利したペリシテ人が戦利品として櫃(アーク)を奪い、ダゴンの神殿戦利品として奉納した。しかし翌になるとダゴンの像は破壊されて疫病が流行した為、賠償をつけた上でイスラエルに返却した。
『士師記』では、神の恩寵により怪力を持つ士師・サムソンをペリシテ人は力化してを潰し、奴隷として重労働を課し、ダゴンの神殿に繋いで見世物にした。しかしサムソンは神に祈って力を取り戻し、自分が繋がれた柱を引き倒して神殿を破壊、3000人ものペリシテ人を連れにして死んだ。

こういった経緯からユダヤ教では悪魔と見なされて落し、更にキリスト教でも同様の扱いを受けて悪しき神として定着した。

名は「穀物」を意味し、大地に関係の深い豊神、いはの神と考えられている。しかし後にヘブライ語で『』を意味する「ダグ」と混同され、魚人の姿をしたの神として伝わった。
中世聖書の挿絵では、の顔をした冠、およびの身体をったヴェールを被った男の姿で描かれている事が多い。これにはダゴンを信奉するペリシテ人の祖が、地中海沿からエジプトに侵攻した「の民」と呼ばれる集団の一部族であった事も遠因と考えられている。

否定される向きもあるが、そのルーツメソポタミアに遡り、七人の賢者(アプカル)の筆頭・アダパが原であるという説も存在する。紀元前3世紀、ベロッソスが記したギリシャ語歴史書「バビニア史」においてはオアンネス(オーアンズ)と称された。
それによるとオアンネスの身体をし、の頭の下に人間の顔を持ち、尾鰭の部分に二本の足を持っていた。人語を解し、人々に農耕や建築学や法律などの多くの知識を授け、は人と共に過ごし、になるとに戻ったという。

16世紀に記されたヨーハンヴァイヤーの『悪魔の偽王』では更に貶められ、地獄の王室の「配室長官」なる役職に任命されている。更にその流れを組んだコラン・ド・プランシーの『地獄辞典』では、地獄におけるパン焼き係の長とされている。
またミルトンの『失楽園』では、上半身が人間・下半身がの「怪物」として描写され、その姿にも関わらずパレスチナの全域で崇拝され、壮麗な神殿が建てられていたとされている。これを裏付けるかのように、都市国家マリおよびテルカ(現在シリア)の遺跡では神殿跡が発見されている。

2.の概要

初出は1917年発表の『ダゴン』。旧支配者クトゥルフに仕える邪神

語り部となる男は、大海原をボートで漂流するうちに泥で覆われたに流れ着き、奇妙な遺跡を発見する。
遺跡には未知の都市と、中を闊歩する『忌々しいほど人間の姿に似た』怪物を描いた画があったが、直後にその怪物中からその巨体を現し、哮する様を撃してしまう。
男は怪物の姿から古代パレスチナ人の信仰する神・ダゴンや、その失楽園における記述を連想しつつ、宇宙的恐怖によって半ば意識を喪失しながらもから逃走。何処をどう逃げたか、商に救出されてアメリカに生還するも、呪われた記憶を振り払う事は出来ず、モルヒネに耽溺してしまう。
やがてモルヒネを買う金も尽き、自殺しようとした男が告白と遺書を書き終わろうとした時、何かを越しに撃。「いや、そんな!あの手は何だ!窓に!窓に!」と書き殴って終わる。
彼の前に本当に何かが現われたのか、それとも発狂した彼の幻覚であったのかなど、一切はのままである。

その後1936年に発表された『インスマウスを覆う影』において再登場。
を掛け合わせたような半魚人深きものども」、及び人間との混血であるインスマウスの住民によって構成される「ダゴン秘密教団(the Esoteric Order of Dagon)」にて崇拝されている。ここでは「深きものども」の上位個体の一体であり、「なるハイドラ」の対である「なるダゴン」として扱われている。
「ダゴン秘密教団」はインスマウス以外にも様々な土地に潜んでおり、いずれ来たる大いなるクトゥルフ復活の為に暗躍しているとされる。

ダゴンとハイドラ深きものが長い年(おそらく何万年単位)を経て大きく成長したものであり、身長は6mをえるといわれている。ダゴンとハイドラはほとんど同じ存在であるとされ、この二体以外にも同様の存在がいる可性は捨てきれない。〈深きものの支配者〉といわれるように深きものを束ねる存在であり、深きものが行なうクトゥルフ信仰を率いる存在である。

ルルイエで眠っているクトゥルフとは異なり自由に活動することが可であるが人類との接触をすることは少ないといわれている。

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