いすゞ自動車とは (イスズジドウシャとは) [単語記事]

概要

いすゞ自動車とは、日本最古の自動車製造会社であり、ディーゼルエンジン搭載自動車を日本で最初に作った会社である。
その車両の作りは質実剛健であるが、惜しげもなく最新技術…と言うより開発途上の技術までも投入するため、時として技術的に時代を先取りし過ぎた車を世に送り出すことでも知られる。

現在は商用車（トラック、特装車。バスは日野自動車との合弁企業のジェイ・バスにて製造）を製造販売しているが、1993年（平成5年）までは乗用車を、2002年（平成14年）まではSUV（スポーツユーティリティビークル。スポーツ用多目的車）も製造販売していた。

現在でも、インドネシア法人およびタイ法人では、ＳＵＶを製造販売している。(ただし、残念ながら日本には輸入されていない)

いすゞサウンド

ちなみに、一昔前までの大型車～中型車用のいすゞ製手動変速機は、その質実剛健な作りのため、内部の歯車の表面加工が若干荒かったと言われており、エンジン音と合わさって、走行中(特に加速中)に特徴的な唸り音が聞こえる。
もっとも、昔は他社製の手動変速機でも工作が若干粗かったために多少は唸るのだが、いすゞの変速機の唸り音は独特の、特徴の有る音色であった。

この音は
『いすゞサウンド』
と呼ばれ、バスだけでなくトラックでも聞く事が出来たため、走行音だけでいすゞ車を簡単に鑑別する事が出来た。
世のおっさん達にとっては、昔懐かしの音である。

現在でも手動変速機搭載車で微かに聞こえる気がする…という声もあるが、単にエンジンの音だけかもしれない。
ニコニコ動画内でこの音が確認できる動画は少なくとも次の4本。(未だある筈)

沿革

1916年（大 5）　東京石川島造船所（現在のIHI）の自動車部門として設立。
1929年（昭 4）　石川島自動車製造所として独立する。
1933年（昭 8）　ダット自動車製造と合併して自動車工業となる。同年、自動車製造が自動車工業を（←ややこしいけれど）拝み倒して、ダットサンの一切の権利および図面と技術者を無償譲渡して貰う。（翌年、自動車製造は日産自動車に改称）東京瓦斯電気工業もこのときに合併するはずが、瓦斯電がわの事情により延期。
1934年（昭 9）　商工省標準形式自動車「いすゞ」トラック完成。
1937年（昭12）4月9日東京瓦斯電気工業と国策合併し東京自動車工業となる。現在のいすゞ自動車はこの日を創立記念日としている。
1941年（昭16）ヂーゼル自動車工業と改称
1942年（昭17）ヂーゼル自動車工業から日野製造所（現在の日野自動車）を分社。
1949年（昭24） いすゞ自動車と改称。
1953年（昭28）ルーツ・グループ（英）と提携、乗用車「ヒルマン・ミンクス」をノックダウン生産。
1956年（昭31）第一次南極観測隊へディーゼルエンジンを提供。以来現在の観測隊のほぼすべての車両とエンジンがいすゞ製。
1971年（昭46） ゼネラルモーターズ（GM）と資本提携
1974年（昭49） いすゞ・ジェミニ生産開始。ラジオ番組「いすゞ歌うヘッドライト～コックピットのあなたへ～」放送開始（～2001年）
1989年（平元）オーストラリアにGMと共同出資で法人を設立。以来24年連続新車販売で1位。
1991年（平 3） 3.5L V12のF1 エンジンを試作(いすゞ・P799WE)。ロータスのシャシーに載せてシルバーストーンサーキットで実走テストを行った。社章が現在のものになる。
1993年（平 5） 小型乗用車の自社開発・製造を中止。商用車、SUVの製造販売等に注力
2002年（平14）経営危機に陥る。更なる経営資源の集中を図るため、国内でのSUVの製造販売等を中止し、国内での乗用車部門から完全撤退
2003年（平15） バス部門を日野自動車と統合しジェイ・バスを設立（翌年、いすゞバス製造と日野車体工業を合併）
2006年（平18） ゼネラルモータースとの資本関係解消。提携関係は維持。トヨタ自動車と資本提携
2010年（平22）国内年間トラック販売台数（大、中型の合計）で日野自動車を抜き、初めて首位となる。

CM曲

「愛しのデシベル」や「夜明けの仲間たち」だと思っている向きも多いが、「いすゞのトラック」という直球一本勝負な曲名のCMソングがある。
詳しくは該当項目を参照されたい。

「バスはどうしたんだ？」という声もありそうだが、公共交通機関としてのバスの市場が縮小し続けているため、いすゞ自動車と日野自動車の利害関係が一致、両社は「ジェイ・バス」という合弁会社を立ち上げ、子会社のいすゞバス製造（昔の川崎車体工業）と日野車体工業（昔の帝国自動車工業）の存続会社にし、いすゞバス製造と日野車体工業は解散している。（沿革参照のこと）