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Buenos días, vi6125w さん。 前置きが長くなりますが、お付き合いください(笑) 翻訳者は、仕事を引き受けるときは「偽善者」で、仕上げるときは「裏切り者」です(笑) 原文の意味を100%忠実に再現することができないため、「翻訳者、裏切り者」という名句がイタリアで生まれました。Traduttore, traditore の語呂合わせもあるでしょう。 翻訳業界では、「外国語から母語のみに翻訳する」というのが世界共通の鉄則です。どれだけ外国語に秀でていてもです。外国語に翻訳する人もいますが、よほどのお墨付き(証明するもの)がある場合で、それも特定の分野しか扱いません。それでもその言語を母語とする翻訳者のチェックが入ります。単文をどれだけ母語話者と同等のレベルで書けても、それらを組み合わせた文章にすると、母語話者にしか分からない感覚でメスが入ります(笑) このようなことを身をもって味わったことがなければ、普段から外国語を不自由することなく使いこなしているという理由で、自信満々に外国語に翻訳する怖いもの知らずがいます(笑) 以前、下のようなことを書いている日本人がいました。 「英語圏での生活経験あり。TOEIC〇〇点。翻訳は母語に訳すのが原則と言われていますが、日本語には日本人独特の感覚があるので、日本人が訳した方がよい場合があります。」 いえいえ、どの言語にも独特の感覚がありますよ(笑)。この人が母語話者にチェックしてもらうならよいですが、そうでなければ、丸丸寿司になりかねません。日本人と日本語の感覚が分かる母語話者が訳す方が確実です(笑) 『丸丸寿司』のような英文を見るたびに、職業病として次のことを想像します ● 精度の悪い翻訳機を使ったのか ● 英語で接客できる日本人従業員、あるいはかろうじて日本語を話せて、英語を少し知っている外国人従業員が訳したのか ● 上で挙げたような「翻訳者」と称する人が自力で訳したのか 翻訳では原文の意味を正確に捉える力があるのが前提であり、必要なのは翻訳先の言語で表現する力です。ここでは日本語が原文なので、字面に出ない日本語の意味を汲み取れる力があることが大前提です。これがないのに訳すというのは、ワインを作るのにブドウを栽培しないようなものです(笑) この10年以上、翻訳業界で流行しているのが【transcreation】という手法です。【翻訳】というよりも【翻案】です。原文の意味を汲み取りつつ、翻訳先の言語が使われている国とその業界で好まれる表現に置き換える方法です。 ①「伝統の味を守り」 ここでの「守る」は、「保つ」、「従う」なので、「defend」(危険、危害から守る)は不可です。 ②「守りながらも」 ここでの「も」は、「○○しつつ」、「○○である一方で」の意味なので、逆説(否定)の意味の「though」は辻褄が合いません。 ③ 創造・探求は②の「しながらも」に合わせて、creating and exploring でよいでしょう。 ④ 「真心込めた職人の味」と「ご堪能」「真心」も日本人好みですが、これは「care」でよいでしょう。「care」でなくても、「情熱」に変えます(笑)。日本人は「真心」を使うと、「消費者のことを考えている」と評価されますが、西洋人は「提供する人の仕事に対する誇りや熱意」を評価するので、「情熱を注ぐ」という言葉が定番です。西洋社会、特に南欧では、品質の良し悪し関係なく、「情熱」はお決まりの謳い文句です(笑)。これを使わなければ、見向きもされないでしょう(笑) 日本の食品・飲料業界では、「ご堪能ください」、「お楽しみください」が定番ですが、私の経験上、英語圏や南欧では、「提供します」が定番であり、この一言に「味わえ」(口にすれば分かる)の意味が込められています。 原文に近いと思う訳 ● At Marumaru Sushi, we honor (respect) traditional flavors while creating and exploring new (innovative) ingredients and dishes. We provide (offer) expertly crafted dishes with passion and care. シンプルな例 ● Marmaru Sushi offers expertly chef-crafted dishes with passion, inspired by traditional flavors and creativity. 英語は私の母語ではないので、自信満々に訳せません(笑)日本人の感覚と、ターゲット市場の好みに精通したネイティブの翻訳者に任せるのが確実です(笑)
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お付き合いくださり、ありがとうございます。 さすがですね! 「母国語話者にしか分からないメス」はその通りですが、 とっても怖いです。 なので、いつも謙虚でないといけないと思うのですが、 「怖いもの知らず」は大勢いるように見えます(笑) 「丸丸寿司」はまだマシな方で、もっとすごいのがいくらでも ありますよね。 「ワインを作るのにブドウを栽培しない」もその通りですよね! イエス様みたいに水からワインはできません(笑) 「真心」や「愛情」関連も、"with passion"は非常によく見ます。 感覚がまるで違うんですよね! そのあたりを考慮に入れないと、なんだこれ?になりますよね。 「見向きもされない」場合、恥をかかない分、かえって 助かったりします(笑) でも、こんな具体例の分析も面白いですよね!
質問者からのお礼コメント
ありがとうございました! またよろしくお願いします。
お礼日時:10/9 12:22
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1. 日本語特有表現と翻訳の試練 日本語には「伝統」「守る」「真心」といった言葉がふんだんに出てきます。翻訳者にとって、これは一種の心理戦です。「この ‘真心’、どう英語で表現すれば怪しまれずに伝わるのか…」と悩んでいるうちに、いつの間にかコーヒーを3杯も飲んでしまうのが日常です(笑)。特に「お花畑」的な軽薄さや偽善が混じる文章は、英語では直訳すると読者に「またかよ、日本人…」と思わせるリスクがあります。 2. 「伝統の味を守りながらも」の英語化 原文の “defends the taste of the tradition though” は、翻訳者泣かせの典型です。英語では硬すぎて、料理の温かみや職人の愛情が台無しになります。ここは “honors traditional flavors while exploring new ingredients and dishes”とすると、直訳感ゼロで読みやすくなります。翻訳業界では「どうしても直訳したい依頼者」と戦いながら、このような意訳で味付けするのが日常茶飯事です(笑)。 3. 創造・探求は動詞で見せる 「創造・探求」を名詞化すると堅苦しい文章になりますが、料理文脈では動詞中心が生き生きします。“creating and experimenting with new ingredients and dishes”という表現は、読者に「この店は毎日冒険している!」と伝わります。翻訳あるあるですが、依頼者は「名詞にしてほしい」と言いがちですが、ここで逆らわないと、文章がまるで法律文書のようになります(笑)。 4. 真心込めた職人の味をどう表現するか “真心”の英語直訳は大抵臭いです。翻訳者はここで頭を抱えつつも、行為で示す表現を模索します。例えば “meticulously crafted with all the chef’s heart and skill”は、英語圏でも自然に受け入れられます。また、“the workman” は絶対ダメ。「どこの建設現場の人ですか?」となります(笑)。こうして、翻訳者は文化ギャップという泥沼の中で、職人かシェフかアーティストかを瞬時に判断するのです。 5. 最終形の例 上記を踏まえると、自然でかつユーモラスに解釈した英訳は以下のようになります。 > "At Marumaru Sushi, we honor traditional flavors while continuously creating and experimenting with new ingredients and dishes. Please enjoy the sushi, meticulously crafted with all the chef’s heart and skill." ここでポイントは、「直訳しない勇気」と「文化的センス」。翻訳者は依頼者に怒られる覚悟をしつつ、文章を滑らかにするのが常です(笑)。 6. 翻訳業界あるある * 依頼者: 「真心を直訳してほしい」 * 翻訳者: 「はい、でも英語話者は鼻で笑います」 * 依頼者: 「every day はどこに置く?」 * 翻訳者: 「この文章はすでに哲学書ですか?」 こんなやり取りが日常茶飯事です。結局、翻訳は単なる言葉の置き換えではなく、文化とニュアンスの橋渡し。少しユーモアを交えて、依頼者に「これは英語圏でも通じますよ」と伝えるのがプロの腕の見せどころです(笑)。 7. 総合的コメント 日本語の美しい表現を英語に移すとき、直訳ではなく意訳・文脈・文化感覚を考慮することが肝心です。翻訳者は常に依頼者と文化の間で「偽善的調整」を迫られる芸術家でもあります。文法・語順・語感を整えつつ、読者が違和感なく楽しめる文章にする――これが翻訳業界の日常であり、最大の醍醐味でもあります。