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株取引が原因で自己破産が管財事件となる場合、破産管財人は、財産の換価と免責不許可事由の有無という二つの大きな目的のために、破産者について以下の点を集中的に調査します。 特に株取引は免責不許可事由(浪費、射幸行為)に該当する可能性が高いため、その点についての調査が重要になります。 破産管財人が調査する主な点 1. 財産に関する調査 換価・配当の対象となる財産があるか、また財産を隠していないかを徹底的に調査します。 * 有価証券の保有状況: 証券会社、信託銀行などへの照会や、証券保管振替機構への開示請求などを行い、破産申立時に申告されたものだけでなく、申告漏れがないか確認します。 * 取引履歴: 株取引や投資信託などの詳細な取引履歴を精査し、財産の動きを把握します。 * 預貯金口座の入出金履歴: 過去2年分などの通帳や取引明細を調査し、使途不明な多額の入出金や、株取引の資金源、購入・売却資金の流れを確認します。 * 財産隠しの有無: 破産者宛ての郵便物転送(銀行、証券会社、保険会社などからの通知)を通じて、未申告の財産(口座、有価証券、保険など)がないか確認します。 * 不当な財産処分がないか: 破産直前に特定の債権者のみに弁済したり(偏頗弁済)、安価で財産を譲渡したり(詐害行為)など、債権者全体の利益を害する行為がなかったかを調査します。 2. 免責不許可事由に関する調査(株取引に特化) 株取引が借金の主原因である場合、それが**「浪費または射幸行為」**として免責不許可事由に該当しないかを確認します。 * 破産に至った経緯の詳細: * 株取引を始めた時期・理由、借入の状況、取引の手法(信用取引の有無など)、損失の具体的な額などを聴取します。 * 依存性や反省の態度:面談を通じて、破産者が株取引による失敗を真摯に反省しているか、経済的な更生の見込みがあるかを確認します。 * 資金の流れの分析: 借金や生活費を株取引に充てていたか、または株取引で得た利益(があれば)をどのように使っていたかを詳細に調べます。 * 反省状況と家計管理: 今後の生活再建のために家計収支表の提出を求め、現在は投資や投機行為を行っていないか、誠実に生活再建に取り組む姿勢があるかを調査します。 3. その他の調査 * 債権者の確定: 債権者名や借金の金額、債権の種類を確定します。 * 協力姿勢の評価: 破産管財人への説明や資料提出に誠実に対応しているか、虚偽の説明をしていないかを判断材料とします。 これらの調査を踏まえ、破産管財人は裁判所に対し、財産を換価・配当した結果と、免責不許可事由があっても**「裁量免責」**を認めるべきかどうかの意見を述べます。株取引が原因であっても、反省の態度や生活再建の意欲を示すことで、裁判所の裁量により免責が認められる可能性はあります。
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質問者からのお礼コメント
回答ありがとうございました。
お礼日時:10/9 20:33