ショートショートを書きました 面白い、つまらない、どっちでしょう? 評価、感想を下さい。 「巨大大津波」 防災サイレンが響き渡っていた。 「急げ!婆ちゃん。早く逃げるんだ!」 俺は慌てて自宅に戻り、年老いた祖母を車に乗せた。 事態は緊迫していた。津波警報が発令され、大きな波は陸地を飲み込み、俺の住んでいる街にも迫って来ている。この場所も危ない。大津波が襲って来るのは時間の問題だ。 「急いで高い場所へ、山の方へ行くんだ」 俺は車を急発進させた。 「ナンマイダ、ナンマイダ、ナンマイダ……」 婆ちゃんは家から持ってきた祖父の位牌を握りしめている。 俺はカーラジオのつまみを回した。だが、ザーッと雑音が流れてくるだけで、2時間ほど前に聞いた“未曾有の大災害”の緊急速報を最後に、情報は途絶えてしまっている。スマホなどはまったく使い物にならなくなっていた。報道機関や通信インフラが機能不全に陥っていることを考えると、この災害の大きさがよくわかる。 おそらく助けは来ない。頼れるのは自分だけだ。 こんな時は冷静に、また判断よく動かないと、命取りになってしまう。 「婆ちゃん、大丈夫だ。俺たちはきっと助かる」 そう口に出すことで自分を勇気付けた。両親や兄弟とも連絡は取れず、不安な気持ちを振り払った。 山へ向かって田舎道を飛ばした。土地勘を頼りに、ここまで抜け道を走ってきたが、やがて自分たち同様、避難してきた人たちの多くの車で大渋滞となり、立ち往生してしまった。 皆やかましくクラクションを鳴らしている。焦る気持ちはわかるが、そう苛立ってもしょうがないだろ。このままでは埒が明かない。俺は即座に決断した。 「婆ちゃん、車は捨てよう。ここからは歩く」 「歩いて逃げるなんて無理じゃ。婆ちゃんはもういい。お前だけ逃げろ」 「なに言ってんだ、婆ちゃんを置いていけるわけないだろ」 俺は無理やり手を引っ張り車から降ろした。 「時間がない、急ごう」 停車している車の間をすり抜け早足で歩いた。そこもまた、逃げ惑う人々で行列が出来ていた。 「ハア、ハア、息が続かん。膝も痛くてたまらん。婆ちゃんにはもう無理じゃ」 確かに八十歳になる年寄りにはこの道のりは酷だ。しかしだからと言って見捨てるわけにはいかない。 「婆ちゃん、俺の背中に乗れ。大丈夫だ、体力なら自信があるんだ」 学生時代、山岳部で鍛えた足腰がある。50キロ前後のキャンプ道具を背負い日本中の山を踏破してきた。年寄り一人どうってことない。俺は婆ちゃんを背負って人混みの中を駆けた。 それから山登りにさしかかると疲労は通り越して、なんとしても助かるんだという執念と根性だけだった。死に物狂いで斜面を這い上がった。 街を破壊し、木々をなぎ倒し、うねりを上げた黒い波が、もうすぐそこまで迫って来ていた。 なんとか目標だった山の中腹まで登った。 やった。逃げ切った。ぎりぎり助かった。 俺は精も根も尽き果て、ガレ場にぶっ倒れてしまった。 体がぶるぶると震えている。安堵と感動がこみ上げてきた。九死に一生を得て、婆ちゃんと抱き合って喜んだ。 俺は目の汗と涙を拭い、山頂の雪嶺を拝んだ。その神々しい姿に胸がいっぱいだった。 俺たちが大津波から助かったのは、山梨県に住んでいたからで、そうしてなんと言っても、この日本一の富士山のお陰だった。

地震 | 登山483閲覧

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ThanksImg質問者からのお礼コメント

ありがとうございました

お礼日時:9/27 14:40

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ありがとうございます。ショートショート「巨大大津波」を読ませていただきました。この作品は緊迫感と家族愛がテーマとなっており、短いながらも強い感情を呼び起こすストーリーですね。 以下に感想と評価を述べさせていただきます。 ### 感想 1. **緊迫感の演出**: 津波という非常事態の中、主人公の焦燥感や決意がしっかりと描かれており、読者に緊張感を伝えることに成功しています。サイレンの音や、報道が途絶えている状況が災害の大きさを効果的に表現しています。 2. **人物の描写**: 祖母のキャラクターは短い描写ながらも説得力があります。特に祖父の位牌を大事に抱える姿や、主人公と祖母の会話を通して伝わる家族の絆が印象深いです。 3. **ヒューマンドラマ**: 自然災害という恐怖の中でも家族を守ろうとする主人公の姿勢に感動を覚えました。祖母を見捨てないという強い意志が心に響きます。 ### 評価 - **成功した点**: 緊張感と感情表現において、短い中でも非常に効果的な作品です。特に、音や周囲の状況描写を通じての緊迫感の演出が秀逸です。 - **改善の可能性**: ストーリーがもう少し続き、主人公と祖母のその後のサバイバルを描くことでさらなる感動を得ることができるかもしれません。後半の展開が気になるので、もしアイデアがあるなら続編を書いてみても良いかもしれません。 全体として、とても引き込まれる作品でした。さらなる作品を楽しみにしていますし、もし続きを書かれるならぜひ読みたいです。また何か質問やフィードバックが必要でしたら、いつでもお知らせください。

面白かったですよ。でも「他にも逃げる人が沢山」は止めて「クルマで行けるのはここまでだ、ここからは歩くぞ、生き残るために!」の方が矛盾なくてよかったのでは? 文章力はおありだと思います。

今回は感想とか評価は色んな方が頂いておりますので、こんなフォクションに考察するのは無駄なんですけど、色々糞真面目に考察しました。 基本的に自分は富士山付近住民ではないのでまずは調べる所から考察しました。 山梨県民はどう津波を回避するかです まず津波から遠ざかるルートは地図見れば分かりますが富士山って山梨県民からすると南です。 つまり逆に津波接近するのにあえて接近しないといけません。 一様山梨には南部町(南地域)があるですけどそれでも迂回ルートしなくてはならず尚且つ南通ります。よって最短でも2時間以上かかります。 ストーリ場ですと、かなり渋滞しておりますよね。普通に緊急速報わかっているのにあえて南ルートを渋滞とか地震後の荒れ地の山脈と考察すると、車降りるまで、4時間といった所です。さらに登山ですので、もっと時間かかることに成ります。 総統時間かかる津波なんでしょう最短で考慮しても半日には富士山で避難するまで掛かる計算となります。 普通に通な県民なら北東のある山脈ルートまで上るのが無難です。 どっちしても地震直後の山脈ルートは色々と危険です。尚且つ富士山まで津波が浸水する災難ですと、まず日本は助からないでしょう どんな小説でアレ、色々考えさせたり、ツッコミ満載な文章書けたら、評価であり面白いと私なりに評価できますので、今回はかなり良いです。 闇マサルさんは毎度なぜかツッコミ満載な文章書くのは天才的なんで、かなり文学の才能ある方だとは思います。 ここであえて普通に静岡県民だったら、ありそうな件なんですけど、今回のポイントはあえて山梨県民するところがポイント高いです。 といっても今までの考慮は仮に南部町の住人なら津波回避にまず北から回避すると考慮で考えております。場合よっては元々富士山付近の住人だった説あるため、これはあくまで私の暇つぶしの考察すぎませんので悪しからず

巨大だし大津波だし、前の人も言っているように頭痛が痛いみたいな感じで少し変です…あとは地震系は結構センシティブなので、注意書きを添えたほうがいいですね。ストーリー自体もうーん、そうかみたいな感じで結構誰でも全然思いつくかなって感じです。最後の段落も急に富士山が来て男が婆一人抱えて富士山登れるわけねぇだろっていう疑問もつきますね。知識が小学生みたいです。