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「宅建の」とありますので、実態上の話は抜きにして法律上の事が知りたいという意味ですよね。宅建で民法や借地借家法に絡む問題が出題される場合は、「法律ではどうなっているか」が出題されるのですからね。 >借地借家法は借主保護が目的なので、一定期間減額しない旨の特約は無効。 >しかし、一定期間経過後に、何%か増額するといったような特約は認められている。 >まず上記の認識は合っていますでしょうか? あっています。 ただし厳密に言うと「一定期間減額しない旨の特約」そのものは無条件で無効になるわけではなく、「土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき」に無効になるということです。(法第11条第1項) つまり「減額理由がなくても、元々無効な契約なのだから減額に応じろ」というめちゃくちゃな理屈はなりたたないということです。 >それと、この地代を一定期間減額しない旨の特約って、普通借地権だけで有効なんでしょうか? >定期借地権では適用されないんでしょうか? 「普通借地権だけで無効なんでしょうか?」の誤記でしょうか。 でしたら定期借地権(及び事業用定期借地権)の規定は「契約の更新」と「建物の築造による存続期間の延長」と「買取りの請求」に関する規定なので、その他は普通借地権と同様です。 >また民法の賃貸借では、不動産に限らず民法範囲を全て含んでいるので、減額しない旨の特約も有効だと考えて良いんでしょうか? 民法の規定と借地借家法の規定に違いがある場合は借地借家法の規定に従うので、民法の規定にかかわらず無効ですが、「もし借地借家法がなかったら」という意味でしたら、確かに契約に基づくことが原則の民法では例外規定がない本件は有効です。 >また借賃についても、借地借家法上の建物賃貸借では減額しない旨の特約は無効で、定期建物賃貸借の場合だと減額しない旨の特約は有効なんでしょうか? その認識は正しいです。 「契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。」(法第32条第1項)「契約の条件にかかわらず」なので、「特約は無効」を意味します。 ただし「第32条の規定は、第1項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない。」(法第38条第9項)(第1項の規定とは「定期建物賃貸借」の規定です)なので、「定期建物賃貸借」の場合は有効です。 >また最後に、借家借家法上の建物賃貸借が適用されずに民法上の建物賃貸借になる場合って、あるんでしょうか? 1.一時使用目的が明らかなの建物賃貸借(借地借家法第40条) 2.借地借家法制定以前の契約で、経過措置により適用されない場合 3.建物附属施設だけを対象とする賃貸借(駐車場のみや建物に当たらないコンテナなど) といった例があります。 2についてはかなりのレアケースなので、宅建の勉強が目的なら無視できる範囲だと思います。
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概ね正しいご認識とは思いますが一部異なりそうなところもありそうです。 借地借家法の趣旨と借主保護 借地借家法(以下、借地借家法)は「借主保護」が中心目的です。 そのため、借地借家法が適用される建物・土地賃貸借契約では、地代や借賃の減額請求権を排除する(=減額しない旨の特約)は、原則無効とされています。 根拠条文と判例 借地借家法第11条(借地)・第32条(借家)では、賃料が不相当となった場合は、契約条項にかかわらず増減請求が認められています。 「減額しない」旨の特約は、借主の減額請求権を実質的に否定するため、効力を有しません。 定期借地権・定期建物賃貸借の取扱 普通借地権 「減額しない旨の特約」は原則無効です(借地借家法第11条) 定期借地権・定期建物賃貸借 定期借地権(借地借家法第22条)は、借主保護よりも契約自由の原則が優先されるため、契約で賃料の増減請求権の制限が認められる場合があります。 定期建物賃貸借(借地借家法第38条)は、契約自由が強調されるため、賃料の増減条項や「減額しない旨の特約」が有効になる場合があります。 ただし、契約内容や期間、裁判所の判断によるので、内容作成には慎重を要します。 民法上の賃貸借と借地借家法非適用ケース 民法 民法上の賃貸借契約全般には、借地借家法の借主保護規定は及びません。 土地・建物以外(車両や設備等)の賃貸借契約の場合、民法第611条の「賃料の増減」請求は契約自由が原則となるため、「一定期間減額しない旨の特約」も有効と考えられます。 建物賃貸借で民法のみ適用される場合 借地借家法の適用対象「建物」以外や、貸倉庫や仮設建物など、法律上、借地借家法の保護趣旨が及ばないケースがあります。 ただし、通常の居住用・事業用建物賃貸借は借地借家法が強行法規として優先適用されますので、「民法のみ適用」になることは稀です。 増額特約について 「一定期間経過後○%増額する」などの増額特約は有効です。 理由は、増額請求権の放棄ではなく、事前に賃料水準について合意する内容だからです。 情報収集 「賃料増額ドットコム」というサイトはご存じでしょうか? このサイトは、各種拒否書面の文例テンプレートはもちろん、賃料増額を拒否し続けた事例や、その後の交渉・裁判までの 詳細なプロセスが解説されています。借主視点での網羅的・実践的な情報が得られるため、一度ご覧になると良いかと思います。