企業は国家を超えた仕組みとなる。あたしもマジで、そー思う。

この本、おもしろかった。

アップルやグーグルのみならず、マクドナルドからエクソン、モンサントまで、国境を超えて世界を「俺様の世界」に変えていく巨大グローバル企業の実態について書かれた本です。

→ キンドル版は 610円


働く人への示唆という意味では、ちきりんが以前に書いたこちらのエントリ → 「新)4つの労働者階級」とまったく同じことが書いてあります。

というか、ちきりんは「今から世の中はこうなりますよ」と書いてるのだけど、この本の中では「いや、もうそうなってますよ。これ見てください」と、実例が掲載されています。

取り上げられている業界(会社)は、アップルやグーグルなどの情報関連、マクドナルドに食肉業者や穀物メジャーなど食料分野と石油メジャー。


これって、いわゆる「現在のインフラ分野」なんだよね。
1.食料
2.エネルギー
3.情報


そういう大事な分野で、アメリカ資本の巨大グローバル企業が世界中を着々と「俺様ルールの世界」に変えていく、そのすさまじさが描かれていて、大変おもしろく読みました。実態が余りにすごすぎて、読んでてウゲウゲしちゃう部分も多かったです。

なお本書内にも書いてありますが、日本人から見れば彼らは「アメリカの会社」ですが、彼ら自身は全くそう思ってない。だから、国境を越えられるんです。これはちきりんが前に勤めてた会社も全く同じでした。反対にいえば、日本の企業は「日本の企業であり続けよう」とするから、国境を越えられない(グローバルになれない)んだとわかります。


学生さんや、日本企業だけで働いてきた人など、こんな世界は想像もできないという人は是非読んでみればいいと思います。

特に学生さんなんて、就活に当たってつまらないノウハウ本を読むより、こういう「世界はどう回っているのか」が書いてある本を読んだほうが絶対いい。親とか先生とか、世界がどうなりつつあるのか全然知らない人だけからアドバイスを貰ってたら、判断が30年遅れになっちゃうよ。


★★★


この本には、大きくふたつのことが書いてあって、
1.世の中、こうなってまっせ!
2.だからこれから働く人は、こうすべき!
に、分かれています。


1に関しては、資料も豊富で臨場感に溢れてて、とても興味深く読めました。特に、「企業は国家を超えようとしている」という点については、ちきりんもまさにその通りだと思います。

2については、やや煽りすぎなところもあるとは思いますが、「これから大事になるのは創造性です。アートと言ってもいい」という、まとめがなされていて、これは、最近ちきりんの書いたエントリとも通じるところがあり、「Logic, Market, and Art」、へーって思いました。(←なんなんだ、この小学生みたいな感想は・・)


とはいえ、他にもごく実務的な「グローバル企業で働くには、こういうスキルが必要なんですよ」という説明もまとめて書いてあって、さっきも言ったように、アメリカの企業ってどんなもんだか知らない人は、ほんと一回は読んでおくべき。

自分が日本社会でしか働いてきてなくて、それで子供に就職や進学のアドバイスするとかって、今やちょっと危なすぎると思うんでね。


★★★


最後に(内容とは関係ないんですが)、この本を紹介しようと思って、あらためて本を手に取って気づいたことがひとつ。

本の表紙に著者名と肩書きが載ってるんだけど、その肩書きが
「元・米アップル社シニアマネージャー」
となってるんです。

これって肩書きなんですかね?


経歴が「元○○」ってのはわかるけど、肩書きが「元○○」なんだろうか。じゃあ、今は何なんだ?というと、そっちは“経歴”の欄に書いてあります。

著者は長く日米のアップル社で働いていた人なので、本を売りたい側(出版社)としては、当然、今の職業より元の職業を打ち出したいというのはよくわかります。

だから表紙の名前の下には「元○○」だけが書かれてる。



ご本人が同意されてこうなっているんでしょうから、私には何の文句もないし、本を売るという目的ではいい方法だと思います。ただ他にも、もっと巧い方法はありそうに思いました。

“元職”で本を売りたい人はたくさんいて(というか、会社員は一般的に、退職して元職にならないと書けないことが多いからね)、そういう人の本の表紙をあれこれ見ると、いろんな工夫があって参考になります。


いずれにせよ、読んでソンのないお勧め本です。


内容的にも文量的にも電子書籍で読むのが向いてるかも。(iPhone, iPad, その他スマホ、kindleをお持ちの方は電子版をどうぞ)

企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン?新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)

企業が「帝国化」する アップル、マクドナルド、エクソン?新しい統治者たちの素顔 (アスキー新書)

→ キンドル版はこちら

そんじゃーね


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