『自分のアタマで考えよう』内容紹介(叱られたからやり直し!)

新刊 『自分のアタマで考えよう』 に関する最初のエントリがおちゃらけすぎていて、担当の編集者の方に怒られました。Yさん曰く、「ちきりんさんのブランドが傷つくでしょ! ふざけすぎですっ!」。。。なので書き直します。

というか、前のエントリでは「いったい何の本?」か全然わからなかったですよね。すみません・・。にもかかわらず予約してくださった皆様には、“ちきりん一級”認定をさせていただきます!


自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう



さて、新刊の目次は下記

『自分のアタマで考えよう』
  知識にだまされない思考の技術


<目次>
はじめに
序 章 「知っていること」と「考えること」はまったく別モノ
第一章 最初に考えるべき「決めるプロセス」
第二章 「なぜ?」と「だからなんなの?」と問うこと
第三章 あらゆる可能性を検討しよう
第四章 縦と横に比べてみよう
第五章 判断基準はシンプルが一番
第六章 レベルを揃えて考えよう
第七章 情報ではなく「フィルター」が大事
第八章 データはトコトン追い詰めよう
第九章 グラフの使い方が「思考の生産性」を左右する
終 章  知識は「思考の棚」に整理しよう
おわりに


目次からわかるように、この本は、ちきりんが情報やデータなど何かの「知識」を得た時に、それをどう「思考」につなげているか、という“ちきりん流”「知識から思考への転換プロセス」について説明した本です。

「Chikirinの日記」はいろんな社会派トピックについての考察を載せているブログですが、この本は“その裏側にある思考プロセスの解説本”で、新聞やネットでみた情報を、ちきりんがどういうふうに受け止めて、どう料理しているか、ということを説明しています。

もしくは、「考える」って“どういうふうにアタマを動かすことなの?”について書いた本かな。「考える」って難しい概念だと思うんですよね。「考えるのが大好きです!」と言う人に「じゃあ、ここ最近で一番よく考えたことは何?」て聞いたら、“あーうー状態”になってしまったり・・・


ちきりんも社会人になってすぐの頃、「もうちょっとよく考えろよ!」と、よく怒られました。あの頃は、「情報を集めて分析すること」と「考えること」の違いもわかってなかったし、「考える」ための具体的なノウハウを全くもっていませんでした。

なんの方法論もなく「考えろ!」って言われるから、遅くまで会社に残ってパソコンの前でうんうん“考えている雰囲気”を醸し出そうと努力はしてたけど、そんなんじゃ結局“思考”は2時間で1ミリくらいしか進みません。

だからその後、留学したり外資系企業でボロクソに言われながら苦労して、「あー、考えるって、ちゃんと方法があるんじゃん!」とわかった時には、それこそ眼からウロコが落ちました。

そして「なんでこういう“考える方法論”をもっと早く、ちゃんと教えてもらえないわけ?」と逆ギレしたりもしました。

学生の間とか、少なくとも働き始めて早めのうちに、超具体的に「こうやって考えるんですよー。イチニッサン!」みたいな教育が必要だよねーと今は思います。


今回「考えること」について本にしようと思った理由のひとつは、「Chikirinの日記」がこれだけ多くの人に読まれるってことは、「実は、読者の方もみんな、考えることが好きだよね!?」と思えたからです。

「Chikirinの日記」って、何も答えは書いてないんですよね。情報に基づいて「ちきりんはこう考えた!」って書いてあるだけです。しかもたいていの場合、その“考え”はぶっとんでいて、「まじかよ!?ありえねーだろ!?」みたいなことが多いんだけど、だからこそ読んだ人は「じゃあ、自分の考えは?」という問いに直面せざるをえない仕組みになってます。

他人(=ちきりん)の超・極端な考えをぶつけられることで、自分の考えを問われるし、考えることへの刺激が得られる。それを心地よく感じる人が読者になってくれているのでしょう。だったら「考えるってこういうことだよね!」についてまとめた本も、きっと楽しんで頂けると思います。


また、昨今は「問題解決力ブーム」で、その方法論に関する本もたくさんでています。中にはすごくよくできた本もあるんですが、問題解決の手法を学ぶ前提として、「考えるとはどういうコトか、理解できている」ことは必須です。

ところが学生の頃の自分、働き初めてすぐの頃の自分を思い出すと、それさえわかってなかったような気もするのです。そして、「まずはそこから理解するための本を書くのも、意味があるかも」と思うようになりました。


ずいぶん前ですが、大前研一さんの『敗戦記』という本の中に、彼が日立で働いていた頃のエピソードとして、勤務時間中に机を離れて会社の敷地内の庭を歩きながら考えていたら、「さぼるな!」と怒られ、「さぼってないよ。オレは考えてるんだ!」と反論したというエピソードが載っていました。

スゴクおもしろいな、と思いました。日立とか東芝って博士号を持ってる人も多い会社です。大前氏の部署も研究部門でした。にも関わらず、「考える」って何なのか、組織としては理解されてないんだなーというのが印象に残りました。


この例に限らず「考える」という概念は誤解されていることが多く、表計算ソフトをいじってれば「考えてる」と思ってる人もいるし、本を読んですごく勉強になったから「今日はよく考えたー」と感じる人もいると思います。

でも、ちきりん的にはそれって「考える」とは違う作業なんです。分析も読書(&知識の吸収)も意義はあるけど、でもそれは「思考」とは違う。


そして、「思考って何さ?どうアタマを動かすことさ?」ということを、もっと直接的に扱った本にしてみたいと思いました。

結果、そういう意味では、自分なりに満足のいく本に仕上がったと思ってます。全国の学生の方や、働き始めたばかりの方など「自分のアタマで考えろ!」と言われがちな(あの頃のちきりんみたいな)方にはきっとお役にたてるんじゃないかと思います。お楽しみに!!


そんじゃーねー!


★追記★ 本の内容はこちらの発売日記念エントリでも説明しています。→ 「思考と分析の違いとは?」