2015-01-01から1年間の記事一覧

『おすすめの手土産』

今週のお題「おすすめの手土産」 『ねぇ、だからさ、何がいいと思う、手土産』 スマートフォンごしに愚痴をひとくさり連ねたあとで、麻衣子は思い出したようにそういった。 『きいてる?、千紗きいてる?』 「きいてる」 千紗はパソコンでイラストを描いてい…

『ここまでは寒くここからはあつい』

からだの半分が寒く、からだの半分があつく。変な具合になって目が覚める。一人の同じからだなのに、上と下でこうもちがう。つやっぽい話ではない。寝られないのでクーラーをつける。冷たい風がふれると、からだがこわばって、タオルケットをずりあげる。だ…

『シロというネコ』

全身真っ白なので「シロ」という名前のネコは、まれに見る凶暴凶悪な猫だった。一緒に住んでいる家族にはなついているようだが、その家に頻繁に出入りする、近所や親戚など、ありとあらゆる人間を、眼光鋭くにらみつけ、もし心地よくなでてもらったとしても…

匿名でも、君はそこにいてほしい。

暑い朝、ツイッターのタイムラインに二つの訃報が流れてきた。両方とも、フォローはしておらず、たまにリツイートでみかけるアカウントだった。ひとつは、本人の近親者という人がアカウントの持ち主の死を告げていた。もうひとつは、肉親ではない近しい人が…

又吉のインタビューを読んで背筋が

今週のお題「ゾクッとする話」『火花』を読んで、自然と作者の記事やインタビューが目に入るようになってしまった。気軽に斜め読みして、ゾクッと背中が寒くなる。又吉が幽霊みたいで怖いから、ではない。自分は彼より五つぐらい年上だが、何も、なあんにも…

『火花』はいつ散るのか

芥川賞と直木賞が発表されて、『火花』と『流』を買って来た。もうひとつの芥川賞受賞作品は、本が出たら買う。冒頭を読んで、どちらがおもしろいかといえば、『流』であるが、『火花』のほうが短いので先に読んでいる。 三分の一は読み終えた。主人公たちは…

「好きな服」はアニエスベーだった。

今週のお題「好きな服」 一時期、アニエスベーにはまっていた。二十代の前半、ほとんどはじめて、自分で稼いだお金で自分の服を買うようになって、買うようになっていた。価格は安くない。だがものすごいデザインでなければ、一度買えば長く着られる。かなり…

書き終えること、書き続けることの困難さ

第一ハードルがまったくクリアできない。一枚も絵を描ききっていない絵描きみたいなものだ。一つの「完」もない。 最後に書き上げたのはいつだろうか、もう思い出せないくらい前。小説家になりたいとか、そんな寝言をいう以前のところに、ずっと居る。 遠く…

『ボタンの店』

店中びっしりボタンが並んでいる。小さな狭い店のなかで、祖母はお店のおばさんと、しばし世間話をする。 店の壁は引き出しで埋められて、天井までの隙間には、ボタンの箱が並んでいる。様々な色、形、きらきら。ただし全部ボタン、いま思えば、カラフルポッ…

書いていると眠くなる癖

私は書くことが好きだ。好きには違いない。書いているとすごく楽しいときがある。絵を描く人は、たいてい絵が好きで、絵を描いているときは楽しいだろう。それと同じだ。 でもうまく描けないとき、思うように描けないときは、いらいらして嫌な気持ちになる。…

包丁を研ぐ

包丁を研ぐのは、実は意外と時間がかかる。砥石に水を含ませなければならないからだ。砥石を見ずにいれると、「プクプクプクプク…」と小さな音をたてて気泡がたくさんでてくる。それが出てこなくなるまで待つ。 頻繁に研いでいれば、そんなに時間はかからな…

ル・クルーゼのグラタン皿

ル・クルーゼの鍋は高い。憧れているけど買えない。 でもセールをやっていた。季節商品は安くなるようである。(次の同じ時期になったら、しばらくおなじ物がでてくるらしい。)最初に目に入ったのは、ル・クルーゼぽいらしい仕様の黄色っぽい鍋だったが、そ…