「逸脱」
「逸脱」(堂場瞬一)を読み始めたら一度読んだような気がして、最後の方を読んで確かめたのだが、それでもはっきりしない。それほど変わり映えがしないストーリー展開だった。ただ、主人公の刑事を陰ながらサポートするプロファイリング専門の「情報統計官」が良い味を出している。
<10年前の未解決事件を模倣した連続殺人。立て続けに3人の惨殺体が見つかった。県警捜査一課・澤村は、コンビを組む初美とプロファイリング担当の橋詰と犯人を追うが、上司と激しく衝突し孤立を深める。澤村は過去に自分が犯した失態により心に大きな傷を抱えていた。トラウマを払拭すべく澤村が捜査に邁進する中、さらに4人目の犠牲が出てしまう。被害者の共通点を洗うと、浮かび上がってきたのは意外な人物だった―。>
「二度目のノーサイド」(堂場瞬一)は、廃部が決まった最後の対抗戦。不完全燃焼に終わったその試合を同じメンバーでもう一度やろうとする男の物語。その試合に至るまでの山あり谷ありのドラマ展開は予想通りだが、ラグビーに賭ける元チームメンバーそれぞれの情熱が熱い。「誇り高き男たちの姿が熱いスポーツスピリッツ小説」という帯の惹句に偽りはない。堂場さんらしい再生の物語だ。
<元実業団ラガーマンの桐生は仕事にも家庭にも中途半端な生活を送っている中年会社員。同点の末、くじ引きで負けた最終試合が忘れられない。そんな時、元マネージャーだった同僚の死を知る。「俺はこのままでいいのか」 スポーツキャスターになった者、田舎で教師になった者、問題のある金融会社に入り、警察に追われている者……。予算削減による廃部以来、離散していたチームメイトたちと、もう1度あの日の試合に決着をつけるために、連絡を取り始めた桐生。果たして再試合を迎えることはできるのか。>
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