「今、何してる?」
こんな言葉がある。
「努力する者は希望を語り、怠ける者は不満を語る」(井上 靖)
私も「怠け者」の部類に間違いなく入る人間だが、言い訳だけはうまくなってきたような気がする。
「人は人より劣っている理由に、まず不運せあることを理由にする。(プルタルコス)
そして、その言い訳を咎められると、
「人間だけが赤面できる動物である。あるいはそうすることが必要な動物である」(マーク・トウェーン)
という言葉を思い出し、そっと気づかれないように居直ることを忘れない。そんな私にキツい蹴りを入れられたような気分にさせるのが、これ。
「他人を騙して気づかないでいることは難しいが、自分を騙して気づかないでいることは簡単だ」 (ラ・ロシュフコー)
決して「簡単」ではないのだ、「自分を騙して気づかないでいること」は。
角田光代「今、何してる?」
前半は恋愛についてのあれこれで、「ふ~ん、なるほどねぇ」と思いながら読んでいたのだが、後半の「旅と本」の章にこんなことが書いてあった。
<だいたい、いつもひとりで出かけるので、時間を持て余すことが多い。バスや電車を待つ、目的地にたどり着くのを待つ、食事が運ばれてくるのを待つ、眠くなるのを待つ。旅の大半は待つことによって構成されていると、最近私は思うのだが、この待ち時間を救うものナンバー1が文庫本である。ナンバー2は日記でナンバー3は想像力。>
最近の私は「ひとり旅」の経験がないので、待ち時間をどうしているかというと、ナンバー1は周りにいる人の人物ウォッチング、ナンバー2、ナンバー3がなくて、ナンバー4ぐらいに位置するのが旅行ガイドブックといったところだ。以前は必ず文庫本を携帯していたのだが、ほとんどと言って良いほど読まないので最近は持っていかない。人物ウォッチングは「好奇心」だけでなく「想像力」を惹起してくれる。