今日の産経ニュース(2024年12/21、22日分)

トランプ氏、日米戦争は「自分とシンゾーだったら起こらなかった」安倍昭恵さんに明かす - 産経ニュース
 昭恵がそのような話をしたそうです。トランプ的には「安倍との友好」アピールでしょうが「バイデンでなく俺が大統領ならプーチンとの友好関係でウクライナ戦争は起きなかった」と放言してるトランプにこう言われても苦笑しか出てきません。喜んでるらしい昭恵や産経にげんなりします。
 そもそも戦争とは「個人の友好関係」でどうにかなる話ではないでしょう。
 戦前日本だって「青い目の人形 - Wikipedia」の逸話などでわかるように、それなりの友好関係はありました。
 それでも戦争になったのは
1)米国政府が対日石油禁輸など強硬手段まで執って「蒋介石政権打倒」断念を求めたのに、「中国完全植民地化」を狙う当時の日本政府が従わなかった
2)「首都ワシントン占領」と言う形での日米戦争勝利はあり得ないが「長期戦」に持ち込めば、(ベトナム戦争で米軍が、アフガン戦争でソ連軍が撤退したような形で)「戦争疲れ」で米国内で厭戦論が台頭し、米国が折れると言う形での勝利ならあり得ると、当時の日本政府が戦況を甘く見たから
です。
 安倍が当時、首相だったとして、
A)安倍自身が1)、2)について当時の日本政府と同じ判断をするなら、
あるいは
B)「違う判断」をしても「昭和天皇(当時は天皇主権で、首相を任命するのも天皇)」「軍部(統帥権独立によって首相は軍をコントロールできない)」を「米国との戦争回避」の方向で納得させられなければ、「安倍の内閣総辞職(昭和天皇や軍部と判断が違うのでは政権維持は不可能*1)」によって戦争は起こったでしょう。大体このトランプ発言「当時の日米政府の指導層がどちらも無能だった*2」と事実上言ってるに等しいんですが、それは「戦前日本を免罪する」産経的にはいいのか?


<主張>「同性婚」判決 男女間の前提崩し不当だ 社説 - 産経ニュース

 婚姻の自由を定めた憲法24条1項で、婚姻は「両性の合意のみに基づいて成立」すると規定している。
 「両性」が男女を指すのは明らかだ*3。
 同性婚を認めよと言うなら、憲法改正を唱えるのが筋だろう。

 集団的自衛権(学会通説は違憲だし、安倍内閣による閣議決定変更以前は政府見解でも違憲)では「解釈改憲(安倍内閣の閣議決定変更)」を認めるのに「24条の両性は異性限定、憲法は同性婚禁止、否定の立場」という独自解釈(日大の百地、駒沢大の西など、産経とズブズブのウヨ学者を除き、恐らく支持者はいない)を元に「同性婚合法化は、高裁の『同性婚を認めない現状は違憲』という理解とは違い、むしろ24条違反で違憲」を主張し、突如護憲派になる産経です。
 外国人地方参政権でも最高裁が「許容説(憲法上、外国人地方参政権は否定されておらず、改憲せずとも立法可能)」を採用したのを無視し「禁止説」の立場から「外国人地方参政権は改憲が必要」と言ってきた産経なので予想の範囲内ですが、ご都合主義が酷い。


成人式や結婚式の根底には民族の拠りどころがある 伝統的な儀式は心を安定させる作法だ 〈産経Books〉『冠婚葬祭文化論』佐久間庸和著 - 産経ニュース
 タイトルだけでも「げんなり」ですね。
 結婚式が一番わかりやすいと思いますが、勿論「神社での神前式」もあるものの、「キリスト教会での結婚式」やナシ婚 - Wikipedia(役所に結婚届を出すだけ)やフォト婚(結婚式はしないが花婿、花嫁衣装は着て写真だけは残したい)はこういう人間においてどう理解されてるのか。
 なお、ナシ婚、フォト婚ですが勿論「合理主義」「コロナの影響」もあるでしょうがやはり「貧困層の増大」が大きいのでしょうね。

参考

フォト婚人気 県内でも コロナ禍で定着 記念撮影だけの「結婚式」:北陸中日新聞Web2024.8.30
 結婚式や披露宴は挙げず、写真撮影だけのカップルが増えている。「フォトウエディング(フォト婚)」とも呼ばれ、民間の調査では新婚夫婦の1割余りが行っているとのデータもある。これからの生活に備えて、お金はなるべく節約したいものの、思い出や記念に残ることだけはしておきたいとの夫婦の希望が背景にある。
 着物などの貸衣装を手がける和楽グループ(富山市)の執行役員で、県ウエディング協会の副会長を務める西垣徹さん(54)によると、フォト婚はコロナ禍前までは一般化していなかったが、挙式や披露宴が難しくなったコロナ禍で一気に広まり、定着したという。
 結婚情報誌「ゼクシィ」が昨年行った調査では、挙式や披露宴・ウエディングパーティーの総額費用は平均327万円。一方、クチコミ情報サイト「フォトレイト」が2021~22年に行った調査では、フォトウエディング(前撮り含む)の費用は平均21万円で、(ボーガス注:結婚式の1/10以下という)リーズナブルさが特長だ。


<産経抄>若い女性に響いていない選択的夫婦別姓 - 産経ニュース
 産経らしいアホタイトルです。
 第一にならば「若い女性のほとんどが熱烈支持」なら産経は夫婦別姓に賛成するのかと言ったら違うわけです(そもそも夫婦別姓は勿論、「若い女性に限った問題」でなく「全ての世代の男性と女性(というか夫婦)が関係する問題」なので産経の物言いは「はあ?」ですが)。
 第二に、こうした問題は「夫婦別姓を望む人間がいて、そうすることに社会的問題がないなら認めるべき」であって「支持者が多いかどうか」はある意味「どうでもいい」。
 今や「自分は別姓にしたいとは思わない」「別姓支持かどうかは政治家、政党の選択基準として自分にとってそれほど重要ではない」と言う人間(典型的には自民支持層)ですら「選択的なんだから、別姓にしたい人間だけが別姓になる。それで誰も迷惑しないでしょう。認めていいのでは」が多数派です。
 第三に産経は

 小紙とFNN(フジニュースネットワーク)との合同世論調査で、18~19歳と20代の女性で立憲民主党と日本維新の会、共産党の支持率がそれぞれ0・0%だった件である。なぜ3党は若い女性に不人気なのか。

を勝手に「夫婦別姓」云々にこじつけますが、何の根拠があるのか。何の根拠もないわけです。
 「夫婦別姓反対が若い女性で多かった」という根拠は何一つ提出されない。
 そもそも、今や夫婦別姓に公然と反対してるのは「ミニ極右政党の参政、保守」を除けば、国政政党としては「自民党だけ」でしょう(維新、国民民主、れいわは賛成を表明していたと思います)。

公明 斉藤代表 “選択的夫婦別姓の実現へ自民党に働きかけ” | NHK | ジェンダー2024.11.15
 公明党の斉藤*4代表は、選択的夫婦別姓制度の実現に向けて自民党に働きかけを行う考えを示しました。

夫婦別姓実現へ「首相説得」 公明代表:時事ドットコム2024.12.18
 公明党の斉藤鉄夫代表は18日のラジオ番組で、選択的夫婦別姓制度を導入するための法整備を、石破茂首相に働き掛ける考えを示した。

「夫婦別姓」自民・公明による協議求めた斉藤代表…明確な回答避けた石破首相「引き取らせてほしい」 : 読売新聞2024.12.18
 公明党の斉藤代表は18日、石破首相(自民党総裁)と首相官邸で会談し、選択的夫婦別姓制度の導入を巡り、自民、公明両党の実務者による協議の場を設けるよう求めた。
 同制度の導入を巡り、公明は推進の立場だが、自民内には保守派を中心に反対論が根強い。
 首相は「引き取らせてほしい。党内で協議する」などと述べたという。

などが報じるように、連立相手の公明すら「夫婦別姓支持」を自民党に要求しています。そして自民党は、過半数割れしたが為に、公明党を「そんな要求がのめるか」と蹴飛ばすことに躊躇し「今後検討したい」と応えるにとどめています。
 第四にこの産経の理屈なら「改憲政党の自民、維新が議席を減らした一方で、(護憲派の共産が議席を減らしたとは言え)支持層に護憲派を多く含む立民が議席を増やし、改憲派は衆院での2/3確保に失敗した。国民は改憲を望んでない」とも言えますが、そうした主張は平然と無視するのが「改憲右翼」産経だから全くデタラメです。
 なお、そうした世論調査結果は、共産支持者として残念ですが、俺個人は無理に「若い女性の支持を得よう」と迎合する必要はないと思っています。
 そんなことよりも「あるべき若年女性政策は何か」という政策論をきっちり構築することでしょう。
 それで「若年女性」が支持しないなら「それまでの話」と割り切ってもいいのではないか。そもそも支持を得るべき世代は「若年女性」に限らないわけです。「若年」だけでなく「中高年」の支持だって当然必要です。

*1:実際、天皇の信任を失ったことで政権崩壊したのが有名な「田中義一の首相辞任(当初、張作霖の爆殺犯を処分すると報告していたのに、軍部の処分反対論に抵抗できず、撤回したことから昭和天皇が激怒)」です。なお、ポスト田中の浜口首相が実行犯を処罰しなくても、天皇は問題視はしなかったのであくまでも「報告を簡単に撤回したこと」に「そんな軽い気持ちで報告しているのか?」と憤激したにすぎなかったわけです。

*2:トランプの立場上、「米国政府が日本を追い詰めたのが悪い」なんて言えない(そんな戦前日本に甘い米国民などほとんどいない)からある意味当然ですが

*3:勿論「明らかではない」し、仮に「異性(男女)を指す(同性は含まない)」としても「同性婚については憲法は定めてない(改憲しなくても同性婚法制化は可能)」が通説でしょう。24条を「同性婚禁止」と理解するのは一般的見解とはいえません。

*4:福田、麻生内閣環境相、公明党政調会長、幹事長、岸田、石破内閣国交相等を経て公明党代表