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フォト婚人気 県内でも コロナ禍で定着 記念撮影だけの「結婚式」

2024年8月30日 05時05分 (8月30日 10時06分更新)

頼成の森や海王丸パーク… 思い出の場所でパシャリ

 結婚式や披露宴は挙げず、写真撮影だけのカップルが増えている。「フォトウエディング(フォト婚)」とも呼ばれ、民間の調査では新婚夫婦の1割余りが行っているとのデータもある。これからの生活に備えて、お金はなるべく節約したいものの、思い出や記念に残ることだけはしておきたいとの夫婦の希望が背景にある。 (平井剛)
 着物などの貸衣装を手がける和楽(富山市)は新型コロナ禍以降、フォト婚事業を強化した。豊富な衣装を専用サイトでPRし、来店したカップルから出会った場所やデートを重ねた場所などを聞いて、2人の希望に沿ったシーンでの撮影を提案している。
 挙式を前提にした前撮りはスタジオなど室内での撮影が一般的だが、フォト婚はカップルが好きな場所を選べるのが特徴だ。

2人を結んだ馬と一緒に記念写真を撮る米倉彩乃さん(左)と小林宏城さん=5月、砺波市頼成で

 千葉市若葉区の小林宏城さん(29)、米倉彩乃さん(26)カップルは5月に頼成の森(砺波市)で撮影。2人は県内の乗馬場で愛を育んだこともあって、馬と一緒の記念写真を希望し、和楽が会場の手配をした。
 米倉さんは「馬は2人をつないだきっかけでもあったので、私たちらしい写真が撮れた」と大満足。結婚式などをしていないため、思い出として写真は残したかったといい、「写真を見返しては、新婚当時の気持ちを思い出したりして、これから2人で平和に過ごすことができそう」と語る。

学生時代にデートを重ねた海王丸パークで記念写真を撮る井上剛志さん(左)と歩実さん=5月、射水市海王町で

 愛知県一宮市の井上剛志さん(25)、歩実さん(26)カップルも5月、富山大芸術文化学部の在学時にデートを重ねた海王丸パーク(射水市)で撮影した。万葉線の車両を貸し切っての撮影もあり、井上さんは「たくさんの方々に協力していただき、とてもすてきな時間になった」と振り返る。「挙式などにお金をかけなくても、思い出をつくる手段はいろいろある。(フォト婚は)これからの夫婦生活の良い始まりになった」と語る。

 和楽グループの執行役員で、県ウエディング協会の副会長を務める西垣徹さん(54)によると、フォト婚はコロナ禍前までは一般化していなかったが、挙式や披露宴が難しくなったコロナ禍で一気に広まり、定着したという。インスタグラムなど交流サイト(SNS)で「映える写真」を意識した若者が増えたことも影響している。
 西垣さんは「従来のスタジオから飛び出し、天候の良い時期や季節、好きな場所や背景を自分たちで選べるなど、撮影の自由度が高まってきたことも普及を後押ししている。カップルの強い思いが写真に表れているのではないか」と語る。

カップルの1割超 フォト婚のみ

 結婚情報誌「ゼクシィ」が昨年行った調査では、挙式や披露宴・ウエディングパーティーの総額費用は平均327万円。一方、クチコミ情報サイト「フォトレイト」が2021~22年に行った調査では、フォトウエディング(前撮り含む)の費用は平均21万円で、リーズナブルさが特長だ。
 結婚準備情報サイト「マイナビウエディング」が23年に行った調査では、挙式・披露宴の両方を実施したカップルは35・4%。フォトウエディングのみ実施と答えたカップルは12・7%で、挙式のみ実施や、披露宴・ウエディングパーティーのみ実施のカップルを既に上回っている。
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