連載作品の続きを追っていたのが多いのですが、2024になってから読んだものを中心に選んでみます。
大横山飴『花の在りか』
これは凄い。マンガという表現にまだ伸びしろがあったのか!という感じ。特別なドラマは何も起こらないが、丁寧に選ばれた言葉による会話と、「間」で様々な感情を見せてしまう。ものすごく映画っぽいんだが、マンガでそれができるというのが驚きだった。
福浪優子『あかねさす柘榴の都』
異国もの、舞台はスペインのグラナダ。食べ物、建物、気候など、その土地の空気感の描き方が素晴らしい。全3巻ですっきり終わってるのもいい。
伊図透『オール・ザ・マーブルズ!』
野球というスポーツをこの上なく感傷的にリリカルに語る女子野球マンガ。唸りをあげて躍動する絵とロマンチックなネームが組み合わさって、「せずにはいられない」野球の魔力が描かれている。
日高ショーコ『日に流れて橋に行く』
明治の老舗呉服屋立て直しミッション、とにかくキャラがいい。典型的でありながらエグみを取り除いたピュアな造形で、好きにならずにいられない。メインキャラがみんなそれぞれ仕事ができて、それぞれのスキルを活かしながら店のピンチを乗り切っていくというストーリー、『ONE PIECE』とかそういうチーム冒険ものと同じバイブスを感じた。
これまたけったいなサザエさんである。冴えないおっさん小説家の父が、怠惰なギャルの母をうまいことあしらいながら家庭を回す。へんてこだけど強固な家族愛を感じて和む。毎回凝りに凝ったアバンタイトルの入れ方とか、絵的にも満足感が高い。
赤井千歳『100年の経』
テーマは小説創作におけるAI vs. 人間、明らかにしゃらくさい文系ロマンチシズムが溢れてとても好き。創作の苦悩がAIによって取り除かれる世界で、創作者は苦悩する必要があるのか?どう考えても答えを出すのはすごく難しいテーマだけど、これをどう転がしていくのか今後が楽しみ。
二駅ずい『撮るに足らない』
大学生の性欲コメディ、当然すっごくエロい。純愛性欲というか、相手のことを好きな気持ちとエロい気持ちがぴったり重なっているのがすごくいい(意外とそういう設定の作品は少ないと思う)。今後もこのまままっすぐエロく進展していって欲しい。
ついに完結してしまった。思えば遠くへ来たもんだ、という感じの最終巻、特装版付属のイカれた装丁の謎詩集はもはや現代アートでした。いつか全巻一気に読み直したい。
阿賀沢紅茶『正反対な君と僕』
こちらも完結してしまった(最終巻はまだですが)。登場人物が決して間違わないラブコメという新ジャンルだったが、実はそれでいいのだということを証明した稀有な作品だったと思う。タイラズマのスピンオフ読みたいなー
町田メロメ『三拍子の娘』
軽やかに踊るような作品だったが、軽やかに踊るように完結。「毎日は繰り返しみたいでいつまでも続かない」をこんなにポジティブにまとめたラスト、お見事でした。文句なしの傑作になったと思う。
もう明日で終わりか!明日は残り色々まとめて!