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脱施設化運動と感情表出研究は、統合失調症患者の再発予防に家族の役割を再評価し、心理教育プログラムへと導いた。(家族問題と家族支援第7回)#放送大学講義録

-----講義録始め------

 

精神科病院の機能と役割に対する批判と、地域社会での生活の重要性を強調する脱施設化運動の進展は、統合失調症患者の退院後の生活に対する関心を高めました。特に、患者が地域社会で再発せずに安定した生活を送るためには、十分な資源とサポートが必要とされました。多くの退院患者が家族と同居していたことから、家族は患者の地域生活を支える上で重要な存在と見なされました。この背景から、再発の可能性を低減させる家族環境への着目が進んだのです。

この時期に注目を集めたのが、家族の感情表出と患者の再発率との関連を調査する感情表出研究でした。特にイギリスでは、脱施設化が進行する中で、批判的または過度に感情的に巻き込まれる家族の態度が患者の再発率に影響を与えることが確認されました。この研究成果は、家族を対象とした心理教育プログラムの開発に役立ち、家族が再発を防ぐサポート環境を作るための教育の重要性を強調しました。

感情表出研究と心理教育プログラムは、家族を単に病原体と見なすのではなく、患者の治療と地域社会での生活をサポートする協力者として再評価しました。これにより、家族はコミュニティケアの重要な一部として位置づけられ、患者の再発予防における役割が強調されました。しかし、このアプローチは家族に再発予防の責任を負わせる可能性があると同時に、家族以外のサポート体制の構築が十分でない場合、家族病理論が抱えていた問題を繰り返すリスクも指摘されました。

このような課題に対応するため、家族のストレスや生活上の困難に対する理解と支援の必要性が高まりました。家族は患者をサポートする存在であると同時に、自身の人生と課題を抱える生活者でもあります。したがって、家族への支援は、彼らが抱えるストレスや困難に対処し、充実した生活を送るためのものでなければなりません。この視点から、家族支援の在り方に関する議論は、単に患者の再発予防に焦点を当てるのではなく、家族全体の幸福と生活の質の向上を目指す方向へと進展しています。

 

 

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