D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Silk Degrees('76)/ Boz Scaggs

2008-04-19 15:06:03 | vocalist
'76年に行き当たったのは、なぜかこの年に興味深い作品が集中してることに偶然気付いただけです。
・・あまり深く追求しないで下さい。(汗)
で、イーグルスがくれば、流れからして当然これですよね。
Mr.AORことBoz Scaggs(ボズ・スキャッグス)の出世作であり、Adult Oriented Rock(AOR)の走りとして名高い“Silk Degrees(シルク・ディグリーズ)”です。

AORはその言葉どおり“オトナ向けのロック”という切り口ですが、それまでのロックは子供向けやったんかい?という素朴な疑問も沸いてきますよね。
思うに、かつてロックの担い手であった若者が成長した当時、ロックが商品として扱える状況になったことによる、音楽の“ブランド化”といえるのではないでしょうか。

ジャンル間でもボーダレス化が進み始めた頃でもありますから、就職後あるいは結婚後の層にも訴えることが出来るジャンルが想定されてもおかしくない訳です。
私的には“コマシ系ロック”と呼んでる系統の一つじゃないかと思うのですがネ。

若い頃、気なる娘を口説くシチュエーションの演出には、やはり甘い音楽が必要でしたね。
・・痛い思い出の方が多かったりしますが。(爆)
まさにこの辺で大活躍となったのが、ボズのこの作品あたりじゃなかったでしょうか?

ボズは'44年6月8日オハイオ州出身、この作品リリース当時31歳でした。

personnel:
Boz Scaggs(vo,g)
David Paich(kb)
Jeff Porcaro(d,per)
David Hungate(b)
Fred Tackett(g)
Louie Shelton(g,slide-g,aco-g)
Les Dudek(slide-g on#3)
Joe Porcaro(per on#1,3)
and others

面子のおさらいをしておきますと、この後“TOTO”の結成に至るDavid Paich(デヴィッド・ペイチ)Jeff Porcaro(ジェフ・ポーカロ)David Hungate(デヴィッド・ハンゲイト)の3名がキーマンでした。
彼らは全員当時若干21歳の新進ミュージシャンだったそうですが、スタジオ仲間うちでもかなり有名な連中だったようですね。
で、ギターの2人は、ボズ自身もギタリストということもあり、上手くて手堅いスタジオ系のFred Tackett(フレッド・タケット)Louie Shelton(ルイ・シェルトン)の2名を招聘してます。
そして1曲のみスライドソロでこれも新進ギタリストであったLes Dudek(レス・デュデック)が加わっており、このあとライヴでも度々弾いてたようですね。
そのレスについては、また後日改めて紹介したいと思ってます。
その他、ポーカロのオヤジであるJoe“ジョー”がパーカッション、Tom Scott(トム・スコット)らがホーン等で参加してます。

tracks:
1.What Can I Say“何て言えばいいんだろう”
2.Georgia“ジョージア”
3.Jump Street“ジャンプ・ストリート”
4.What Do You Want The Girl To Do“あの娘に何をさせたいんだ”
5.Harbor Lights“ハーバー・ライト”
6.Lowdown“ロウダウン”
7.It's Over“イッツ・オーヴァー”
8.Love Me Tomorrow“明日に愛して”
9.Lido Shuffle“リド・シャッフル”
10.We're All Alone“ウィアー・オール・アローン”

bonus tracks for expanded edition
11.What Can I Say(live)
12.Jump Street(live)
13.It's Over(live)

'06年に“エキスパンデットエディション”というライヴ音源がボートラで付いたものが出てまして、今回はこれをネタに聴いてます。
“AOR”と一括りに言っても実際は作品ごとでかなり傾向が違う訳です。
この作品がそう呼ばれる所以となったのは#10“ウィアー・オール・アローン”や#5“ハーバー・ライト”といった珠玉のバラードと共に、#6“ロウダウン”という強力にムーディーでグルーヴィーなディスコ・チューンがあるからでしょうね。
そして、#1“何て言えばいいんだろう”#4“あの娘に何をさせたいんだ”#7“イッツ・オーヴァー”といったメロディのハッキリしたポップな曲にもストリングス&ブラスを多用し、耳障り良く演出してることも挙げられると思います。

ただ、この作品で特徴的なのは、ボズのルーツ丸出しなハードなサザンロックチューンが入ってるあたりですね。
#3“ジャンプ・ストリート”と、#9“リド・シャッフル”の2曲がそれです。
特に#3では先述したレス・デュデックの豪快なスライドが堪能できますし、#9に至ってはジェフ・ポーカロの熱いシャッフルドラムが凄いんですよね。
この2曲は同率で、敢えて次点かな。

で、一押しは#5“ハーバー・ライト”と#6“ロウダウン”なんですな・・これも同率です。
“ハーバー・ライト”は、もう予定調和というか教科書通りともいえるような構成のバラードなんですが、女性ではない私でもちょっと腰砕けになっちゃう雰囲気が大好きなんですよ。
そして“ロウダウン”・・カッチョええとしか云えない名曲じゃないすか?
デヴィッド・ハンゲイトの腰に来てかつムーディなベースラインにウットリしてしまいます・・特にサビのあたりは絶品じゃないでしょうか。
ホーンアレンジも絶妙ですしネ。

・・この辺、実に素晴らしいですネ。

ボートラ3曲では、上記の面子を基本に、ベースがMike Porcaro(マイク・ポーカロ)キーボードがSteve Porcaro(スティーヴ・ポーカロ)、ギターが前出のシェルトンの位置にDonnie Dacus(ドニー・デイカス)らが替わって参加してるようです。
#11なんかは、スタジオ盤より勢いがあってカッチョええですね。
余談ですが、ドニー・デイカスといえばChicago(シカゴ)のTerry Kath(テリー・キャス)が急死したあとを一時埋めたギタリストで'78年頃の“Alive Again”ってシングル曲で弾いてたワウの効いたソロが印象的でした。
なぜかこの曲を良く覚えています。

その後の彼のヒット曲としては“JOJO”“Heart Of Mine”なんてのもありましたが、どちらもAORの名曲として名高いですね。

・・なんか纏まりがなくなっちゃいましたネ。
ボズのヴォーカルは決して甘くないけども、変に男っぽくなく中庸な声質ながら、どこか個性的なんですよね。
変にキザぶってない彼の佇まいなんてのも、男として見習わなければと改めて感じたりします。

春のこの時期に意外と合う1枚ですので、感慨に耽りながら聴いてみるのもいいものですョ。(笑)


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'76年シリーズ・・・ (evergreen)
2008-04-20 21:59:12
すみません、横槍入れちゃったものですから・・・
’74、’75、’76と来てたんですね・・・
’76にこだわっていただかなくていいですので・・・はい、すみません。

しかしいい曲が多いですね、このアルバム。
じっくり聞きたいですほんと。
大人の雰囲気満載で・・・やっとこういうのが
聞きたいな~と思えるようになりました。
ボズさんも今のほうがかっこいいですね。
返信する
こんにちは (mintslife)
2008-04-21 13:31:28
このアルバム、私も高校生の時に中古盤を手に入れ、かなり聴きこみました。
今聴くと、ポーカロが素晴らしく良いですよねぇ。
仰るように他のAORにカテゴライズされるミュージシャン達と比べるとソウルやブルーズ色も濃くて格好良いです。
高校生の時「ウィーアーオールアローン」の弾き語りにチャレンジしましたが、ボーカルのレンジが滅茶苦茶広い事に気づき驚きました。(笑)
何年か後にライブ映像を観る機会があったのですが、ボズ本人も思いっきりキー下げてましたけど・・。(苦笑)
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evergreen様 (elmar35)
2008-04-21 21:43:30
コメントありがとうございます。
いえ、偶然続いてただけです。
近辺でチョロチョロやろっかなって思ってたんですが、この際きちっと(?)やります。
気になさらないで下さい。(笑)
この作品、是非じっくりお聴き下さい。
ほんとにこの時期お勧めします。
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mintslife様 (elmar35)
2008-04-21 21:49:45
コメントありがとうございます。
確かにジェフのプレイは光ってます。
特に映像で観るライヴでの彼は異常なくらい凄いですね。

・・そっか、ピアノもオッケーだったんですよね。
私は声変わりの折に声帯を痛めてからヴォーカルはダメになっちゃいましたので、歌える方が羨ましいです。
そいや、ボズのライヴ映像はどれもピッチ下げてますね。
録りでかなり無理したんでしょうね。(笑)
返信する
ロックなボズ (ドイツ特派員)
2008-04-26 09:13:02
elmar35さん、

ボズって、AORと括られていても、ロックの部分が垣間見えてくるんですよね。南部魂というか。クリストファークロスとも少しダブるんですがね。

個人的には「Down to then Left」の方が好きですが、昔「We're All Alone」のクラシックギターバージョンを弾いていて、このアルバムも懐かしいですねえ。
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ドイツ特派員様 (elmar35)
2008-04-27 06:43:03
コメントありがとうございます。
一度TVの番組で生演奏を披露してたことがあって偶然観ましたが、意外にギターが上手いんでビックリしました。
C.クロスというより、ビリー・ギボンズみたいな感じでしたよ。
「Down to then Left」ってこの次のやつですよね。
私は未聴ですが、ルカサーが初参加したやつだったと記憶してます。
興味があるんで、近いうちにまた聴いてみますね。
ご紹介感謝します。(笑)
返信する
ジェフ~ (Harriet)
2008-05-02 22:42:59
ご無沙汰してます。
ジェフ・ファンとしては黙っていられないアルバムなので,今頃。。。

で,ジェフが80年代のインタビューで,これまでに納得できる演奏が出来たアルバムとして挙げたのが僅かに2枚で,そのうちの1枚がこれですよね。あと1枚がSteely DanのKaty Liedでした。

Low Downは,8ビートのドラムに16ビートのハイハットが更にオーバーダブされてるので,左右のヘッドフォンで音探しするのも楽しいです。^^

Down Two Then Leftは,これよりももう少しロックっぽい気がします。このアルバムも私は大好きです。

ところで,Bozは確か,タキシードを着て聴けるロック,みたいなのがありませんでしたっけ? YouTubeにUPされてるパラマウント・シアターの映像を見ても,お客さんが正装してます。
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Harriet様 (elmar35)
2008-05-03 00:04:27
コメントありがとうございます。
こちらこそご無沙汰してます。(笑)
・・おお、ジェフ・ファンでしたね。
“うそつきケイティ”も良い作品でいたね。
いつかネタに頂きましょう。(笑)

>タキシードを着て聴けるロック・・

作品としてというより、ちょうどこの作品が出たこらからパラマウント・シアターで始めたイヴェントみたいですよ。
ライナーにも、その辺にちょこっと触れてました。
ちなみに“Middle Man”“Other Roads”あたり、いかにもタキシード・ロック然とした雰囲気を感じます。
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