「インターネット/サイバーカスケード」

 こんにちは、みなさま。本書『バックラッシュ!』をもう入手されたという方も多いと思いますが、引き続き本日はキーワード「インターネット/サイバーカスケード」をお届けします。カスタード?うまいのそれ?って人は必ず読みましょう。

【インターネット/サイバーカスケード】


 2005年5月、基本計画改定の検討を進めていた男女共同参画基本計画に関する専門調査会から、議論の「中間整理」が公表された。そして、国民からの意見募集(パブリックコメント)と公聴会が実施された。
 パブリックコメントの募集期間は5月13日から6月10日の約一ヶ月。寄せられた意見は約6000件(ウェブサイト3,955件 郵便等1,986件、計5941件)と、この種の意見募集としては異例の件数が集まった(例えば、同年8月1日〜末日までの間に行われた「今後の男女雇用機会均等対策に関する意見募集」へのコメント数は651通だが、これでも他のパブリックコメントに比べて多い部類に入る)。
 この膨大なコメント量の背景には、インターネットの果たした大きな役割がある。パブリックコメントの募集期間、2ちゃんねるや「フェミナチを監視する掲示板」などの掲示板、保守系のブログやウェブサイト、メールマガジン、メーリングリストなどはかなりの盛り上がりを見せ、意見提出の呼びかけ、意見の例(テンプレート)の掲示、公聴会への参加呼びかけなどが数多くなされた。
 また、同時期にこうしたバックラッシュ派の動きに危機感を抱いたフェミニズム系のサイトやメーリングリスト等でも意見提出の呼びかけなどが行われた。郵便やFAXの数も相当に多いが、ウェブやメーリングリストなどで「テンプレートではなく、手書きで送ったほうが効果的」という意見が交換されたことが関わっていると思われる。
 ところで、インターネット上には多様な意見が存在するので、豊かな議論が展開できると思われがちだが、実態は少々異なる。インターネットは利用者が能動的に情報を取りに行く傾向が強いメディアであるため、個人がもともともっていた価値観にとって都合のよい情報を選択的に受容しやすく、また意見や背景の近い者とのあいだのコミュニケーションがさかんになりがちだ。これが、集団分極化(サイバーカスケード。全体的な議論の極端な分化や集約)である。
 それは翻って、ある立場を共有する者にとって都合のいい誤情報が訂正される機会が失われたり、議論の単純化・極端化を招くことをも意味する。また、個人同士が論争を行う場合―例えばフェミニストとバックラッシュ派がインターネット上で接触・遭遇した場合―互いが意見を交換しながら歩み寄るよりは、互いのスタンスを自己確認的により強化しあうだけに終わることが多い。

 も、もちろんこのブログではサイバーカスケーディングなんてお、起こっていないですよね。全てはデビューボ様のために!(ウソ)