伊勢神宮の参拝後は観音様のいるお寺めぐりを――。その手引となる「伊勢西国三十三所観音巡礼～もう一つのお伊勢参り」（風媒社）を三重県明和町在住の文筆家、千種（ちくさ）清美さん（60）が20日に刊行する。千年以上の歴史がある巡礼ルートを4年にわたって取材。再発見した寺や地域の歴史と魅力を伝えている。 「伊勢西国三十三所」と呼ばれる観音霊場は、平安時代初期にはお伊勢参り後の巡礼地として知られていたという。現在は39カ寺で北勢から南勢まで県内14市町にまたがる。宗派は真言、臨済、天台、曹洞、浄土など様々。観音像も十一面、千手、如意輪など形も大きさも表情も色々だ。 千種さんは2019年、鳥羽市の正福寺（しょうふくじ）を皮切りに取材を始め、新聞折り込みのタブロイド紙に連載を月1回執筆。今月完結する連載に加筆して出版する。 伊勢神宮に関する著作も多い千種さんは「『もう一つのお伊勢参り』と言われる巡礼を体

ファン涙「心の支えだった」 二月五日に五十四歳で急逝した芥川賞作家の西村賢太さんの四十九日法要と納骨が二十九日、七尾市小島町の西光寺であった。西村さんは七尾出身の作家藤沢清造（せいぞう）（一八八九〜一九三二年）に心酔し、藤沢の墓の隣に生前墓を建立。法要も藤沢の月命日に営まれ、多数の参列者が死を悼んで手を合わせた。　（大野沙羅） 法要には藤沢の遠縁の藤沢外吉さん（７６）をはじめ地元住民やファン、編集者ら十人が参列。本堂で高僧（こうそう）英淳住職（６９）が読経し、一人ずつ焼香をあげた。その後、土に返すため、参列者が順に骨を直接墓の中に納めた。 「心の支えだった」と涙を浮かべたのは東京から来た読者の鈴木勝喜さん（４１）。「家庭環境も良くなかったと思うが、道を外れてもそれを糧に作家として確立されたことが敬服に値する。一生（自分の中に）残ると思う」と感謝を伝えた。

３０年にわたって滋賀県内のこま犬を調査してきた龍谷大名誉教授の小寺慶昭さん（７１）＝京都府宇治市＝が著書「近江の狛犬を楽しむ」を出版した。…

中日文化センターで仏教講座を受け持つ参院議員の大塚耕平さん（６０）＝名古屋市千種区＝が、四国八十八カ所の写し霊場と呼ばれる知多四国や三河新四国など県内の巡礼地の歴史をまとめた「愛知四国霊場の旅」（中日新聞社刊）を出版した。　（中崎裕） 大塚さんは地元・覚王山での政治活動をきっかけに、日泰寺の歴史に関心を抱き、趣味で仏教を研究。日泰寺周辺の八十八カ所の札所を巡る人と話すうち、二〇〇七年ごろから仕事の合間に県内各地の写し霊場となっている寺を訪ねて回り始めた。今回は住職の話や縁起をひもといて歴史を調べた内容をまとめた。

長野県阿智村立図書館が、受験に臨む中高生らを応援しようと、「図書館神社」と銘打って合格祈願ができるコーナーを設けている。村内の受験生が館内で自習に精を出しており、より一層頑張ってほしい―との思いを込めた。１３日には、同館近くにある長岳寺の入亮純（はいるりょうじゅん）住職（６１）の協力を得て、お守りを作る催しを初めて開く予定だ。 図書館神社のコーナーは、手作りの鳥居の下に２体の招き猫を飾り付けた。合格祈願などの願い事を書ける絵馬を用意し、結び付ける場所もある。設置は２年目。同館の平栗奈津代司書（４３）は「昨年は受験生の家族を含めいろいろな人が書いてくれた」と振り返る。 お守り作りの催しは、受験生や家族に限らず、かなえたい目標がある人が対象。入住職が昨年の冬至ごろから毎日祈願をしてきた「文殊菩薩（ぼさつ）」を描いた紙を使う。入住職は「その人にとって一番良い道に進んでほしいと願いを込めて祈ってい

多気町神坂の古刹（こさつ）、金剛座寺の住職染川智勇さん（５２）が、趣味で集めた仏教漫画を一般公開している。蔵書数約７００冊。全国でも二つしかないという、珍しい「お寺の漫画図書館」だ。 金剛座寺は前身に当たる寺が７世紀の創建で、平安時代後期に現在の寺名に変更されたと伝えられる。長い歴史を持つが、先代住職が亡くなってから３０年間無住が続き、すっかり荒れ果てていた。 檀家（だんか）の１人で、立正大で仏教を学び僧侶の資格を持つ染川さんがそれを見かね、東京での勤めの傍ら、通いの住職になったのは１９９５年。「なんであんなぼろ寺に」と周囲に驚かれたが、寺の再興は町出身で信仰心の強い父の強い願いでもあった。 父の死後、１３年前には勤めを辞めて地元に戻った。以来、境内の草を刈り、電気や水道を引き、傷んだ建物を補修して――と孤軍奮闘しているが、悩みは費用。檀家わずか６軒で、寺にはほとんど収入がない。東京時代の

イベントタイトルの「これが自由だ」は、岸さんは『メメモジャ』の連載第1回を読まれてTwitterに書かれていたひとこと。岸さんとメレ山さんにとっての「自由」とは――この春から新たな生活をスタートさせた方もいらっしゃると思います。そんな方の背中をそっと押してくれるような、人生における自由についてのお二人のお話です。 【ゲスト・岸政彦さんプロフィール】 岸政彦（きし・まさひこ） 社会学者。1967年生まれ、大阪在住。沖縄社会論、生活史方法論などを研究。主な書著に『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者たち』（ナカニシヤ出版）、『街の人生』（勁草書房）、『断片的なものの社会学』（朝日出版社・紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞）、『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』（有斐閣・共著）、『ビニール傘』（新潮社・第156回芥川賞候補）など。 岸政彦（以下、岸）　いきなり本題に入りますが、ぼくは

浄土真宗教恩寺住職　やなせななさん（３９） 奈良県高取町の寺を守る傍ら、シンガー・ソングライターとして全国を回っている。昨年１１月に２冊目の著書「ありがとうありがとう　さようならさようなら―歌う尼さんの仏さま入門」（さくら舎）を出した。 楽器メーカーの雑誌につづったエッセーに加筆した。比叡山の回峰行を１０代に経験した時、先導の僧侶が「歩く時は、顔を上げて遠くを見るのです。そうすれば、足元も見えてきます」と教えてくれたこと。東日本大震災直後、宮城県の友人らを案じながら「神も仏もありませんね」と「尊敬するお坊さん」に話したら、「その言葉の中に、もうすでに神さまも仏さまもいらっしゃるじゃないですか」と諭されたこと。そんな体験をまとめた。 書いたからには読んでほしい。… こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 こちらは有料会員限定記事です。有料会員になると続きをお