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さて、西洋哲学研究者の私がなぜ、靖国の問題を論じるのか。不思議に思った方もおられるのではないでし... さて、西洋哲学研究者の私がなぜ、靖国の問題を論じるのか。不思議に思った方もおられるのではないでしょうか。しかし、私の中ではまったく違和感はありません。 私の専門は、西洋哲学、特に20世紀のヨーロッパにおける哲学思想研究です。なかでも最も影響を受けたのが「脱構築」で知られるジャック・デリダ(今週のキーワード参照)ですが、哲学というのは過去にだれかが構築した思想を研究するのではなく、自分自身で探求するのが本来の姿のはずです。その点において、日本に暮らす私が日本固有の問題について哲学的に論じることは、まったく不自然なことではないのですね。 そもそも西洋における哲学自体も、政治や国家、戦争、歴史をテーマとしてきたわけで、私が靖国神社という日本の歴史を扱うことについても、そうした哲学の伝統と無縁であるわけではない。例えば、西洋哲学の祖といわれるプラトンの代表作である『国家』は、どんな国家のあ