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妻の父が亡くなった。 四歳の息子には、まだ、死ぬということの意味がわからない。 それは三十五歳の僕... 妻の父が亡くなった。 四歳の息子には、まだ、死ぬということの意味がわからない。 それは三十五歳の僕にもわからない。 改築されたばかりの斎場は、まるでホテルのロビーのように明るくて清潔な空間だった。 息子は、そこで僕を質問責めにした。 「じいじはどうして箱(棺のことだ)に入っているの?」 「じいじはどこにいくの?」 別に簡単に答えてしまってもいいのだけど、というか簡単に答えるほかしょうがないのだけど、僕はいちいち口ごもってしまう。しかし、そうやって、何事かを考えている振りをしたところで、別にふだん生きることだの死ぬことだのをマジメに考えているわけでもないのだから、結局は気の利いたことがいえるはずもない。 僕は息子に、じいじはお空のうえの天国に行ったのだと答えた。 その答えに自分でも驚いてしまう。 おれは天国は空の上にあると思っていたのか。 息子の質問は止まらない。 「じいじは、お空の上で何を
2018/06/01 リンク