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げっそり痩せた彼は、黒髪を後ろになびかせて、マイクを握っている。真っ白い肌、そして燃える瞳で、地... げっそり痩せた彼は、黒髪を後ろになびかせて、マイクを握っている。真っ白い肌、そして燃える瞳で、地獄の烈火のごとく憤怒する。本とドラッグを貪りながら、旧約聖書の言葉を使って、不浄な愛の歌を歌う。 ニック・ケイヴといえばロックの象徴派として名高いひとり、リディア・ランチに「最高の詩人」と呼ばれた男だ。トライバル・リズムのゴシック・パンクの最重要バンドのひとつ、オーストラリアから登場したバースデー・パーティのヴォーカリストとして、彼は野蛮な生のあり方をまざまざと見せつけた後、1983年にはバッド・シーズを結成、翌年に最初のアルバム『フロム・ハー・トゥ・イタニティ』を発表している。 ゴシック・パンク/ノーウェイヴの冷たい熱狂をブルースの叙情性へと繋げたこのバンドのオリジナル・メンバーには、アインシュツルツェンデ・ノイバウテンのブリクサ・バーゲルド、のちにデヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』の