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道徳のジレンマというと、利己主義によって互いに協力できない「共有地の悲劇」が有名だが、本書では異...概要を表示 道徳のジレンマというと、利己主義によって互いに協力できない「共有地の悲劇」が有名だが、本書では異なる道徳観（自由な競争と責任を重んじる価値観と、富の平等な分配を重んじる価値観など）同士が衝突しあう「常識的道徳の悲劇」をもう一つの重要問題として取り上げる。 人間には進化的に「仲間と協力することを喜び、裏切り傷つけることを嫌い、裏切りをした仲間を罰しようとする本能」が獲得されており、それによって共有地の悲劇を防いで協力を可能にしてくれる。 他人の脚を叩く真似をするだけで欠陥は収縮し、生後六か月の赤ん坊も目玉のついた図形のアニメーションで「意地悪をする図形」を嫌う傾向を見せる。 しかし、仲間との協力の問題は人類が長らく直面してきた問題なのでうまく解決できる一方、異なる道徳観同士の調停や複雑な倫理的問題の解決は非常に新しい問題で、人間の脳はまだこうした問題には適応できておらず、解決に失敗していると