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スタンディングオベーションの観客のなか席を立った。隣りの弟子はあわてて俺の袖を掴んだが、俺はその... スタンディングオベーションの観客のなか席を立った。隣りの弟子はあわてて俺の袖を掴んだが、俺はその手にそっと触れて頭をふった。それから苦労して扉の外に出ると弟子が駆け寄ってきた。 「先生、どうしてっ」 「どうしてもこうしてもない。彼女がそばにいたのに気付いただろう。邪魔になる」 「でもっ、でも……っ」 泣いていた。この子は怒っているときに泣く。俺は、その肩に手をやってそっと抱き寄せて囁いた。 「本当にどうもありがとう。手をひいて連れてきてくれて。きっとひとりじゃ来られなかった。おかげで観ることができて、それだけで本当によかった。ありがとう」 俺はその肩をはなした。可愛い顔が涙をこらえて歪んでいた。ハンカチをさしだそうとしたところで教授が息を乱してやってきた。その役目はかわってもらうことにした。 「みんなで一緒に帰りましょう」 教授が弟子の横に並んでそう言ったがそれにも首をふった。一刻も早くひ
2014/01/25 リンク