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ぐずぐずに疲れて家路に就いた。わたしは二十三歳で、世間は不景気で、氷河期という名をつけられていて... ぐずぐずに疲れて家路に就いた。わたしは二十三歳で、世間は不景気で、氷河期という名をつけられていて、だからとても寒くて、芯から冷えていて、世界は暗黒で、わたしのまわりには、誰もいなかった。オーロラという神話を、わたしは待っていた。こんなにも寒いのなら、その美しいものが目の前に現れてくれていいはずだと思った。マッチ売りの少女の死に際みたいに。 わたしはアルバイトから帰るところだった。大学院生という身分はあって、学費は免除されていて、大学はわたしに少しのお金をくれたけれども、そうでなかったらいくら就職がなくったって進学なんかしなかったけれども、そのカネは、家賃を払って国家の要求する金を出して三食食べて眠るには足りなかった。そんなことは大学生のころから変わらなかったのに、高校生のころからずっとそうだったのに、わたしは、そのころみたいに愉快じゃなかった。大学生のころも高校生のころも、ただ生きているだ
2017/10/31 リンク