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私のいない高校 [著]青木淳悟[評者]奥泉光(作家・近畿大学教授)[掲載]2011年7月31日著者:青木 淳悟... 私のいない高校 [著]青木淳悟[評者]奥泉光(作家・近畿大学教授)[掲載]2011年7月31日著者:青木 淳悟 出版社:講談社 価格:¥ 1,680 ■「私」の宇宙を相対化するために 私たちは誰もが一個の秩序ある宇宙(コスモス)に棲(す)んでいる。私たちはこの宇宙のなかで喜び悲しみ、希望を抱き、ときに挫折しながら自己の生の意味を実感する。もし宇宙が失われたら、私たちは混沌(こんとん)の無明に裸で投げ出され、「私」はたちまちばらばらな断片に解体してしまうだろう。 私たちの生きる宇宙を支えているのは物語である。物語とはただの「お話」ではなく、宇宙の姿を具体的に示す言葉の働きである。そのことが明瞭に分かるのは宇宙が壊れかけたときだ。最愛の者を突然失った人は、生の意味が消え、己の宇宙が破壊される危機を経験するだろう。そんなとき物語が作動する。神様がそれを望まれたのだ。避けられない運命だったのだ。
2012/07/08 リンク